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CES 2022:ゲーム業界注目の最新ガジェット・テクノロジーはこれだ!
世界最大級のハイテク技術見本市として知られる「CES 2022」では、ゲーマーをワクワクさせる新製品が数多く発表されました。最新・最強のパーツで自作PCを作りたい人も、最新技術の粋を集めたディスプレイを購入しようと貯金してきた人も、各社の最新プロダクトが目白押しのこの祭典に満足されたことでしょう。
世界初の4K 240Hzゲーミングモニターからソニーの次世代VRシステムまで、今年は本当にニュースが盛りだくさんでした。CESは、リリース準備の整った完成品から「あったらいいな」というコンセプトモデルまでがたくさんのアイデアが発表されることで定評があります。ゲーミングブランドのAlienwareやRazerが、実験的なコンセプトモデルの発表はもちろん、次世代モニターやラップトップのリリースでも大成功を収める一方、HyperXやAsusなどの小規模ブランドもヘッドセットやタブレットの新製品で注目を集めました。
それではここから、今年のCESで注目を集めたニュースをご紹介します。
1. Intel Alder Lake モバイルプロセッサ
ノートPCブランドから引く手あまたの第12世代Coreプロセッサ
Intelの第12世代「Alder Lake」Coreプロセッサは、昨年デスクトップ市場でデビューを果たしていますが、CES 2022ではモバイル向け製品が初めて発表されました。Appleの「M1 Max」やAMDの 「Ryzen 9 5900HX」に水を開けられていたIntelは、今年のCESでライバルを打ち負かす必要がありました。もしこれが本当に仕様書通りの性能であればIntelの勝利は確実です。M1をライバル視するIntelの第12世代「Hシリーズ」は、パフォーマンスに優れたPコアを最大6コア、そして電力効率に優れたEコアを最大8コアでハイブリッド搭載し、高速化と省電力を実現しました。
最高性能を誇るハイエンドモデル「i9-12900HK」は、最大周波数5.0GHzを実現し、初期のベンチマーキングではAMDやAppleを超える性能だと評価されています。その通りであれば、今年最高のゲーミングノートPC向けプロセッサの優勝候補は他にいないといっても過言ではありません。CES 2022では、他にもコンパクトサイズのマシン用軽量チップなどの発表はもちろん、Asus、Razer、MSI、AlienwareなどのノートPCにもスポットライトが当たりました。今年リリースされる新製品の多くはIntelの第12世代Coreを搭載しているようです。
2. PlayStation VR2
ソニーの次世代VRヘッドセットの名称がついに決定…驚くべきハイスペック!
PlayStation VR2の開発が進められていることは以前から知られていましたが、ソニーはCES 2022で次のステップとなる次世代VRシステムの正式名称とスペックを公開しました。今回の発表だけでは全体像は分かりませんが、CESでコンソール界のビックニュースが発表されることは稀なことを考えると、情報量は少ないとはいえ、歓迎すべきニュースといえます。
PS5向けのVRシステム(PSVR)の主なスペックとしては、4K HDRディスプレイ、ヘッド/アイトラッキング性能、片目あたり2000×2040の解像度、110度の視野角が挙げられます。オリジナルモデルの有機ELディスプレイ方式とパネルリフレッシュレート120Hzは据え置きです。このスペックのポテンシャルにはワクワクしますが、噂ではPSVR2のリリースは2023年になるともいわれているので、VRヘッドセットの分野ではOculusやHTCに置き去りにされてしまうかもしれません。例えばHTCの「Vive Pro 2」は、5Kディスプレイと片目あたり2448×2448の解像度をすでに実現しています。
とはいえ、このヘッドセットは信頼度抜群のプレステさえあれば使えるので、高度に進化した技術がもたらす恩恵を思えば、ソニーファンが興奮するのも無理はありません。また頭を動かすだけでVRの映像を連動してくれるヘッドトラッキング機能や、同じくCES 2022で発表された新しい「Sense」コントローラーも期待大です。
今年はPSVR2に関する続報が次々出てくると予想されます。PS5の在庫は品薄状態が続いていますが、PSVR2のリリースまでには入手できることを願いましょう。
3. Samsung / Dell Quantum Dot OLEDディスプレイ
2つの世界のいいとこどり
今年のCESでは、2つの相容れない勢力が手を組み、史上最強のゲーミングモニターが生まれる可能性が現実味を帯びてきました。量子ドットと有機ELの2つの技術を組み合わせたサムスンの「Odyssey G8QNB」は、 真にプレミアムなビジュアル体験を提供する初めてのディスプレイです。「初めて」といったのは、Dellの最高級PCブランドであるAlienwareも同じ技術を採用した34インチの曲面ゲーミングモニター「AW3423DW」を発表したからです。
量子ドットと有機ELは、どちらも独自の強みを持っているので、素晴らしい相乗効果が期待できます。鮮やかな色彩と高いコントラストを特徴とする量子ドットに、引き締まった黒の有機ELの組み合わせは相性も抜群。ゲーミングモニターとしては決して安い買い物ではありませんが、もし資金に余裕があるなら、将来性が高いQD-OLEDは考慮してみる価値大です。
4. Nvidia RTX 3090 Ti
価格も性能もあらゆる意味で究極のグラフィックスカード
Nvidiaは、今年のCESで最高峰モデルのGPUをチラ見せしましたが、販売はまだまだ先の話となりそうです。「RTX 3090 Ti」が高額になることは必至ですが、装備すれば桁違いのクオリティを楽しめることは間違いないでしょう。VRAMは前世代の「RTX 3090」とほぼ同レベルですが、 超高速の24GB・21Gbpsのディストリートグラフィックスメモリ「GDDR6X」を採用し、メモリスピードはさらに高速化を実現しました。
気になるパフォーマンスは、新しいストリーミングマルチプロセッサが40Shader-TFLOPS、レイトレーシング用の第2世代のRTコアが78RT-TFLOPSとなっています。スペック、価格、リリース日程などの詳細は分かっていませんが、今後、さらなる情報が出てくるはずなので、最高のグラフィックスカードが欲しい人はNvidiaのニュースに注目しておいて損はないでしょう。発売日に購入できなかった際には、こちらから「RTX 3090」の在庫を見つけてください。
5. Samsung Odyssey Neo G8
ここまで必要!? 世界初の4K解像度/240Hzリフレッシュレートの液晶モニター
今年のCESでサムソンが一挙公開した新製品の内の1つである「Samsung Odyssey Neo G8」は、解像度4K&リフレッシュレート240Hzという世界初の仕様を誇るゲーミングモニターです。このスペックについていけるゲーマーはまだ少ないかもしれませんが、240Hzとはいわずとも、解像度4K&リフレッシュレート144HzのGPUだけでもかなりの高額になります。
しかし、CESの醍醐味は、近い将来を垣間見ることが出来る点にもあります。240Hzが実現したというのであれば、自分の目で確かめてみたいと思いませんか?「Samsung Odyssey Neo G8」は、HDMI 2.1ポートを介してコンソール機に接続可能で、最大輝度2000nitの圧倒的なHDR表示、画面表示に合わせて発光カラーが変化するCoreSync機能を備えています。
この性能で安価なわけはありませんが、今年前半にはある程度の価格帯が判明するはずです。
6. Razer Blade 2022
最新・最強のパーツを採用して生まれ変わったラインナップ
ハイエンドなゲーマー向けノートPCを製造するRazerが、14、15.6、17.3インチのフルモデルチェンジを行ったとなれば注目せずにはいられません。次世代のRazerノートPCは、最新のプロセッサとGPUを搭載。これに加え、高速DDR5/LPDDR5メモリ対応、一新されたキーボードデザイン、さらにグレードアップした冷却機構も追加されました。また、このようなスリムなPCとしては非常に強力な 「RTX 3080Ti」からIntelの第12世代Hシリーズの「i9-12900H」、Ryzen 6000シリーズまで、最新のGPUが取り揃えられています。
比較的小型の14インチモデルのUHD解像度、15.6インチモデルのリフレッシュレート、シリーズ最大の17.3インチモデルのステレオスピーカーと内蔵バッテリーなど、随所に改善が施されています。安価なゲーミングノートPCではありませんが、「Razer Blade 14」は$1,999.99(約20万円)から、「Razer Blade 15」と「Razer Blade 17」はそれぞれ$2,499.99(約25万円)と$2,699.99(約27万円)からとなっています。
7. HyperX Cloud Alpha Wireless
300時間使えるワイヤレスヘッドセット
最上位のゲーミングヘッドセットでもバッテリーは20~30時間しかもたないことを考えると、300時間連続使用を実現したワイヤレスモデルのニュースは聞き逃せません。「HyperX Cloud Alpha Wireless」は、好評価を得ている有線モデルと同シリーズですが、CES 2022では驚異的なバッテリー寿命でライバルに大きく差をつけました。
連続使用時間が長くなると快適さが気になるところですが、長いゲームセッションにも耐えられるしっかりとした作りになっています。また、300時間のプレイタイムに必要なバッテリーがかっこいい低反発クッションの中に隠されているのですから、注目を浴びないわけがありません。
HyperXによると、「Cloud Alpha」ワイヤレスは軽くなった50㎜ドライバーを採用し、長時間使用に耐えるオリジナルモデルの快適性を維持しているということです。仕様書を見ると、新旧モデルの重量の差はわずか20gですが、この重たいバッテリーの装着感については、実際に試してみなければ分かりません。もしバランスに問題がなければ、今年ナンバーワンのワイヤレスヘッドセットはこれだと断言してもよいでしょう。
2月発売予定の「HyperX Cloud Alpha Wireless」の価格は$199.99(約2万円)です。
8. Alienware Concept Nyx
クラウドゲーミングサービスを越えた存在
「Concept Nyx」はあくまでコンセプトにすぎませんが、Alienwareが描く未来のクラウドゲーミングの姿には大きな期待を感じます。「Concept Nyx」の核にあるアイデアは、一旦ゲームをポーズしたら、直近のチェックポイントからリスタートしなくても別の画面でセッションを再開できるようにするというもの。現行サービスでは、ゲームを他のデバイスや画面で再開するとポーズした時点と完全に同じ状態から始めることができないという欠点があります。つまり、デバイスを変えると最後のセーブポイントからもう一度ゲームをロードしなければならないのです。
しかし「Concept Nyx」は、家庭用のサーバーとして動作することによって、このデバイス間のラグを修正します。このサーバーがゲームをホストするので、いつでもどこでも好きな時に好きなデバイスでプレイできるようになります。また、家庭のWi-Fiデータ通信量の上限を超えることなく複数のプレイヤーを複数のセッションでホストすることも可能です。Alienware は、あのイライラする速度制限から私たちを救ってくれるというわけです。
この「Concept Nyx」は、来年になれば購入できるというものではありませんが、クラウドゲーミング革命がまた一歩前進するという希望を与えてくれます。
9. Razer Project Sophia
全く新しいゲーミングデスクの登場
クリエイティブな発明の力という意味では、RazerもAlienwareに引けを取りません。そしてそのRazerが、CES 2022に彼らのドローイングボードを持参してきてくれたのです。このドローイングボードが通常と異なる点は、カスタマイズ自在なモジュラー式で、77インチの巨大な次世代有機ELディスプレイを備えていること。さらにマグウォーマーまであります。「Project Sophia」と名付けられたこのコンセプトモデルは、ゲーミングPCを埋め込んだバーチャルデスクトップつきのディスプレイ一体型デスク。ホットスワップ可能なモジュール式なので、「THX Spatial Surround Sound」コントロールや15Wワイヤレスチャージャー、チャットビューワー、システムトラッカーなどを用途に応じて組み合わせて自分だけの完璧なバトルステーションを構築できます。
「Project Sophia」はまだコンセプト段階ですが、最高のゲーミングPCと最高のゲーミングデスクを組み合わせるというアイデアを実現しようとするRazerから、今後数年間は目を離せません。
10. Asus ROG Flow Z13
2in1タイプのゲーミングノートPCが熱い!
CESで発表されるゲーミングデバイスは、何千ドルもするハイエンドのコンセプトモデルや開発中のものばかりで、その多くは「絵に描いた餅」ということもあります。しかし、最新機能とゲームに要求されるスペックを十二分に備えた新しいタイプのタブレットとノートPCのハイブリッドがあったらいいなと思っていた人には朗報です。今後は、「Asus ROG Flow Z13」に注目してください。
Intelの第12世代Coreプロセッサと「RTX 3050 Ti」グラフィックスカードを搭載したこのタブレットなら、4K UHDディスプレイまたは120Hz FHDディスプレイでパーフェクトなプレイを楽しめます。32GB RAMと1TB SSDを追加すれば性能に不足はありません。また、最新のグラフィックチップ「GeForce RTX 3080 Laptop」を搭載した外付けGPU「ROG XG Mobile」を接続すれば、ヘビーなゲームもストレスなくサクサクと楽しめます。
優れたスペック、ゲームに十分なパワー、そして仕事でも遊びでもシームレスに使えるスリムなボディと3拍子揃ったこの1台は、最高のゲーミングタブレットの1つといっても過言ではありません。
この記事はGamesRadar のタバサ・ベイカーが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで。