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【サッポロの英断】爆売れの新ジャンルに込めた「いちばん星マーケティング」

2020年2月に発売され、発売からわずか1ヶ月で100万ケースを突破。半年後の8月には累計販売本数が1億2000万本を超えるなど、大ヒットを記録しているサッポロビールのゴールドスター。

 長年愛されてきた黒ラベル・ヱビス、二大ブランドのDNAを受け継ぎ、その看板を背負って理想のうまさ、確かなうまさを追求した新ジャンル(第3のビール)だ。

 ゴールドスターの開発や大ヒットの要因となった、サッポロビールの新しいマーケティング戦略「いちばん星マーケティング」とはなにか。

 マーケティング本部ビール&RTD事業部長の武内亮人氏、同マネージャーの野並祐介氏に聞いた。

「いちばん星」でつながるサッポロビールのストーリー

ーー今回、ゴールドスターのヒットの背景には、サッポロビールが新しく掲げたマーケティング戦略があると聞きました。そのいちばん星マーケティングとはどんなものなのでしょうか。

武内 サッポロビールは2020年から新ビジョンのもとすべての企業活動を行っています。

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このビジョンを実現するためのマーケティングが「いちばん星マーケティング」です。

「いちばん星マーケティング」は、お酒と人の未来を創る一歩先の価値提案で「新しいお酒のある豊かな社会と生活」に貢献することであり、サッポロらしい市場創造・牽引マーケティングを実践することと定義しています。

 そのために徹底的にお客様を理解し、お客様に寄り添い、お客様のニーズを創り出すこと、サッポロビールの商品やサービスでお客様の課題を解決することが重要です。

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ーー具体的に言うとどういうことでしょうか。

武内 簡単に言えば「お客様の期待を超えること」であり、お客様に「なるほど、そうきたか!それ欲しかったんだよ!」と感じてもらうことです。

 新ジャンルでいえば、「もっと安くてもっとおいしいものが飲みたい。コストパフォーマンスが高いものを飲みたい」という顕在化しているニーズに対して、お客様の期待を超えていくこと、「お!そうきたか!」とお客様の心を動かすことです。

 これまでも、新ジャンルはビールの代替品として進化を続けてきましたが、お客様も「まだまだおいしくなる」と期待し続けています。コストパフォーマンスの高いものを求める欲求はますます高まっているわけです。

 そして、ただでさえ検討事項の多い日々の中でお客様には、暮らしにおける選択・決定のコストを極力減らしたい気持ちがあるのではと思っています。

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そんな課題を解決できる商品がゴールドスターです。本当においしいものを確かなファクト、つまり、黒ラベル・ヱビスの技術を持って、お客様に提供する。サッポロビールにしかできないファクトによる「確かなおいしさ」「本気のおいしさ」です。

 お客様に新たな「新ジャンルの選択軸」を創り出すことができたと考えています。少し大げさに言えば、おいしい新ジャンルの定義を新たに創り出したとも言えると思います。

 こうした企業ビジョンから紐づく一連のストーリーが、お客様にゴールドスターが受け入れられた理由だと考えています。

ーー  そもそもサッポロビールでこのような戦略が生まれた背景は?

武内 1876年、北海道で設立された開拓使麦酒醸造所がサッポロビールのルーツです。サッポロビールの行動規範は「カイタクしよう」。

 サッポロビールは創業当初から、新しいビールの常識を創り続け、ビールの未来をカイタクし続けてきた自負があります。

 経営理念・ビジョンを実現するためにこれからも日本の酒類市場をカイタクし続けることがサッポロビールの存在意義です。サッポロビールの社会における存在意義をお客様に示しお客様と共有すること、これが戦略の背景です。

 また、黒ラベルやヱビスに代表される「個性的なビールブランドを多数持っている」という事実は、日本のビール市場をカイタクしてきた証です。特定の領域でお客様と強固な関係を築いているブランドを多数持っています。

 どのブランドも独自の「選ぶ理由」をお客様の中に創ることができています。サッポロビールには、お客様とブランドとで強く深い関係を構築したい、という想いがあります。

ーー 一部でもいいから強く愛される商品をつくりたい、と。

武内 そうですね。従来、ビールメーカーはすべてのセグメントのお客様を取りに行く・奪い合うという戦略・戦術をとることが多かったと思いますが、私たちは少数でも大切なひとりひとりにグッと強く深く鋭く突き刺さるようなブランドづくりをしていきたいと思っています。

 これが、会社の新しいビジョンとしても掲げている「誰かの、いちばん星であれ」です。

黒ラベルとヱビス、二大ブランドを大胆に活用した戦略

ーーゴールドスターの開発の起点はなんでしょう?

武内 やはり、新ジャンルがもっとおいしくなることをお客様が求めている、という実感です。

野並 2019年は10月に消費税増税があるなど節約ムードが漂っている中、新ジャンルを手に取るお客様からは「ホンネではビールを飲みたい。でも、毎日手軽に楽しむには新ジャンル。」という声を聞きしました。

 そこから、「これでいい」ではなく、「これがいい」というように積極的に選択できるおいしさが、お客様に求められているのではないかという考えに辿り着き、開発が始まりました。

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ーーゴールドスターは黒ラベル、ヱビスという二大ブランドのDNAを受け継いだものだとうかがっています。

野並 まず味についてですが、黒ラベル・ヱビスを踏襲した製法でクオリティが高いものになっています。原料の面でも、黒ラベルの「旨さ長持ち麦芽」とヱビスのドイツ産アロマホップを一部使用しているんです。

 パッケージデザインも、黒ラベル・ヱビスのブランドを背負って、本気になっておいしいものつくったんだ、という自信が表現できているんじゃないかと思います。

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ーーたしかに洗練されている印象で、敢えてチープに作られがちな新ジャンルっぽくないパッケージだなと思いました。狙いはなんだったんでしょうか。

野並 おいしさを受け継ぐ気概はもちろんですが、開発テーマのひとつだった「確からしいもの」を提供する手段としても、ふたつのブランドを打ち出すことは効果的だったと思っています。

 黒ラベル・ヱビスの長年の実績によって、ゴールドスターの確かなおいしさや安心安全な商品であることが裏付けされたんじゃないかなと。

ーーとはいえ、人気ブランドの名前を低価格帯の商品で使うことは、リスキーなことでもありますよね。大事なふたつのブランドのイメージを毀損してしまう可能性もありますよね。

野並 もちろん企画時には、社内から心配の声もあがりました。既存ブランドのイメージを傷つけないか、黒ラベル・ヱビスのイメージが強くなりすぎてゴールドスター自体が商品として魅力的に伝わらないんじゃないか、など……。

 失敗したらどうするんだっていうプレッシャーは半端なかったです(笑)。

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武内 でも、新しいことに挑戦するのにリスクはつきものです。挑戦すると決めたからにはやりきる、そしてそこで学んで次に活かしていく。そういう気持ちでした。

ーー実際に、発売後の反応はどうだったんですか。

野並 おいしさへの高い評価をいただきました。また、若い方がゴールドスターを飲んで、黒ラベルやヱビスも飲んでみようと買っていただいている印象です。

 なので、会社全体としても相乗効果のいい流れになったのではないかと思っています。

「ビールより先に新ジャンルを飲んだ」という方が多い時代ですし、ゴールドスターがビール市場全体を活性化するきっかけになるといいなと期待しています。

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ーーサッポロビールにはもう一つ、新ジャンルビールに「麦とホップ」もありますよね。お客さんを取り合う心配はなかったんですか。

武内 どちらもおいしい自信作なので、私たちとしては多少のお客様の重なりは仕方ないと思っています。

 メーカーは同じカテゴリーで複数の商品を販売する場合、メーカー側の理論で味や商品特性等で距離を離したものをつくりがちです。そのほうがお客様の重なりが少ないだろうと考えるし、より多くのお客様を獲得できるだろうと考えるからです。

 でも、お客様にはメーカー側の都合は関係ありません。お客様が求めることを追求することが、サッポロビールらしさだと思いますし、「誰かの、いちばん星であれ」ということだと考えています。

ゴールドスターの勝因は、サッポロビールの「本気感」

ーーゴールドスター、年間販売計画を100万函(大ビン換算の単位。1函=大ビン20本=12.66リットル)分上乗せする大ヒットを記録していると聴きました。勝因はなんでしょうか。

武内 まだまだ上を目指しているので、勝因と言うには早いですが……。

 あげるとすれば、サッポロビールだからできる「確かなおいしさ」「本気のおいしさ」が、お客様に新ジャンルを選ぶ理由として受け入れられたからだと思います。

 それと、当然のことながら実際の商品の味がお客様の期待を超えられたことも要因だと思っています。

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野並 これまで新ジャンルは「横のおいしさ」が広がっていました。コク、すっきりした後味など様々なビールタイプに合わせたものが開発されて、バリエーションがどんどん増えていたんです。

 ですが、今回はそんな既存商品を「縦に」超えたものができた。タイプではなく、純粋なおいしさで一段階上のものができたと思っています。

ーーまだまだ上を目指すと。

武内 ゴールドスターに限らず、お客様が求める「おいしさ」の追求をとめないことが第一です。

 また、お酒を取り巻く背景は急速に変わっていますし、お客様がお酒を選択する理由も変わってきています。「お酒」の新しい価値の定義は不可欠だろうと感じています。

 おいしさ追求の手を緩めることはありませんが、ただおいしいものを提供します、だけではダメです。お酒の「おいしさ」はモノだけからつくりだされるわけはありません。

 モノだけではなくコトやトキの創出、サービスも含めてあらゆる面でお客様の課題を解決して、お客様にとってなくてはならないサッポロビールであり続けたいと思います。

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(構成:水沢環、撮影:高澤梨緒、デザイン:斉藤我空、編集:株式会社ツドイ)

出典:NewsPicks

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