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トライベッカ映画祭がゲームの文化的貢献を評価する新たなアワードを創設

ビデオゲームが芸術や文化一般に寄与するポジティブな影響を長年高く評価してきたトライベッカ映画祭が、ゲーム業界のビッグネームばかりをズラリと揃えた専門委員会を新設しました。そして2021年には、同委員会が選ぶゲーム賞の授与も行われるということです。

「トライベッカ・ゲームズ」の副社長を務めるケイシー・バルテス氏はインタビューに対して「世界経済が停滞し、映画業界全体が大きな打撃を受けている現在、このニュースは一つの重要なターニング・ポイントになると思います。この賞の誕生は、ビデオゲームがコロナ禍で苦しむ社会にポジティブな影響を及ぼしていると認められたことの表れだと思います」と述べています。

同映画祭の公式セレクションとしてノミネートされるゲームは一般公募で選ばれます。また選ばれたゲームには、今回が初めてとなる「トライベッカ・ゲームズ・アワード」の受賞資格も与えられます。こちらは芸術性の高いストーリーテリングを備えた新作ゲームに与えられる賞です。

同賞の新設は、新型コロナがもたらした「大きなチャンス」だとバルテス氏はいいます。これまでと同様のペースと環境で映画を作ることは(さらなる感染拡大への対応として)難しくなりましたが、と同時に困難な状況でも制作されている映画の一部にはゲーム由来のテクノロジーが多く使われています。また大衆娯楽としてゲームの人気が高まるにつれて、文化全般にもそれに呼応した大きな変化が訪れているようです。

「これこそ私たちが長年議論してきたトピックです」とバルテス氏。「私自身も情熱をもって取り組んでいます。ゲームは文化的側面に限定されず、より大きな視野の一部です。私たちはストーリーテリング、またはオーディエンスを惹きつけるための革新的な技術の採用という可能性の一つとしてゲームの存在を重要視しています。現在は様々な表現の形態が混ざり合っているので、何か一つを切り離して考えることはできないと思います」

2018年トライベッカ映画祭で行われた「God of War」についての議論

クレジット:Tribeca

トライベッカ・ゲームズが設立した専門委員会には、映画監督のニア・ダコスタ氏、作家/プロデューサー/監督のジョン・ファヴロー氏(代表作はテレビシリーズ「マンダロリアン」など)、エレクトロニック・アーツ社の共同創業者で投資家のビング・ゴードン氏、「ザ・ゲーム・アワード」のジェフ・キーリー氏、「デス・ストランディング」の小島秀夫氏、「レメディ・エンターテインメント」のクリエイティブディレクターを務めるサム・レイク氏、そして「ハロ・トランスメディア・アンド・エンターテインメント」代表のキキ・ウルフキル氏など錚々たるメンバーが名を連ねています。「ビデオゲームの今後を占う専門家たちを集めました」とバルテス氏。

次の映画祭は、2021年6月9日〜6月20日までニューヨークで開催されます。また2021年は、ロックスター・ゲームズ社の「L.A. ノワール」が同映画祭に正式参加した世界初のビデオゲームとして、歴史にその名を刻んでから記念すべき10周年にもあたります。

2011年以降、トライベッカ映画は「リーグ・オブ・レジェンド」「ゴッド・オブ・ウォー」「シャドウ・オブ・ザ・トゥーム・レイダー」「ビヨンド:ツーソウルズ」「ファイアー・ウォッチ」「フィンチの奇妙な屋敷でおきたこと」などのゲームも特集してきました。ゲーム界のトップクリエイターによるトークイベントも多数開催し、「デス・ストランディング」のリリース直前には、小島氏と主演のノーマン・リーダス氏自身が登壇しています。トライベッカ映画祭は、アメリカ同時多発テロ事件を受けて、俳優のロバート・デ・ニーロ氏、プロデューサーのジェーン・ローゼンタール氏、そしてローゼンタール氏の夫、クレイグ・ハトコフ氏が2002年に設立した映画祭です。

今回セレクトされた作品は、「ナウ・クリエイターズ・マーケット」の選考対象にもなります。これは、オンラインまたは没入型のストーリーテリング分野で活躍する一流のクリエイターたちが一堂に会して、配給会社、エージェントなどを含む幅広い業界関係者に新規プロジェクトをプレゼンするという業界初の試みです。

トライベッカ映画祭で行われた「リーグ・オブ・レジェンド」の演奏

クレジット:Tribeca

「この10年間、私たちはゲームを文化の一つとして捉え、世の中に発信してきました」とバルテス氏。「私たちはロックスター社の『L.A. ノワール』を公式セレクションの一つとしてセレクトしたり、またゲームの社会貢献の可能性に注目する非営利団体『ゲームズ・フォー・チェンジ』とのコラボレーションも行っています」

「私たちはゲームという業界を大きく成長させることを常に目指してきました。実際、本当に素晴らしいゲームを世の中に紹介することができたと自負しています。各種ゲームについての物語を発信し、映画祭にクリエイティブチームを招き入れ、創作活動のプロセスを深く掘り下げてきました。今年はこれまでやってきたことをさらに大きく拡大していこうと思います」とバルテス。                                                                                                                                                

同映画祭の来場者が、VRゲームや映画を楽しむことができるVR/ARエリアを設けたところ、大変な人気を呼んだということです。また、2021年にはゲーム賞候補として「ビジュアル的にパワフルなゲーム」を追加するということです。

新型コロナウイルス感染症対策として2021年の映画祭は完全オンラインで行われる可能性もあります。がしかし、「私たちは、絶対にもう一度このコミュニティを復活させたいと思っています」とバルテス氏。「トライベッカ映画祭は、2011年のアメリカ同時多発テロという惨劇からのコミュニティ再建を目指して設立されました。その意味では、現在と当時の状況には似ているところがあると思います」

この記事はVentureBeatのディーン・タカハシが執筆し、Industry Dive Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで。

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