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知の巨人、レオナルド・ダ・ヴィンチが愛したワインが復活。そのお味とは?
15世紀のイタリアに生きたレオナルド・ダ・ヴィンチはワインが大好物だったと聞いても決して意外ではないでしょう。また科学、芸術など様々な分野で素晴らしい才能を発揮した文字通りの“ルネサンス人”であるダ・ヴィンチが、ぶどう畑を所有していたと聞いても驚きではないでしょう。
しかし、次のことには少し驚くかも知れません。というのも、イタリアの天才の没後500年を記念して、イタリアの醸造所からダ・ヴィンチが用いたものと同じ製造方法で再現したワインが発売されたのです。ついに現代のワイン通にも、自分の目ではなく舌で天才アーティストの“作品”を味わう機会が到来したと言えるでしょう。
レオナルド・ダ・ヴィンチのぶどう畑があったスポットには現在、美術館も建っている
しかし5世紀以上も前に作られたワインを再現する作業は容易ではありませんでした。テレグラフ紙によると、1499年に名画「最後の晩餐」を描いた褒美としてダ・ヴィンチに与えられたぶどう畑があったとされるミラノ市内の土地を掘り返すことからこのプロジェクトは始まりました。この歴史的スポットは惜しくも第二次世界大戦中に破壊されてしまいましたが、研究チームが地下に埋もれていた木の根を発見、それが白ブドウのマルヴァジーア・ディ・カンディア・アロマティカであると断定されたのです。
その後このブドウと同じ遺伝子を持つ品種がエミリア・ロマーニャ州で発見され、2015年にミラノで記念すべき植樹が行われました。
ぶどうの遺伝子の専門家でミラノ大学の教授を務めるイタリア人のアッティーリオ・シエンツァ氏は「ダ・ヴィンチが育てたブドウの木の残骸を見つけるために、まずは瓦礫をどけて、次にその下の地面を深く掘り起こさなければなりませんでした」と説明します。「ぶどうの木は灰と瓦礫の間に挟まって状態良く保存されていました。その後、レオナルドが書いた地図に基づいて我々は彼のぶどう畑を忠実に再現したのです」。
2018年秋、このぶどうの木が初めての収穫を迎え、2019年、ついに最初のボトルがオークションにかけられることになりました。しかし残念なことに「ヴィーニャ・ディ・ミラノ」(「ミラノのヴィンヤード(ぶどう畑)」の意)と名付けられたダ・ヴィンチのワインは簡単に手に入るものではありません。醸造されたのはわずか330ケース……ではなくたった330本(!)で、全てはオークションでの販売のみでした。つまり現在のところダ・ヴィンチのワインを味わうことができた人はとても限られていますが、少なくとも、ぶどう畑の跡地に美術館を建てたラ・ヴィーニャ・ディ・レオナルドとの提携によって生産されたワインであるため、その売上は同美術館の運営に役立つことでしょう。
ダ・ヴィンチ・ワインの生産を手掛けた醸造所「カステッロ・ディ・ルッツァーノ」のジオヴァッネッラ・フガッツァ氏は、市販のワインであってもダ・ヴィンチが飲んだものと非常に近いワインを味わうことができるはずだと言います。「ドライで薫り高く、非常に個性が強いワインです」と彼女はヒントを教えてくれました。「私たちは醸造する際、両取っ手付きのテラコッタの壷をはじめとする昔ながらの道具と手法を用いました。ですので私たちが再現したワインは、500年前にレオナルドが味わっていたのと全く同じワインと言えるでしょう」。ただしこのワインを飲むだけでダ・ヴィンチのような博識な天才になれるかどうかはまだ分かっていません。
この記事はFood & Wineのマイク・ポメランツによって書かれたもので、NewsCredパブリッシャーネットワークによってライセンスされています。ライセンスに関する質問については、legal@newscred.comまでお問い合わせください。