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サッポロビールとミズノの協働開発。スポーツノンアル『サッポロ SUPER STAR』開発秘話。

    PART1.
    INSPIRED BY 「PUHAAH」

    スポーツ後の飲用を目的とした
    ノンアルコールビール「PUHAAH」の存在

    2023年。サッポロビールの新井は、ノンアルコールビールの開発を手掛ける中で、その様々な飲用シーンを研究していました。顧客調査をしていくと、ビールのような爽快感は欲しいものの、「ビール味すぎるとノンアルコールであったとしても後ろめたさを感じて飲むのを躊躇する」という声や、「今のノンアルコールビールであれば、ビールを飲む方が良い」、といった声が聞かれていました。そして、この声が特に大きかったのが運動後のシーンでした。そこで、運動後に前向きに飲みたくなるビールテイスト飲料の可能性を探ることをスタートしたのです。

    開発を進める中で、海外では運動後にノンアルコールビールを飲むという習慣は良く知られているものの、日本ではまだ運動後にノンアルコールビールを飲むという人は少なく、そもそも選択肢にも入っていないことが分かりました。一方でインタビューする中で、「運動後にノンアルコールビールなら安心して飲んでもいいですよ」と話すと、「なんで今まで気づかなかったのだろう?」という反応をされました。つまり、『運動した後にノンアルコールビールを飲む』というシーンは、多くの人が気づいていないだけで、気づいてもらえさえすれば、「それが運動をする楽しさを後押しできる可能性がある」と考えたのです。しかし、実際にどのように気づいてもらうかが大きな課題でした。
     そんな時に目にとまったのが、ミズノと南信州ビールが共同開発をして出したノンアルコールビール「PUHAAH」でした。

    「PUHAAH」の開発秘話の中でミズノはこう話しています。
    “大人がスポーツをする理由はさまざまですが、続ける上で大切なのは「このためになら頑張れる!」という動機を見つけること。しかし、健康やダイエットを動機にしてしまうと、苦しいばかりでなかなか続かないのが現実です。どのような動機であればスポーツを継続することができるのか?それをリサーチをしていく中で出てきたのが「スポーツ後のビールのためなら頑張れる!」という声でした。一方で「スポーツ後のビールは体に悪いし、後ろめたい」という声もありました。そこで「あの一杯をおいしく飲むためにスポーツをする!」そんなスポーツとの向き合い方ができるようにしたい、という思いでミズノはノンアルコールビール(ビアテイスト炭酸飲料)「PUHAAH(プハー)」を南信州ビール株式会社と共同開発したのです。

    開発を始めるにあたっては『スポーツ後のビールの価値とは何か』を徹底的に議論しました。「アルコールが入ってないと満足できないのではないか?」「それは“ビール自体が持つ価値”であって“スポーツ後のビールに求められる価値”ではないのではないか?」議論を重ねた結果、スポーツ後のビールに求められる価値とは『頑張った自分へのご褒美・一緒にプレーした仲間とのコミュニケーションを促進するもの』と定義しました。ミズノはスポーツ後に安心して楽しめる飲料を作ることで「この一杯のために頑張る」や「飲みたいけれど体に悪いから我慢する」という人たちが、スポーツをより楽しめる文化を創り、スポーツを始める人・する人・続ける人を増やすことにつながると考えたのです。

    スポーツ後のビールに必要な条件は2つあります。まずノンアルコール飲料であること。アルコールには利尿作用があり、体内で分解するときも水分を使うため特にスポーツ後は摂取すると脱水症状を引き起こす可能性があり、筋肉の増強にもマイナス作用があると言われているためです。もうひとつは、スポーツ後に飲んだ時「プハ―!次も頑張ろう!」と思える爽快感やテイストを備えていること。この2つが商品の大きな柱となりました。“

    ※出典:「PUHAAH」開発秘話より抜粋
    スポーツ後の飲用を目的としたノンアルコールビール「PUHAAH」を開発

    ミズノ社「PUHAAH」

    「スポーツノンアル」の着想

    サッポロビールにおいて「スポーツノンアル」の構想・開発は、実は、2022年3月頃にスタートしています。その時は、BCAAなども配合した機能性の高いビールテイストを考えていました。ただ、ユーザー調査を進める中で、こういった機能性が高い飲料は、スポーツをするということに対してはあると嬉しいものの、スポーツ後の(ノンアルコール)ビールとして一番うれしいわけではないということも分かってきました。大事なのは、「ビールテイストならではのご褒美感」であり、そのご褒美感があった上で、「運動後に飲んでもいいと後押ししてくれる“何らかの要素”」であることが分かりました。ただ、この“何らかの要素”が難しく悩んでいたところ、「PUHAAH」に巡り合いました。書かれていたことはまさにサッポロビールとしても実現したいことであり、運動後のビールに求められる価値とは『頑張った自分へのご褒美・一緒にプレーした仲間とのコミュニケーションを促進するもの』という定義や、「この一杯のために頑張る」や「飲みたいけれど体に悪いから我慢する」という人たちがスポーツをより楽しめる文化を創り、スポーツを始める人・する人・続ける人を増やすことにつながると考えた、というビジョンにとても共感しました。一方で、このビジョンを1社で実現するのは難しいだろうとも思いました。そこで、「PUHAAH」の取り組みについての話を聞きに長野にある南信州ビールまで訪ねました。南信州ビール・ミズノの「PUHAAH」の開発メンバーとお話する中で、一緒に取り組むことで新たな市場をつくることができそうだと意気投合し、新しいカテゴリー名候補の「スポーツノンアル」というプロジェクト名で、一緒に取り組むことが決まりました。2023年11月のことでした。

    PART2.
    THE STORY OF「SUPER STAR」

    スポーツノンアル「SUPER STAR」誕生までの道のり

    『スポーツノンアル』への取り組みは、今の世の中にない市場をつくるアクションとなります。そのため、通常とは異なる開発プロセスをとりました。その中で、特に「PUHAAH」の開発で得られた知見と、ミズノ社とコラボしたことによる運動している人たちへの直接のヒアリングから重要なヒントを得ました。調査会社などを介することなく、開発者自身が直接話を聞いて、時にはミズノ社員と共に実際にスポーツをして体を動かした状態で、コンセプト・味づくり・パッケージデザインについて、丁寧に検証を重ねつくり込んでいきました。ミズノ社内、ミズノのランニングステーションの会員、そして定期的に運動を続けられているユーザーなどインタビューした数は99件に及びました。そこで得られたエピソードを、コンセプト・味・デザインに分けてお伝えします。

    ①お客様に伝えるべきこと(コンセプトづくり)

    「スポーツノンアル」と言われても、多くのお客様は初めて聞く単語に対して「それってなに?」という反応になると思います。どうしたら、スポーツノンアルの価値が伝わるのか?という事について丁寧に確認していきました。「PUHAAH」での知見も生かしながら、運動をやり切った後の心地よい瞬間を彩り、すがすがしい気分を感じてもらう、それが「これからも運動をしたい」につながっていく存在になれることが分かってきました。味のおいしさはもちろんですが、それよりもさらに重要だったのは、運動した後のシーンに“飲んでもいいもの”であるという納得感。これを伝えるにあたり重要な要素が、「ビールメーカーとスポーツメーカーの本気の協働開発」でした。
     単にそれぞれの名前(マーク・ロゴ)がついているという事ではなく、ビールとスポーツ、この2つに長きにわたり真摯に取り組んできたメーカーだからこそできること。つまり、日本で100年以上にわたりビールづくりをしてきたサッポロビールと、100年以上にわたりスポーツ振興に携わってきたミズノ社が組むことそのものもお客様にとっても大きな価値(信頼感・安心感・納得感)になることが分かりました。
    こういったお客様の感じる価値を現したコンセプトが「サッポロビールとミズノが協働開発した、運動をやり切った後の心地よい瞬間にぴったりのスポーツノンアル」でしたさらにこのインタビューの中で、ビールテイストから外れない範囲でクエン酸や電解質(ナトリウム)を配合することで、2社のコラボであることによる安心感に加えて、運動後に飲む後ろめたさをより低減して、「運動後にも飲んでいいんだ!」という気持ちにつながることもわかり、味づくりにおいてのヒントも得られました。
    ※本製品では、クエン酸・電解質(ナトリウム)を配合したことによる効果・効能はございません。

    ②味づくり

    方向性は決まっていたとはいえ、味づくりは非常に難航しました。ここでも、「PUHAAH」で得られていた知見が大きく役立ちました。ビールらしい味わいをつくる要素の中で、「スポーツノンアル」実現には、何を生かして、何を捨てるべきなのか…。ビールテイストだけどちょっと違い、運動後に飲みたくなる味わいとはどんなものなのか?まずはプロジェクトメンバー全員で、ノンアルコールビールに加えて、運動後や汗をかいた後に飲むような様々な飲料(ノンアルコール飲料に加えて、炭酸飲料・お茶・スポーツドリンクなど)を一堂に集めて、様々な角度から味わいの要素を検証していきました。

    サッポロビール社内でのプロジェクトメンバーとの味づくりの様子

    その結果、報酬感とさわやかさがポイントであるということにたどり着きました。報酬感を得るにはビール味を感じる必要がありますが、ビール味が強すぎると飲むことに後ろめたさを感じてしまう。一方で、飲みやすくするとジュースのような味わいとなり、爽快でおいしいものの、特別、運動後に報酬感を感じるためにわざわざ飲む必要はないという結果に。このバランスをとる際のブレークスルーとなったのが、ホップの使い方でした。ホップには様々な種類がありますがその中でも、フレーバーホップと呼ばれるホップも含めた複数種類のホップを使いつつ、ホップらしい香りと苦みを立たせて爽快な味わいに仕上げることで、飲んだ後にべたつかず、キリっと爽快に飲める味わいに仕上がりました。また、「PUHAAH」の時からスポーツ後のノンアルに欲しい要素としてお客様からも度々リクエストがあったクエン酸も配合しています。この味づくりにおいても、ミズノのイノベーションセンターなどで実際に運動をした後に飲むことをメンバーで実施したうえで、更にはミズノのランニングステーションで実際に運動(ランニング)をされた後に飲んでいただくというリサーチを重ねることで味を絞り込んでいきました。
    ※本製品では、クエン酸を配合したことによる効果・効能はございません。

    ミズノ社イノベーションセンターでのプロジェクトメンバーとの味づくりの様子

    さて、ここで余談を一つ。この味づくりにおいては、運動後と普通のシーンで飲むパターンでも調査を行いましたが、全く異なる結果となりました。最終候補は3案ありました。

    A:ホップらしい香りときりっとした苦みの味わい
    B:葡萄のようなジューシーな香りのさわやかな味わい
    C:味に厚みを付けて苦みも強い、よりビールらしい味わい

    この中で、運動後は、「B」のように軽やかでさわやかな味わいが求められ、通常シーンでは「C」のようにしっかり味に厚みがあるものが選ばれました。ただ、インタビューした時の実際の声を聞いたうえでプロジェクトメンバーとも話して選んだのは、どちらからも選ばれなかった「A」でした。スポーツノンアルを考えたときに、「B」のジューシーな味わいにはおいしさはある一方で、「スポーツドリンクっぽい」、「ジュースの様」、といった声が聞かれ、飲みやすいだけで報酬感を感じていないと思いました。一方で、「C」はおいしいけどビール味で安心感があることで選ばれていると感じました。そのため、報酬感を感じつつ、運動後でも重くなく爽快感を感じられる味わいとして「A」を選択しました。ターゲットとしたシーンで飲んでいただく調査をしたからこそ導き出せた解だと考えています。

    ミズノランニングステーションでの調査の様子

    ③デザインづくり

    お客様との最初の接点となるのが缶のデザインです。ここでも、「スポーツノンアルとは?」ということを考え抜きました。ビールテイストらしいデザインにすることはできますが、分かりやすい一方で、どうしても既存のノンアルコールビールから抜け出すことはできません。そこで、白・金・クリームといったビールらしいデザイン要素から離れ、青・シルバーを中心としたスポーツ感を感じさせるデザインをベースに、サッポロビールとミズノが協働開発したことが直感的に伝わるデザインもつくり、インタビューを繰り返しました。

    結果は予想通りで、ビールらしいデザインの安心感とともに出てきた、「どこかで見たことがある」「今ある商品の派生品?」という言葉。安心感はあるものの、これではノンアルコールビールからは抜けきらず、これはスポーツノンアルと呼ぶには何か足りませんでした。一方で、青とシルバーを中心としたデザインでは、想定通り、「何味かわかりづらい」「ビール味に見えない」という言葉でした。このままではだめだ、どうすればいいのか…。と考えていた時に、インタビューの中で聞いた声が「スポーツノンアルって何だろう?」という興味津々の言葉。味わいは分からなくても、「スポーツノンアル」という言葉があり、2社のロゴがあることで、「どんな味なのか気になる存在」にはなっていたのです。

    開発初期のデザイン案

     そこで、一番フックとなる言葉の「スポーツノンアル」をしっかりと明記したうえで、2社のコラボレーションであること、そして、「スポーツノンアル」であることの最後の後押しとして、「クエン酸配合」も記載したデザインに仕上げました。注目してほしい上記の3つの要素を金にしつつ、ビールテイストらしさを出すために金の面積も増やすことで、「スポーツノンアル」がどういうものなのかをわかりやすく訴求したデザインが完成しました。ビールテイストとほど良く距離がありつつ、それでいて興味をひくデザインに仕上がりました。こうなってくると、青色の爽快さは「スポーツノンアル」として飲んでみた時の商品の表現として納得につながる色となったのです。

    完成したデザイン

    ※本製品では、クエン酸を配合したことによる効果・効能はございません。

     こうして、コンセプト・味わい・パッケージが出来上がり、「スポーツノンアル」のコンセプトが具現化されました。そして最後に大事な要素「ネーミング」についての秘話をお伝えします。

    ネーミングを考える際には、1000案程度の案をつくりますが、その中で選んだのは「SUPER STAR」という言葉でした。調査の中で出てきた、「なんでこんなに苦しい思いして走っているんだろう、といつも怒りながら走っているんです。けど終わった後のすがすがしさを感じるとまた走ろうと思える。」という言葉を聞いて、「スポーツノンアル」の役割は、この頂に登り切ったような、スポットライトを浴びているような状態、つまり、スーパースターのように自分に浸れる状況をつくってあげることだと考えました。

    どんな運動だって、立派な運動。やり遂げた人はみんな「SUPER STAR」。

    そんな思いも込めてつけたネーミングです。くしくも、スポーツの頭文字の「S」を頭文字に二つ持ち、まさに「スポーツノンアル」のために生まれてきたネーミングになりました。

    PART3.
    スポーツノンアル「SUPER STAR」が描く未来

    スポーツノンアル「SUPER STAR」で社会課題を楽しく解決する

    「SUPER STAR」は、ビール代替としてのノンアルコールビールではなく、ビール好きの人が運動を続けるためのモチベーションになり、結果、楽しく健康を維持できることを目指してつくった「スポーツノンアル」です。健康のためには、摂取するもののコントロールと適度な運動が不可欠です。「スポーツノンアル」では、ノンアルコールビールが担ってきた前者に加えて、さらに後者も実現することで、健康寿命延伸という社会課題解決まで実現していきたいと考えています。

    サッポロビール1社では難しかったと思います。ただ、ミズノはもちろん、「PUHAAH」を開発・製造されている南信州ビールとも一緒に取り組めば、決して難しいことではないと考えています。様々なスポーツともコラボしつつ、まずは運動をしている方に浸透させ、その後、今は運動を継続できていない方にもアプローチしていくことで、楽しく健康になっていくことを後押ししたいと考えています。

    さあ、いよいよです。ここから新しいノンアルが始まります。

    「スポーツノンアル、始動。」

    サッポロビール社新井とミズノ社近藤氏の写真

    PUHAAH(プハ―)商品詳細

     スポーツ後の飲用を目的としたノンアルコールビール「PUHAAH」を開発

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