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成功の影には失敗あり? 『【第6回】SAPPORO STAR COMPANYオンファインファンミーティング ~あの大ヒット商品のウラガワ~】レポート

サッポロビール公式ファンコミュニティ「SAPPORO STAR COMPANY(サッポロスターカンパニー/愛称:スタカン)では、サッポロをこよなく愛する“社員”の皆さんとの語らいの場として、さまざまなテーマを設定してのオンラインファンミーティングを定期的に開催しています。第6回となる今回のテーマは、「あの大ヒット商品のウラガワ」。おかげさまで大ヒットを続ける「GOLD STAR」が発売されるに至る背景を、2人のブランド担当が語ります。

GOLD STARを担うブランド担当2人が参加

 前回【第5回】では「男梅サワー」のブランド担当者2人が登場したスタカンオンラインミーティングですが、今回は、「GOLD STAR」の中味を開発した[あらりん]こと新木絵理と、GOLD STARブランド担当の[とっきー]こと時松拓也が特別に運営メンバーに加わっています。

 2020年2月に発売されたGOLD STARは、おかげさまで発売1週間にして60万ケースを販売するほどの大ヒット商品となり、今も多くのお客様ご愛飲いただいています。そんな大ヒット商品のウラガワを語ってもらう、というのが今回のテーマです。

↑GOLD STARの中味開発を担当した[あらりん]。
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↑GOLD STARの現ブランド担当の[とっきー]。

実は今回のファンミーティングは参加者を募集する際に、「失敗して良かったこと」をご回答いただいていて、それについて語っていただくこともコンテンツのひとつとなっています。そう、実は今回のオンラインファンミーティングの裏テーマは「失敗」なんですね。

 スタカンのイベントといえば、乾杯なくしてはじまりません。予定の時刻になると、今回もまずは「かんぱーい!」「サッポロー!」とまず乾杯。そして[わかさん]、[とっきー]、[あらりん]と運営メンバー3人の自己紹介がはじまりました。

↑「乾杯をもっとおいしく。」をモットーとするサッポロビールだけに、乾杯、大事。運営スタッフも含めて飲みながら楽しくオンラインファンミーティングは進行していきます。

 司会進行はいつものごとく、入社の動機になったほど赤星が好きな[わかさん]。お酒はなんでも好きで、東海地方や首都圏などでの勤務経験もある[ とっきー]は、GOLD STARの現ブランド担当。そして3人目は大のビール好きでなかでもエーデルピルスがもっとも好きという[あらりん]。前述のようにGOLD STARの中味開発担当者で、今までCHEER UP!でたびたびインタビュー記事が公開されています。

 まずは場をほぐすためのアイスブレイクとして、参加者の[mero]さんにあらかじめ質問しておいた「失敗して良かったこと」を語っていただくことになりました。

「取引先とお酒を飲んだときのこと。はじめは『お注ぎします』といった感じでおとなしくしていたのですが、だんだんとテンションが上がってしまい、最後のほうでは取引先のかたと肩を組んで『さぁ、飲むよー!』と大盛り上がり。次の日は速攻で謝罪のメールを送りました。

 ただ、取引先のかたからは『すっごい楽しかった』とおっしゃっていただき、取引もとんとん拍子に進み、プライベートで飲みに誘われたりするようになりました。失敗ではあるんですけど、うまく成功につながったというお話です。」([mero]さん)明るくにぎやかな[mero]さんの語り口に、運営スタッフも参加者の皆さんも笑顔を浮かべていました。

 まず最初にマツコ・デラックスさんが出演されている最新のTVCMが紹介されました。「ヱビスと黒ラベルのいいとこどり」と書かれたパネルを手にしたマツコ・デラックスさんが「何言ってるの? そんなうまい話ないでしょ」と容赦なく言い放った後で、GOLD STARをグイっとひとくち。“そんなうまい話があったのか”と言わんばかりな表情を浮かべ、最後に「GOLD STAR!」と自信ありげにグラスを掲げるという内容です。

 ここで改めて[とっきー]がGOLD STARについて説明します。GOLD STARはヱビスのホップと黒ラベルの麦芽を一部使用している、ビールテイストです。まさにサッポロビールの二大看板商品のいいとこどりで生まれた商品。お客様から最も評価いただいている点を、マツコ・デラックスさんにインパクトある形で表現いただきました。

 [わかさん]によればこのCMは社内にも大きな衝撃を与えたとのこと。確かにとてもインパクトのあるCMです。[とっきー]によれば、店頭用ポップにもマツコ・デラックスさんの写真が使われていて、それも話題になっているとか。

ライバル社による衝撃のヒット商品がビール業界を震撼させる

 そしていよいよメインコンテンツ。ここからはGOLD STARの初期において中味開発を担当していた[あらりん]が中心となって、「ヒット商品の成功に隠れた失敗の数々」として、GOLD STAR開発の裏側を語っていきました。

 今でこそ多くのかたにご愛飲いただいているGOLD STARですが、発売に至るまでには失敗も多々あったとのこと。「社内でも知らない人がほとんどかも」([あらりん])という貴重な体験談が披露されていきます。

↑当時を思い出しながら[あらりん]は今までのインタビューなどでは明かしてこなかった極秘エピソードをいくつも語ってくれました。

 

 遡ること7年前。2017~18年にかけて、当時は第3のビールと呼ばれていた新ジャンルは激しい競争環境にありました。ライバル社のある商品が記録的な大ヒットとなったからです。実は[あらりん]、当時は発売10年目を迎えた「麦とホップ」のリニューアルを担当していたと言います。

 [あらりん]たちサッポロビールの社員はもちろんのこと、ライバル社各社もパニックに陥ったそうです。

↑ライバル社の放った大ヒット商品をきっかけに勃発した「新ジャンル戦争」。[あらりん]もこれに参戦すべく、新商品開発をはじめるのですが……。

追撃の「本格辛口」発売!しかし……

ライバル社の新商品の独走状態を阻止するべく、翌年には各社から対抗商品が次々に発売されることになりましたが、結果として各社からは似たような「辛口」の商品が次々と発売されることに。

グラフィカル ユーザー インターフェイス自動的に生成された説明
↑この本格辛口という商品、皆さんは覚えていらっしゃいますか? 「もし飲んだことがあるという人がいたらハグしたいくらい。」とは[あらりん]の談。

 

 [あらりん]もまた「本格辛口」という商品を発売。この本格辛口は、[あらりん]がはじめて中味開発を担当し、全国発売に至った商品でした。TVCMまで作られて大々的に発売されたにも関わらず、本格辛口はなんと「たった3ヶ月」で終売が決まってしまったそうです。

 [あらりん]としては、麦とホップの10年目のリニューアルを潰されたうえ、はじめて中味開発を担当した本格辛口で惨敗し、と、二連敗を喫したことになります。本格辛口の失敗の原因を分析した[あらりん]は、そこから「他者との競争に勝つための商品開発ではお客様に振り向いてもらえない。」という教訓を得るに至りました。

「メーカーとして「勝つ」ための理論で商品を開発するのではなく、あくまでもお客様目線で必要とされる魅力的な商品を創る。今では当たり前と思えることが当時はその真意を理解できていなかった。」([あらりん])

 そんな風に明るく、しかしちょっとだけ自嘲的に語る[あらりん]なのでした。

↑あくまでも目を向けるべきはお客様。ライバル商品ではないのです。誰に向けた商品なのかを見失ってはいけないと、[あらりん]は失敗から学んだそうです。

そしてGOLD STARの開発へ

 本格辛口の失敗は初動の受注数から発売前にわかっていたという[あらりん]は、その時点でもう次の商品開発に進んだと言います。二連敗からの起死回生を図るべく考えたことは、「サッポロビールらしくお客様が飲みたい一杯。」だったとのこと。

 こうして生まれたのが、黒ラベルの麦芽とヱビスのホップを一部使用したGOLD STARだったわけです。これを聞いた[わかさん]は、「どうやったらこういうアイデアを思いつくんですか?」と質問を投げかけます。

 [あらりん]もはじめはブランド名を使うことは思いつかず、「どうやったらサッポロビールにしかできず、買う前からおいしいだろうと思っていただけるものを作れるか」をずっと悩んでいたと言います。

「“飲食店の生”とか、いろんなコンセプトをノートに走り書きしてみたり……。そのうち、『サッポロビールの強み』を思いつく限り書き出してみることにしたんです。今でもそのメモは残っていて、“黒ラベル”と“ヱビス”の名前に○がついているんです。そこからコンセプトを煮詰めて上司におうかがいを立て、GOLD STARの開発がスタートしました。」([あらりん])

 GOLD STARという商品名もすんなり決まったわけではないと言います。候補は100に迫るくらいあったそうで、[あらりん]はこれをクイズにしていました。

この内容は残念ながらファンミーティング参加者の皆様だけへの特別公開でした。

発売前に立ち塞がった心配の声とは?

 商品名がGOLD STARと決定すると、パッケージデザインも本格的に走り出しました。実はここでもかなりの試行錯誤が。いったいどれくらいのアイデアがでたと思います?

グラフィカル ユーザー インターフェイス中程度の精度で自動的に生成された説明
↑「脅威の」とあるように、GOLD STARでは驚くべき数のデザイン案が選考にかけられたそうです。

 参加者の皆さんにも質問してみたところ、「25」「50」「30~40」といった答えが返ってきました。正解は「約100案」。[あらりん]によれば、「これはサッポロビールの商品としてもかなり多いほう」だと言います。しかも商品名がGOLD STARと確定する前のものも含めると、さらに多くのボツデザインがあったとのこと。それだけの候補から最終案を選ぶのも当然、かなり大変だったそうです。

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↑参加者の皆さんにデザイン案の答えを三択で考えていただこうとして1番目に「15」、2番目に「80」といきなり飛んだことに自分で呆れてしまい、「今のはヘタだったな」と[あらりん]にダメ出しをされてしまう[わかさん]。

 こうして商品のディテールが次々と決まっていったGOLD STARですが、まだまだ波乱が待ち受けています。それを[あらりん]は「まさかの、伏兵は、社内に。」と表現しました。

 ヱビスと黒ラベルというサッポロの二大看板をビールでもない新ジャンルの商品のセールストークに使うことへの疑問、さらには失敗したときにはヱビスと黒ラベルの名にも傷がついてしまうのではないかという心配など、社内のあちこちから、さまざまな声が上がったのだそうです。

 そうした荒波のなか、自分を信じて突き進めた理由を[わかさん]から問われた[あらりん]は、こんな風に答えました。

「ひとつは当時の直属の上司がとても理解のある人で、いっしょに社内各所へ説得に回ってくれたこと。もうひとつは、“これほど反対の声が上がるケースはかつてなかったこと”。いろいろな意見が出るのはそれだけGOLD STARが“新しい”から。だからこそ『いける!』と。」(『あらりん])

 そんな紆余曲折を経て無事発売にこぎ着けたGOLD STARですが、前述のように、発売1週間で60万ケースを売るという異例の大ヒットを記録。本格辛口が発売前から失敗が見えていたのとは異なり、発売前からその成功が見えていたそうです。

↑実は黒ラベルとヱビスビールでは、缶に描かれた星の色が違うって、ご存じでした? 初代GOLD STARのパッケージでは、星マークはそれら2色でのグラデーションで描かれているなど、随所に細かい気配りが。

今年1月に実施されたリニューアルを解説

 さて、ここからは[あらりん]から[とっきー]へとバトンタッチ。現在のGOLD STARへと話題が移ります。

GOLD STARは、今年1月にリニューアルを実施しました。去年10月の酒税改正により以前より価格が高くなる状況があり、価格に見合った商品であるとお客様により感じていただけるよう、ブラッシュアップに向けた中味を開発。パッケージのデザインにも変更を加えました。

 ここで参加者の皆さんに現在のGOLD STARの缶のデザインが紹介されました。これまでのGOLD STARのパッケージ色はオフホワイトがベースでしたが、今回はシャンパンゴールドに。

↑これまでのオフホワイトをベースにしたものからデザインを一新。缶体色がシャンパンゴールドとなり、より個性が際立つパッケージとなりました。

 従来目立ち度に課題がありましたが、結果的に売場でも目立つことになり、お客様に手に取ってもらえる機会が増えるなどの改善が見られたと[とっきー]は教えてくれました。

 [わかさん]によると、この大胆なパッケージの変更は社内でも大きな話題となったようです。「やっぱりリニューアルの前日とかはどきどきするものなのですか?」と質問。

「どきどきしましたね。これまでの4年間がほぼ同じ方向性のパッケージだったのを、今回のリニューアルでは大胆に変更していますから。不安な日々が続きました(笑)」([とっきー])

 ブランド担当を引き継ぎ、リニューアルを経験した[とっきー]も、GOLD STARの歴史を知って失敗から学んだ教訓があったと言います。それは、「ひとりひとりのお客様に向かい合いて、お客様の満足度を高める。」ということだそうです。

 いいものを作れば売れると限らないのが商品づくりの難しさ。GOLD STARをご愛飲してくださるお客様からはどこを愛してくださっているのかを、そうでないお客様からもなぜ手に取っていただけないのかを学び、得た知見をリニューアルへと活かす。他社との競争だけに捕らわれず、きちんとお客様を理解することを[あらりん]から学んだと[とっきー]は語りました。

これからのGOLD STAR

 そして最後に今後のGOLD STARへと話題が移りました。GOLD STARの缶にはブランドとして決意表明とも取れる文言が入っていると[とっきー]。

「うまい、どこまでも。」

今回のリニューアルでは、「新・うまいどこまでも製法」により麦の味わいがアップ。「力強く飲み飽きないうまさ」に磨きをかけました。

 その甲斐あってか、リニューアル後の調査では、「おいしい」とのご回答が100%に到達する快挙を成し遂げたのだそうです。発売前から今に至る紆余曲折を知り、リニューアルでは不安に駆られた[とっきー]だけに、「なかなかないことでうれしかった」という言葉に重みが感じられました。

 ただ、ここで立ち止まっているわけにはいきません。先ほどの「100%」は、「おいしい」と「とてもおいしい」というご回答を合わせたもの。「これからは『とてもおいしい』という回答が100%になることを目指して頑張る」と、[とっきー]はその決意を語りました。

 最後にMC役を務めた[わかさん]がまとめます。

「失敗を糧に成功を目指す、新しいものを開拓するGOLD STARの歴史は、サッポロビールが大切にしている「開拓者精神」に通じるものです。GOLD STARに限らず、サッポロビールはお客様の心を動かすためには何が必要かをしっかり考えつつ、この開拓者精神を大事にしながらこれからも新しい商品を皆さんにお届けしていきます。

 サッポロビールが2020年に掲げた新ビジョンは「誰かの、いちばん星であれ」というもの。[わかさん]をはじめとするスタカン運営スタッフは、今回のようにさまざまなイベントを通してサッポロビールのものづくりの姿勢や商品をより深く伝え、より多くの人にとっての「いちばん星」になれるよう頑張ります。」([わかさん])

「長々としゃべっちゃいましたけど」と続けた[わかさん]は最後にまた乾杯を提案。

「かんぱーい!」

「サッポロー!」

 こうしてスタカンらしく乾杯を持って第6回目にあたるスタカンオンラインファンミーティングは幕を閉じたのでした。

↑乾杯にはじまり、乾杯に終わる。これがスタカン流なのです。

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(文・写真=稲垣宗彦)

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