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「ニッポンのシン・レモンサワー」開発物語 前編 迷わず選べる、レモンサワーの「シン・定番」 ブランドマネージャー・黒柳真莉子インタビュー

サッポロビールは2023年も新しい商品提案を行っていきます。なかでもRTD(Ready To Drink:開栓後すぐに飲めるアルコール飲料)では3月22日発売の「ニッポンのシン・レモンサワー」が要注目!! 「ポッカレモン100」でおなじみ、ポッカサッポロフード&ビバレッジとの協働開発により、ニッポンの人々に広く愛される「シン・定番」となるべく生まれた商品です。

この「ニッポンのシン・レモンサワー」が生まれた背景について、ブランド担当、そして開発に携わったポッカサッポロの“レモンマイスター”へのインタビューを、前後編の2回に渡ってお届けします。

前編となる今回は、「ニッポンのシン・レモンサワー」のブランド担当である黒柳真莉子が、この商品が生まれることになった経緯などを語ります。

■レモンサワーに迷える日本人へ

――「ニッポンのシン・レモンサワー」が3月22日に発売されます。この商品が開発されるに至った背景を教えていただけますか?

黒柳真莉子(以下、黒柳):コロナ禍を受けて、お客様のあいだでおうちでお酒を飲まれる楽しさに理解が深まり、RTD市場は急激に伸びました。

そこに加えて、今年は酒税法の改正が予定されています。具体的に言うと、新ジャンルと呼ばれるビールテイスト飲料の税率が上がり、ビールは逆に下がるんですね。これによって、お客様の動向が大きく変わり、その受け皿となりうるRTDは、まだまだ伸ばす余地があると考えています。

RTDの内訳を見ると、やはり最大のカテゴリーは、レモンサワー。今後のRTD市場を見据えて、改めてここにゼロから取り組んでみようというのが、「ニッポンのシン・レモンサワー」の開発背景です。

――なるほど、RTDはまだまだ大きく伸びるからこそ、そのメインとなるレモンサワーを改めて考え直すということだったんですね。

黒柳:レモンサワーはもともとチューハイのなかの代表的なフレーバーという位置付けでした。しかし、知名度が上がり、商品種類が増え、今ではチューハイという枠組みから独立したひとつのカテゴリー、つまりビールやハイボールと同格に見られているような状況にあります。

それくらい、レモンサワーは商品の種類が多いですし、RTDのなかでも重要な位置を占めているんです。

しかし、現在はこの「選択肢の多さ」がかえってマイナスの状況を生んでいるとも言えるんです。

――どういうことでしょう?

黒柳:レモンサワーはこれまで商品の種類を増やしつつ、その市場もどんどん成長してきていたのですが、ここにきて、一種の“踊り場”に来ている状況です。

――伸びが停滞しているということですか?

黒柳:その通りです。私たちはさまざまな調査を通じて、この踊り場が「種類があまりに多すぎて、何を選べばいいかわからない」、つまり迷いが生じているからこその伸び悩みじゃないかと分析しました。

新商品を出すということは、選択肢が多すぎて伸び悩んでいるなかに、また新たな選択肢を用意することになります。一見すると矛盾するようですが、こういう状況を打破するには、

「これを選べば間違いない」というような、ブランドが必要だと考えました。それが新たな定番つまり「シン・定番」を目指すべく生みだした「ニッポンのシン・レモンサワー」なんです。


発売間近の商品を前に、「ニッポンのシン・レモンサワー」についてのインタビューを受けるブランドマネージャー・黒柳真莉子。尖った部分を作るよりも、レモンサワーとしての定番としてどんな味が求められているかを考慮して「ニッポンのシン・レモンサワー」は作られた。

■求められているレモンサワーのおいしさとは?

――数多くの商品がひしめくレモンサワー市場に新たな商品で斬り込んで行くのは大変なことのように思います。

黒柳:開発に当たっては、現在市販されている数多くのレモンサワーをブラインドテストで飲み比べをして、「おいしいレモンサワーとはどういうものか?」を見つめ直すところからはじめました。

ブラインドテストの様子②.jpg
ブランドテイスティングの様子

市販されているレモンサワー数十種類を揃えて行われたブラインドテスト。「ニッポンのシン・レモンサワー」開発の際には、メーカーを問わずどんなレモンサワーが世の中に存在するのかを改めて確認し、そのうえでこれから作る新たなレモンサワーの味わいを決めていった。

――メーカー関係なく、ぜんぶですか!? いったい何種類くらいあるんでしょうか?

黒柳:手に入るものは一通り揃えたところ、数十種類くらいになりました。さすがにぜんぶを試飲するのはすごく大変な作業で(笑)。調査項目もけっこう細かくたくさんありましたし、一口ずつ飲むだけでもトータルではけっこうな量になります。それに後から味を確認するために飲み直したりもしますし……。

そうやってぜんぶを飲み比べてみると、すっきりした飲み口のものから、果汁感満載のものなど、改めてレモンサワーの味は多岐にわたっていることに驚かされました。

いろいろな味わいの商品があるなかで、「チューハイとしてどれがおいしいか?」を考えてみると、これが案外と難しくて。

――チューハイってわりと手軽に、頻繁に飲まれるお酒ですよね。

黒柳:そうなんです。たとえば(弊社商品の「レモン・ザ・リッチ」のような)果汁が濃厚に感じられるものは確かにおいしいのですが、日常的に飲まれるお酒というよりは、少し特別でご褒美的なシーンなどで飲まれていると感じています。。

こうしたボリューミーな味は本当にお客様に求められているんだろうか?

そんな議論が生まれたんです。

実はすっきりしていて日常的に飲み飽きない味わいにこそ、レモンサワーとしての本質的な価値があるんじゃないか、レモンサワーを手に取りたいときの気持ちにマッチしているんじゃないかと気づいたんです。

――商品の数が多いジャンルだからこそ、新商品では目立つこと、インパクトを重視したくなるところですが、皆さんが出した結論はそうではなかったということですね。すごく個人的な感想で申し訳ないんですけど、レモンなどの柑橘系の果汁感を重視した商品は、美味しいと思う反面、飲んだ後に喉に絡む感じがあって、少し苦手なんですよね。

黒柳:実は私も同じように感じるときがあります。

ただ、レモンサワーって、その商品の成り立ちとして考えても、レモンの果汁がしっかり感じられることが大事であることも確かなんです。果汁感が薄いと、どうしてもアルコールなどの尖った部分が感じられてしまって、ケミカルな印象が生まれてしまいがちでもあります。

市場調査の結果を見ても、「しっかりした果実感がありながら、それでいてすっきり飲めるもの」が求められているのは間違いなさそうでした。

でも、数十種を飲み比べてみてわかったのは、その「求められている味」にマッチした商品は、なかなか存在しないということ。レモンサワーの本質を追究した新商品を改めて世に送り出すことで、お客様の迷いを解決する。そんな狙いを込めて、「ニッポンのシン・レモンサワー」を開発しました。

ブランドテイスティングの様子
ブランドテイスティングの様子

商品名を伏せたままの各商品の飲み比べを行い、そこで感じたものを評価シートへと記載していく。評価項目は多岐にわたり、ひとつの商品を評価するのもけっこうな時間を要したとのこと。数十種類のレモンサワー飲み比べ。うらやましいような、そうでもないような……?

■ポッカサッポロとの協働開発も注目ポイント

――「ニッポンのシン・レモンサワー」では、レモン型容器の「ポッカレモン100」で知られるポッカサッポロとの協働開発も話題のひとつとなっています。これは商品企画の初期から決まっていたことなんですか?

黒柳:そうですね、レモンサワーの商品開発に改めて取り組むにあたって「サッポロビールとしていちばんよいものを出そう」と決めました。そこから自然と生まれた流れでしたね。

実は今までも素材を提供してもらったりというコラボはあったんです。でも、今回のように、中味の開発からポッカサッポロのメンバーといっしょに行ったレモンサワーは初めてですね。

缶の裏面にも「ポッカレモン Professional」というロゴが入っていますが、これはポッカサッポロのオリジナルレモン素材を使っている証。ただ今回は素材を提供してもらうだけでなく、中味開発のゼロ段階から、どういう味に仕上げるか、そのためにはどんな素材が最適なのかと、レモンのプロ、レモンマイスター2人といっしょに味を作り上げています。

――「しっかりした果実感がありながら、それでいてすっきり飲めるもの」を目指されたというお話でしたが、具体的にはこれをどう実現されたのかを教えていただけますか?

黒柳:実はポッカサッポロとの協働開発が決まった直後は「すっきり」にあまり重点は置かれていませんでした。いちばん最初は協働開発ならではの果実感満載のスペシャルなレモンサワーを目指していたんですね。価格ももっと上、まさにハイエンドなものになってもいいというくらいの感覚です。

でも飲み比べを行って改めて「飲み続けても美味しく感じられる」ことも大事だと、大きく別方向へ舵を切りました。

果実感を重視して、一口飲んで感動できるようなインパクトを求めるのもひとつの手でしょう。でも、「ニッポンのシン・レモンサワー」では、2口目、3口目と飲み進めていくほどにじわじわとおいしさを実感してもらえるものにしたいと考えるようになったんです。

――「ニッポンのシン・レモンサワー」を飲んでみると、しっかりとしたレモン果実のおいしさが感じられながらも、それが行きすぎてないところに好感が持てました。この贅沢すぎないバランスを取るのは大変だったのではないでしょうか?

黒柳:本当に難しかったです。試作を重ねて少しずつ最適なバランスを探していったわけですが、ここでレモンマイスターというプロの視点を取り入れられたことは大きなプラス要素でしたね。素材の選定などに、レモンのプロとしての知見がとても役に立ちました。

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サッポロビール本社前

「ポッカレモン100」でおなじみのポッカサッポロも、サッポロビールと同じサッポロホールディングス傘下の企業。サッポロビール本社前の庭園には、ポッカサッポロの代名詞ともなっているレモンの木が何本も植えられている。

■松重豊さんを起用したテレビCMも必見!!

――テレビCMには松重豊さんを起用しているんですね。

黒柳:キーコピーは、「レモンサワーに迷える日本人へ」。迷える羊となっている人たちの真ん中に立つ松重さんが、「ニッポンのシン・レモンサワー」を飲んで「ウメ~」と鳴くという、ちょっとユーモアを効かせた内容です。

種類が多すぎて何を選んだらいいのか迷っている人に、その答えとして、「ニッポンのシン・レモンサワー」を提案しています。

――テレビCMでは中味について、たとえばポッカサッポロとの協働開発みたいなことは触れていないんですね。

黒柳:そうですね、実はこういう内容になるまですごく大変だったんです。

やっぱり最初は協働開発のことですとか、素材のよさや味など、“上質感”を押し出したようなものになる予定でした。

でも、「ニッポンのシン・レモンサワー」は、「レモンサワーのよさとは?」と立ち返ることで生まれた商品です。上質ではあっても特別なものではなく、もっとカジュアル。手軽に手に取り、日々の暮らしに寄り添うような存在を目指しているんですね。

――ユーモラスに描いていますけど、意外とメッセージ性が強いですよね。

黒柳:はい、迷っている人にこそ手に取っていただきたいと伝えるには、キャッチーなだけでなく、説得力もすごく必要だと考えました。松重豊さんを起用したのは、「迷ったときにこれを選べばいいのか」とか、「あ、これ美味しいんだな」という説得力を感じていただけるCMになると思ったからです。

松重豊さんに出ていただけば、「この人が言うんだから美味しいんだろうな」と、お客様にそんな確信をしていただけるだろう、と。

――このCMではターゲットとして想定してる年齢層はあるんですか?

黒柳:今回は年齢とか気にせず、まずは日常的にレモンサワーを愛飲してくださっているお客様に見ていただきたいんです。そのうえで、「レモンサワー選びって、迷いますよね?」っていう部分に共感してくださるお客様に響いてくれればと思っています。

売り場でたくさんあるレモンサワーを前に、「これが松重さんが羊のかっこうしてるCMのか」と手に取っていただき、飲んだあとで「あ、“シン・定番”って、こういうことか」と気づいていただくのが理想ですね。

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ニッポンのシン・レモンサワー」のテレビCMやポスターでは、松重豊さんを起用。”迷える羊”に扮した松重さんが、レモンサワーに迷える日本人へ向け、「ニッポンのシン・レモンサワー」を強烈にアピールしている。

さて、前編はここまでです。次回後編では、ポッカサッポロのレモンマイスターの2人が「ニッポンのシン・レモンサワー」開発に秘められた物語を語ります。

ぜひ、お楽しみに。

マーケティング本部 ビール&RTD事業部「ニッポンのシン・レモンサワー」担当 黒柳真莉子

2015年サッポロビール株式会社に入社。東海北陸エリアのマーケティングを経験した後、3年間RTD(レディ・トゥ・ドリンク:購入してすぐに飲める缶やペットボトル入りの飲み物)の商品開発に従事。2021年にビール&RTD事業部に着任、現在はニッポンのシン・レモンサワーをはじめとするRTD商品のブランドマネージャーを担当している。

後編はこちらから▼

「ニッポンのシン・レモンサワー」開発物語 後編 “サッポログループ”の強みを活かした協働開発が生み出したおいしさ 

(文・写真=稲垣宗彦)

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