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いまさら人に聞けないシャンパンの基礎知識

世界中のさまざまなお祝いの席で飲まれているシャンパン。

“セレブ”なイメージもありますが、基礎知識を知れば、気後れする必要なんてまったくありません。

シャンパンで輝くグラス Serghei Starus / Getty Images

「シャンパン」と聞くとどこかお高いイメージがあるかもしれませんが、家族経営のワイナリー「シャンパーニュ・アンリエ・バザン」でワイン作りを手がけるニコラス・レノンは、そういった普段はシャンパンから距離を置いている人にこそぜひ飲んで欲しいといいます。なぜならシャンパン初心者は品質に対する先入観がないため、その味を正当に評価できるといいます。

「シャンパンは私の魂そのもの。心臓のように私の人生のリズムを刻んでいます。四季をその味で描き出すシャンパンを飲むことで、自然そのものを感じ取ることができるのです」とレノンはいいます。「ぶどう畑の状況を見て天気について理解します。土を耕し、ぶどうの世話をし、収穫し、ワインを造る。そしてそのワインを販売するところまでが私の仕事。ワインは私の人生の全てだと胸を張っていえます」

それでは、シャンパーニュ・アンリエ・バザン5代目で妻のマリー=ノエル・レノン=アンリエと一緒に、ワイン作りに精を出すレノンとともに、いまさら人には聞けないシャンパンの基礎知識をおさらいしてみましょう!

そもそもシャンパンとは何?

シャンパンは、生産地シャンパーニュ地方の名を冠したスパークリングワインです。さらにいうと、ぶどう栽培からグラスに注がれるまで、無数の生産工程を網羅した厳しい規定をクリアしなければ、そのラベルに「シャンパン」と記すことは許されません。のちほど詳しく触れますが、ぶどうの品種や栽培地域、選定、収穫、製法(シャンパーニュ製法または伝統的な瓶内二次発酵製法)、アルコール度数、最低瓶内熟成期間(15カ月)にいたるまで、実に事細かに定められています。

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シャンパンの作り方

それでは、シャンパーニュ製法について説明しましょう。シャンパンは何百年もの間この製法に従って作られてきました。シャンパーニュ地方のスパークリングワインを特別なものにしている秘密はこの製法にあります。例えば、イタリアのスパークリングワインであるプロセッコは、シャンパンとは全く違う密閉式タンク方式で作られています。どちらも一次発酵では発泡性のないドライな原酒を作り、二次発酵でフランス語で「リキュール・ド・ティラージュ」と呼ばれるイーストと砂糖の混合物を加えます。

「シャンパーニュ地方では、二次発酵の際に瓶の中で起こる発泡プロセスを自然に任せています。瓶内に密閉されているため、発酵によって生まれる炭酸ガスは逃げ場がなく、自然とワインに溶け込んで発泡するのです。何でも人の手を加えずに自然に任せておけば上手くいくんです!」とレノン。

統計によると、現在この地方にはおよそ1万6000軒のぶどう栽培農家、4300人の小規模シャンパン生産者、そして370のシャンパンハウス(=メーカー)があるということです。

小規模シャンパン生産者やメーカーなどの作り手は、レコルタン・マニピュラン(RM)とネゴシアン・マニピュラン(NM)の2つに大きく分類できます。RMは自分の畑のぶどうだけでシャンパンを作り販売まで行う独立した生産者を指します。レノン夫妻もこのカテゴリーに入ります。RMが作るシャンパンの国際市場での流通量はごくわずかです。

「ヴーヴ・クリコ」「モエ・シャンドン」をはじめとする有名ブランドが名を連ねるNMは、栽培農家から買い付けたぶどうや、仕入れたぶどう果汁、原酒を自社工場で醸造し、販売まで手がける個人や法人を指します。一般的に出回っているシャンパンはほとんどがNMのものなので、これまで指で数えるほどしかシャンパンを飲んだことがなければ、それはNMものであった可能性が非常に高いといえます。NMは、グランド・マルク(大手生産者)とも呼ばれます。

プロのヒント:どちらのカテゴリーのシャンパンかわからない場合は、ラベルに書かれている「RM」または「NM」の文字を探してみてください。

シャンパンに使われているのはどんなぶどう?

シャンパンに使うことが許されているぶどうは7品種ですが、ピノ・ノワールシャルドネ、ムニエの3つがもっとも一般的です。シャンパーニュ・アンリエ・バザンでもこの3種類を使っています。レノンは「有機栽培農家としての私たちの目標は、栽培した土地の味を感じさせるぶどうを収穫すること。シャンパンのフレーバープロフィールは、品種はもちろん、表土、底土、勾配など、ブレンドに使われるぶどうが育ったテロワールの要素に左右されるのです」と説明します。

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フランス北西部(パリからクルマで1.5時間)に位置するシャンパーニュ地方は、石灰岩の底土層をもつ白亜質土壌です。畑の場所によっては、石灰岩、白亜土、泥灰土などの堆積岩の地層が表面化しているところもあります。水はけが良くミネラル豊富なこの種の土壌が、数あるスパークリングワインのなかでもシャンパンの地位を不動のものとしているユニークなミネラル性を生み出すなど、数々の恩恵をもたらすのです。

またシャンパーニュ地方は、大陸性気候と海洋性気候が混じり合う特有の気候と、急勾配の土壌に降り注ぐ豊かな陽光でも知られています。このテロワールと環境の多様性が畑ごとに異なる個性を生み出しているといわれています。

シャンパーニュ地方を構成するエリア

シャンパーニュ地方は、地理的には、グラン・テスト地方、オー=ド=フランス地方、イル=ド=フランス地方の3つの区域に分けられます。これらがさらにオーブ県、エーヌ県、オート=マルヌ県、マルヌ県、セーヌ=エ=マルヌ県の5つの県に分かれるのです。

このなかに4つの主な生産地域、モンターニュ・ド・ランス、コート・デ・プランとコート・ド・セザンヌ、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コード・デ・バールがあります。この4つの地域だけで、なんと319もの村が存在するのです。シャンパーニュ地方の主要都市であるランスやエペルネーには聞き覚えのある方もいるでしょう。

シャンパンのさまざまなスタイル

シャンパンやスパークリングワインに限っては、砂糖の使用を蔑視する必要はありません。最終的に瓶詰めする前に、酵母とショ糖を混ぜた液体「ドザージュ」を添加することは、広く行われている認められた工程です。そのシャンパンの甘辛度は1リットル中の糖分の量(g/ℓ)で決まります。

ブリュット・ナチュール(糖分添加なし。「ノンドゼ」「ドザージュ・ゼロ」とも呼ばれる): 1リットル中の糖分3g以内(超辛口)

エクストラ・ブリュット(極辛口):1リットル中の糖分6g以内

ブリュット(辛口。もっとも一般的):1リットル中の糖分12g以内

エクストラ・ドライまたはオフ・ドライ(やや辛口):1リットル中の糖分12~17g

セック(やや甘口):1リットル中の糖分17~32g

ドゥミ・セック(甘口):1リットル中の糖分32~50g

ドゥー(極甘口):1リットル中の糖分50g以上

今ワイン界隈で非常に人気が高いのは、辛口のシャンパンです。これは、ここ数百年の間にワイン愛好家がドライな味を好むようになってきたことに関連しています。18〜19世紀には甘めのシャンパンが大人気でしたが、変わりゆく需要を反映してドザージュもだんだん減らされていきました。しかし、飲みもしないで甘口を悪くいうのはやめましょう。甘めのシャンパンとデザートは、とても素敵なペアリングになり得るのです。

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シャンパンのラベルに年号(ヴィンテージ)が記されているものとそうでないものがあることに気づいた方もいるでしょう。ヴィンテージが明記されているということは、その年に収穫されたぶどうだけを使って作られた、単一年を代表するワインだということです。市場の大多数を占めるノンヴィンテージ(NV)シャンパンは、複数の年にわたって収穫されたぶどうから作られています。

これに対し、収穫年のぶどうの生育状況によって出来不出来が決まり、瓶詰め後最低3年間は出荷することができないヴィンテージシャンパン(NVは15カ月)は、かなりレアな存在です。

さらにシャンパンの分類を決めるもう一つの要素は、赤や白といったぶどうの色と出来上がったワインの色です。(シャンパンはブランかロゼのどちらか。)

よく見かける「ブラン・ド・ブラン」は“白の中の白”という意味で、白ぶどうのみで作った白ワインを指し、シャンパンの場合はほぼすべてがシャルドネになります。「ブラン・ド・ノワール」は赤ぶどうの実のみで作った白ワインで、シャンパンの場合ほとんどがピノ・ノワールとムニエで作られます。いずれも記載されていない場合は、赤白2種類のぶどうをブレンドしていると考えてよいでしょう。

シャンパンってどんな味?

ラストは、みなさんが一番気になる質問です。シャンパンは一体どんな味がするのでしょう? シャンパンの味を決める第一は、使われているぶどうです。前述の7種類の許可されたぶどうから数種類を組み合わせるのが一般的です。同じくテロワールと職人の技も味の決め手になります。シャンパンといえばキリッとした酸味と軽やかで生き生きとしたボディが特徴ですが、瓶内の澱とともに最低でも15カ月、時には7年も熟成されるため、ブリオッシュやナッツの風味を感じさせるものも多いです。シャンパンを飲んでみると、さまざまなフルーツやフローラル、スパイスのフレーバーが鼻と舌で感じられますが、これほど多様な飲み物をひと言で表現することはできません。レノンがいうように、シャンパンを本当の意味で体感するには、飲んでみないことには始まらないのです。

この記事はFood & Wineのセリーヌ・ボッサートが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで。

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