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ヒャダインさんと巡る、ヱビスのお店——鉄板の香りに誘われて。裏路地でたどり着いた「たこえびす」

    恵比寿に降り立つと、なぜか無性に“ヱビス”が飲みたくなる——。

    その理由を探しに、ヒャダインさんとともに恵比寿の街へ。昔ながらの居酒屋から気軽に立ち寄れるビストロまで、ジャンルも表情も異なる飲食店を巡りながら、料理とヱビスビールが生む“ちょうどいい贅沢”を味わいます。店主さんとのちょっとした会話、グラスに立ちのぼる香り、そして思わず誰かに話したくなるひと口。

    次の週末、恵比寿のあの店で、ヱビスビールを飲みたくなる理由がきっと見つかるはずです。

    夕暮れどきの恵比寿。ヒャダインさんが、恵比寿駅東口方面を何とはなしに歩いていると、少しずつ飲食店の明かりが灯りはじめてきた。

    だんだんと街が活気を帯びてくるなか、どこからか、なにやらソースの香ばしい匂いが。

    「たこ、たこ、たこ。……ヱビスビール」

    上京後、作曲家として徐々に活躍しはじめた2006年頃に恵比寿へ引っ越し、この街に住んでいたというヒャダインさん。このお店「たこえびす」の前も、当時から幾度となく通りかかっていたという。

    ソースの香りに、大阪人の血が騒ぐ。

    「今日はここしかない!」と、誘われるように暖簾をくぐった。

    鉄板の香りと活気に包まれる、恵比寿のお好み焼き酒場

    「たこえびす」は、恵比寿の地で愛されて37年目を迎えるお好み焼き居酒屋。店主の馬場さんによると、この店は先代が始めたたこ焼きの屋台を原点としているという。

    メニューは常連のお客様を飽きさせないための工夫にあふれており、好みやリクエストに細やかに寄り添う対応力は個人店ならでは。実は、今あるメニューの多くも、お客様の「これが食べたい」という声に応えていくうちに残り、磨かれてきたものばかりだそうだ。

    「隠れ家のように、あえて少し入りづらい店構えにしているんです」と馬場さんは言うが、一歩中に足を踏み入れると、そこにはアットホームで温かい空間が広がっている。気さくな馬場さんとの何気ない会話だけで、ヒャダインさんは「ここは良いお店だ」と早くも確信する。

    店内でも特に人気なのが、“アリーナ席”と呼ばれる鉄板前のカウンター席。一人で訪れるお客様も多く、スタッフとの軽快な会話を肴に、思い思いの時間を楽しめる。

    「まずはヱビス」。そこに込められた、徹底的な職人魂

    店内に心を躍らせ、ヒャダインさんが席に着くなり、注文を。

    「やっぱり恵比寿に来たら、ヱビスを飲むのが粋ですよね。ヱビスビールをください!」

    目の前に運ばれてきたのは、黄金色に輝くヱビスビール。

    グラスに描かれた恵比寿さまと目が合う。ありがたい1杯、いただきます。

    「やーおいしい! 泡がものすごくクリーミーですね」とヒャダインさん。

    そのおいしさには、確かな理由がある。「たこえびす」のスタッフは全員、ヱビスビールに対して“本気”なのだ。

    毎日のサーバー洗浄や細かなパーツの手洗いは欠かさない。グラスももちろん丁寧に手洗いしている。これらを徹底したうえで、余計なことはせずに最高の状態で提供する。さらに、店内には厳しい審査をクリアした「Master of YEBISU」の認定資格を持つスタッフも在籍している。

    「僕がアルバイトとしてこのお店に入った時からずっとヱビスビールだったんですよ。恵比寿に来てヱビスビールを飲んでいただくからには、やっぱりわれわれ“飲食人”が徹底的にこだわっていかないと」と馬場さんは熱く語る。

    毎日の徹底した管理があるからこそ、飲み進めてもクリーミーな泡がよみがえる「フロスティミスト」が生まれる。

    馬場さんの熱を感じ、ヒャダインさんも返す。

    「最近、自分の中で醸造酒ブームが来ていて、改めてビールっておいしいなと」

    「家で猫を飼っているんですけど、猫が毎日同じご飯を飽きずに食べるのが不思議だなと思っていたんですよ。でも、このビール、特にヱビスなら、『人間も毎日これでいいな』って改めて思いました(笑)」

    ビールが欲しくなる、“板”のかたちをした餃子

    ——「ビールと餃子」。

    わずか6文字で、ここまで大人の心を躍らせる言葉が他にあるだろうか。まずはその黄金コンビを堪能しよう。「たこえびす」発祥の名物料理、「板餃子」の登場だ。

    創業以来のオリジナルメニューであるこの餃子は、春巻きの皮で包まれているのが特徴。その名の通り、板のように薄く仕上げられている。「プレーン」「青じそ」「紅生姜」など種類も豊富で、ほとんどのお客様が注文するという鉄板メニューだ。

    鉄板で焼き上げられると、食欲をそそる香りが立ちのぼる。

    それをアテに、ヱビスビールをもうひと口。

    「パリパリ! あーうんまい!」と思わず感想がこぼれる。

    「春巻きの皮を使っているから香ばしくて、中には旨味がぎゅっと詰まっています。一つひとつ丁寧に仕込まれているのが伝わりますね。そして、コクと苦みのあるヱビスビールとめちゃめちゃ合います」

    スクランブルエッグが乗った、たこえびすのお好み焼き

    板餃子を味わっている間にも、鉄板の上では「お好み焼き」の準備が進む。具材は好みに合わせて3種類選ぶことができ、今回は「豚肉」「えび」「大葉」をチョイスした。

    「うちのお好み焼きは、ちょっと広島寄りの焼き方なんですよ。大阪のお好み焼きは生地と具材を全部混ぜ込みますが、うちはクレープ状に生地を敷いて、その上にキャベツをこんもり乗せ、さらに上から生地をかけてじっくり浸透させながらふっくらと焼き上げるんです。この焼き方は、他ではあまり見かけないかもしれません」と馬場さん。

    鉄板で焼かれている様子を見て、大阪人であるヒャダインさんの目が光る。

    「お好み焼き、結構大きいですね!」

    「確かに、普通のお店の1.5倍くらいはあるかもしれません。これでも一応抑えているつもりなんですけど、いやぁ、ついつい大きくなっちゃうんですよね(笑)」と馬場さんは嬉しそうに話す。

    そうして焼き上がったお好み焼きを口に運ぶ。

    「いきなり大葉に当たりました! これが良いアクセントになっていてめっちゃおいしい! 上にスクランブルエッグが乗っているお好み焼きは初めて食べましたが、ソースのパンチがありつつも全体がまろやかになって、これまたヱビスビールと最高に合いますね」とヒャダインさん。

    ボリューミーに見えるが、蒸し焼きにされたキャベツが軽やかで、お箸が止まらない様子だ。

    店名の“たこ”が盛りだくさんの、ねぎ焼き

    締めくくりに登場したのは、こちらもお店の名物である「ねぎ焼き」。九条ねぎをこれでもかと贅沢に使った一品で、今回は「たこ明太」味をチョイス。こちらも圧倒的なサイズ感だ。

    ゴロゴロと入った大きなたこは、「たこえびす」の名にふさわしく、北海道産の水たこを使用するこだわり。甘みがあって柔らかいためチョイスしたそう。

    「レモンが乗っているのは珍しいですね」とヒャダインさん。

    出汁醤油で味付けされており、レモンをかけていただく。

    馬場さんは言う。

    「お客様からの『ちょっとさっぱり食べたい』というリクエストから生まれたんです」

    口に入れたヒャダインさんから、感嘆の声が漏れる。

    「ホットケーキより厚くて、こんなねぎ焼きは人生初です! そして水たこが本当においしい。たっぷりのねぎの風味が味わい深くて……ぷふあぁぁぁ、ヱビスが染みる……!」

    ヒャダインさんは魅力的な鉄板料理を平らげたのち、改めて感想を。

    「たこえびすさんのメニューは、奇をてらっているわけじゃないのに、他にはないオリジナリティあふれるものばかり。それがすべて『お客様に喜んでほしい』というホスピタリティからきていることに感動しました」

    「関西人ってお好み焼きの味にはちょっとうるさいんですけど、文句なしにばっちりです! おいしい粉もんとビール、そして店主の馬場さんのお人柄。最高の時間でした」

    馬場さんに、恵比寿とヱビスビールへの想いを最後に伺った。

    「恵比寿に来て、飲食の世界に入って、人生がガラッと変わりました。僕は地方の出身なので、最初は恵比寿ってきらびやかで少しとっつきにくいのかなと思っていたんです」

    「でも、実際に飛び込んでみたら、意外と下町気質。外から来て、僕みたいに個人で店をやっている人間に対して本当に優しくしてくれました。お店同士の横のつながりも強いんですよ。だからこそ、この街をみんなで一緒に盛り上げていきたいなと思っています」

    「そして、恵比寿に来たからには、最高のヱビスをお客様に味わってほしい。これからもしっかり準備をして、とことんヱビスにこだわっていきたいですね」

    ヒャダインさんが語る、恵比寿という街の魅力

    ここからはヱビスビールを味わいながら、ヒャダインさんの恵比寿へのディープな想いを伺った。その様子をインタビュー形式でお届けします。

    ——ヒャダインさんにとって、恵比寿はどんな街ですか?

    ヒャダイン:自分が恵比寿に引っ越してきたのが2006年頃なので、ずいぶん前ですね。まさかそこから20年近くもこの街に関わり続けることになるとは思っていませんでした。当時と比べても、例えば「ビール坂」にビールの街灯ができたり「YEBISU BREWERY TOKYO」ができたり、街全体とサッポロビール、そしてヱビスビールとのつながりがどんどん強くなっているな、という印象を持っています。

    ——今でも恵比寿にはよく来られるのですか?

    ヒャダイン:ずっと住んでいた街なので、今でも何かしらの予定で来ることが多いですよ。ガープレ(恵比寿ガーデンプレイスの略)にもよく行きます。カフェでゆっくりしたりアパレルショップで買い物をしたり。下にスーパーができたのには本当に驚きましたし、さらに便利になりましたよね。

    ——恵比寿での飲みの思い出があれば教えてください。

    ヒャダイン:昔、ガープレにビアレストランがあったじゃないですか。あそこでアイスバインなどのビアホールならではのおつまみを食べながら、ひたすらビールを楽しんでいたことが思い出に残っていますね。当時、仲間内で「ビールだけ選手権」みたいな、ビール縛りの飲み会をしていたことも良い思い出です。

    さて、次回はどんなお店で“ちょうどいい贅沢”に出会えるでしょうか。お楽しみに。

    ▼「ヒャダインさんと巡る、ヱビスのお店」はいかがでしたか?

    ・ヒャダインさんも飲んでいた、“恵比寿の地名の由来にもなった”「ヱビスビール」をもっと知る

    ▼恵比寿の知られざる魅力を深掘りする特集、「恵比寿でヨリミチ」はこちらからどうぞ

    ・“ガープレ”がくれた青春時代の思い出 街でヨリミチ in 恵比寿 vol.2 ― 音楽クリエイター ヒャダイン 

    ・“親子が紡ぐ、恵比寿と家族の半世紀” 街でヨリミチ in 恵比寿vol.5 ―スタジオジブリ プロデューサー鈴木敏夫・エッセイスト鈴木麻実子

    ・“志からカルチャーは生まれる” 街でヨリミチ in 恵比寿 vol.1 ― Martha Records代表 福山渉 

    プロフィール:

    「たこえびす」

    [住所]東京都渋谷区恵比寿1-22-10

    [TEL]03-3447-6824

    [営業時間]18:00〜23:00(L.O. 料理22:00 ドリンク22:30)

    定休日:日曜

    クレジット:

    Photograph_Takeshi Sasaki

    Text_Nana Tabara

    Edit_Nana Tabara,Tenji Muto(amana)

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