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特別連載「YEBISU BREWERY TOKYO開業への道」 第4回「グランドオープン記念イベント」&「オープニングセレモニー」レポート【前編】
サッポロビールの本社社屋に併設されていたヱビスビール記念館がリニューアルを遂げ、「YEBISU BREWERY TOKYO」として4月3日に新たに開業! それを記念して企画された本連載では、これまでもYEBISU BREWERY TOKYO開業に至るまでの情報を3回に渡ってお届けしてきました。第4回となる本稿では、ヱビスブランドのブランドアンバサダーを務める山田裕貴さんを招いて開業前日に開催されたグランドオープン記念イベントおよび、4月3日開業当日のオープニングセレモニーの模様をお届けします。
恵比寿の地でビールづくりが復活
恵比寿ガーデンプレイスの一角に新たな注目スポットがオープンしました。ヱビスビール記念館がリニューアルする形で4月3日にグランドオープンを迎えた「YEBISU BREWERY TOKYO」です。
すでにご存じのかたもたくさんいらっしゃると思いますが、現在の恵比寿ガーデンプレイスは、恵比寿ビールの工場跡地を活用して作られた施設。サッポロビールの前身である日本麦酒醸造会社が1890年に今日のヱビスビールのルーツである「恵比寿ビール」の製造・販売を恵比寿の地で開始。以降、1988年にいたるまでの約100年間、この地ではビールづくりが行われていたのです。
ちなみに第2次世界大戦の影響で1943年から一時的にブランドラベルが廃止されていた時期を挟み、ヱビスビールとして1971年に復活している事実もまた、今となってはこのブランドの歴史の長さを示すエピソードのひとつと言えるでしょう。
今回オープンとなったYEBISU BREWERY TOKYOはヱビスのルーツ・現在・未来の物語に触れることができる、リアル体験拠点です。ヱビスのルーツを学べる「ミュージアムエリア」、現在を表した醸造施設のある「ブルワリーエリア」、未来を表すYEBISU BREWERY TOKYOでつくられたビールを実際に楽しめる「タップルームエリア」と、大きくわけて、3つのエリアから構成されています。
そう、本施設は名前の通り、ブルワリーとして醸造施設を備えているのが最大の特徴。およそ35年の時を経て、恵比寿という街でビールづくりが再開されるのです。
ビールの歴史を紡ぐ世界でも唯一無二のビール体験施設
開業の前日、4月2日に開催されたグランドオープン記念イベントは、まさにYEBISU BREWERY TOKYOの開業を記念する、メディア向けのイベント。同イベントでは、開業に寄せてまず代表取締役社長の野瀬裕之が登壇しました。
野瀬が入社したのは1986年。そう、まだこの恵比寿で工場が操業していた時代です。ビールの営業として社会人生活をスタートしたという野瀬によれば、恵比寿工場のあったこの土地は、「ビールの醸造や出荷などを行うサッポロビールにとっての大きな基幹拠点」だったとのこと。取引先の各所へ発送するだけでなく、酒屋さんや問屋さんが商品を引き取りに直接訪れることも多々あったそうです。
「私自身も取引先の皆さんから頼まれたジョッキなどを工場の倉庫から引き取って、酒屋さんや飲食店さんへお届けするような仕事もやっていました。」(野瀬社長)
さまざまな関連会社やお取引先の皆さまが集い、活気に満ちたこの場所を野瀬はとても気に入っていたといい、またその光景は今でも脳裏に焼き付いているそうです。しかし1988年に工場は操業を停止。千葉県船橋市へと移転することになります。
ほぼ同時にサッポロビールは本社を銀座から工場跡地にできた恵比寿ガーデンプレイスに移転したのですが、野瀬によれば、当時も地ビールの醸造設備を作るという計画があったとのこと。しかし、建設費の高騰などの課題から計画は中止となってしまったのですが、野瀬にはそれがずっと気にかかっていました。
「恵比寿という街はまさに私たちが生まれたルーツ。いつの日かもう一度ここでビールを作る機会ができたらいいと若い頃から思っていました。」(野瀬社長)
ヱビスビールは130年以上前にこの地で生まれて街の名前にもなっています。お客様とともにプレミアムビールの時代を切り拓き、歩んで来たブランドとして、今の時代ならではの新しいビールの魅力を提供していく場所。それがYEBISU BREWERY TOKYOという施設なのです。
ヱビスのルーツと現在、未来をつなぐ新しい体験施設としてYEBISU BREWERY TOKYOを位置づけるとともに、ビールメーカーとしてこれからの先の100年を見据え、ビールの魅力を広げ高める挑戦をしていきたいと、野瀬はその決意を語りました。
ブラドアンバサダーの山田裕貴さん登場
そしていよいよ本日のゲスト、ヱビスビールのブランドアンバサダーとしてTVCMにも出演中の山田裕貴さんの登壇です。
本連載の第3回でご紹介したとおり、山田さんは今年2月に本施設のブルワリーエリアにおいて、YEBISU BREWERY TOKYOで提供されるオリジナルビールのひとつ、燻製麦芽を一部使用した「煙々」の仕込を行ってくださいました。今回のグランドオープン記念イベントでは、その自らが手がけられたビールをご自分で注ぎ、飲んでいただくことになっています。
登壇して早々、4月3日の開業当日には「あんまり大勢を引き連れていくのも」と、こっそりと訪れるつもりであることを告白した山田さん。さらにMCに2月に行った仕込についてもコメントを述べてくれました。
「初めてビールの仕込をやらせてもらって、なんなら僕が仕込んだビールをここで飲める。そんな体験はこれから先、多分訪れないでしょう。貴重な体験をさせてもらったので、飲むのがものすごく楽しみです。」(山田裕貴さん)
まずはビール&RTD事業部ヱビスブランドグループのの萬谷浩之がタップルームについて説明するとともに、山田さんにビールの注ぎ方をレクチャーします。
「このタップルームはYEBISU BREWERY TOKYOのなかでは未来と位置づけられ、未来をわくわくと感じていただける場所にしたいと考えております。このタップルームエリアのなかには釜ですとか、カウンター脇に立つ柱など、以前のビール工場にあったものがそのまま配置されています。」(萬谷浩之)
さらに萬谷に「このエリアのどこかにラッキーヱビスも隠れている」と聞き、慌てたように探し出す山田裕貴さん。その姿は会場に集まった取材陣の笑いを誘っていました。
開業からしばらくは、通年販売のヱビス ∞(ヱビス インフィニティ)、ヱビス ∞ ブラック(ヱビス インフィニティ ブラック)、それに期間限定のFoggy ale 2024(フォギーエール2024)、数量限定の煙々(えんえん)という4種類がこのタップルームで提供される予定。今回は山田さんは、自ら仕込に挑戦された煙々の初注ぎに挑戦します。
MCから初注ぎに賭ける意気込みについて質問さると、「俳優になる前にバイトで何度もビールは注いできたので、確実にいいビールが注げるかと思います」と自信たっぷりの山田さん。まずは萬谷がグラスに描かれた恵比寿様の足のところに泡と液の境目をつくるのが理想であることや、粗い泡をクリーミーな細かい泡で押し出して仕上げることなど、美しくおいしく注ぐためのお手本を披露しました。
萬谷のその手腕には、山田裕貴さんも思わず拍手。「スムーズかつめちゃくちゃ綺麗、完璧ですね」と感心しきり。そしていざ山田さんの初注ぎです。真剣な表情でグラスを見つめながら、山田さんはよどみなくグラスにビールを満たしていきました。バイトで鍛えたというその見事なお手前に、萬谷も思わず「素晴らしいです。もう120点!」と大絶賛です。
ところが山田裕貴さんご本人は「僕はホントに細かいんでね」と恵比寿様の足下から少し液と泡の境目がズレてしまったことに若干、不満げです。曰く、「細部に芸術は宿ると言いますから」(山田裕貴さん)。
山田さんのパーフェクトな注ぎっぷりに萬谷は120点の高評価。
そして取材陣に写真撮影のタイミングを設けた後に自分で注いだビールをおいしそうに飲んだ山田さんは、「燻製された麦芽の香りがふわーって(小声で)おいしいです」となぜか小声でその喜びを表現していました。
130年という歴史の長さに感じ入る
舞台中央に移動していただいて、山田裕貴さんにはもう少しお話をうかがいます。山田さんのお手元には、先ほど自ら注いだ煙々のほかにもう1杯、このタップルームで通年販売されるヱビス ∞も用意されています。
MCからうながされてヱビス ∞を飲んだ山田裕貴さんは、「ヱビス ∞はまろやかなんだ!」と少し驚いた様子。煙々と比べると、「泡も飲み心地もまろやかというか、すごくマイルドな感じがします」とのこと。
また、ヱビス ∞にはかつて恵比寿に工場があった当時のヱビス酵母が使われているとMCから聞いた山田さんは、「過去の何かを使って、とか、昔も使っていたとか、すごいそういうエピソードは好きです」とのこと。
続けて山田裕貴さんは、「自分が役を演じるにしても、たとえばその人物が、過去に何をしていたのだろう? どういう育ち方をしたのだろう? と、そこから役へと反映する感情だったり表現はたくさんあるので……。じゃあもうあれか、ビールづくりも役者、俳優さんといっしょだ」と、何かを悟った様子。
さらに飲み比べた感想を問われると、「違いがわかるようになれたというか、ホントに自分の味覚もちゃんと成長してくれているんだな」と、ブランドアンバサダーとしての経験が実を結んできていることを思わせる感想を述べていました。
「好きなビールを探して飲むっていう楽しみも広がるんじゃないかと思いますね。『あ、新しいの出たんだ、ちょっと飲んでみよう』とか、『こっちも好きかもしれないな』みたいな、そういう飲み比べの楽しみかたもすごくおもしろいだろうなと思います。」(山田裕貴さん)
山田さんが仕込を体験した煙々も、ヱビス ∞も、さらにいえば、ヱビス ∞ブラックとFoggy ale 2024も、YEBISU BREWERY TOKYOでしか飲むことができません。さらに言えば、開業時はこの4品ですが、ヱビス ∞とヱビス ∞ブラックを中心に、期間限定、数量限定のものが随時加わることにより、最大6品の提供が予定されています。
「たとえば友達との会話や職場でのやりとりで『なんかYEBISU BREWERY TOKYOで新しいビールが出るらしいよ』『じゃあ行こうよ』とここに集まったり、すごい楽しそうですよね。」(山田裕貴さん)
この日は開業前日とあって、煙々の仕込を行った2月のイベントでは公開されていなかったミュージアムエリアなども公開となりました。YEBISU BREWERY TOKYO全体の感想を問われた山田さんは、そこで学べるヱビスが歩んできた歴史の長さに感じ入ったようです。
「僕はヱビスビールにこうやって携らせてもらって、ちょっとずつ知っていってる身なので130年の歴史は語れないんですけども、何事もそれだけ長く続くってことはほんとにすごいことだなと思っていて。僕は俳優をはじめて13年。それこそ10分の1です。それでも13年続いてることがほんとに素晴らしいな、素敵なことだな、ありがたいことだなって日々感じています。
長く続けていれば変化しなければならない時期も来るだろうし、進化しなければならないと悩む日々も来るだろうし、なんかそういった日々を積み重ねて今があるんだなと思うと、130年も続いてきたのは改めてすごいことだなと思います。」(山田裕貴さん)
これからはじめたいことを考えるより次の1秒をどう変えるか
お話はここから4月2日より放映開始となった新しいTVCMにつながっていきます。山田さんは新CMの撮影の裏側について、「醸造家さんたちの悩みというか、葛藤を表現できたらなと思って演じていました。ビールの前に行ってはちょっと止まってみて考えてみたり、こうじゃないのかもしれないって、頭を抱えてみたり、寝転んでみたり。」と語ります。
CMのなかで語られる「恵比寿は130年の歴史の中で何度も完成してきた」という言葉について話が及ぶと、そこで山田裕貴さんは少しヒートアップ。
「完成とは一度じゃないんだって、むちゃくちゃよくないですか? だって完成って思った時点で進化は止まるんですよ。一度じゃないからヱビスは進化し続けられる、まだまだ俺たちは変わり続けるよ、ってことなんですよ。僕も自分のお芝居に『これが完成だ』って思ったことはない。一度も満足したことはないんで、これからも進化し続けなければならない。変わり続けなければならない。その変化が怖いと感じることもあるだろうけども、それすらも受け止めなければならい。その苦味がビールの苦味につながっていくのかな。」(山田裕貴さん)
最後は「ちょっとまたうまいことを言おうとして……。途中まではよかったのに」と少し照れた感じの山田さんです。
「挑戦ってホント、怖いんですよ。春から新生活がはじまる方々はたくさんいらっしゃるでしょうし、新たな環境に身を置く人たち、知らない場所に行く人たちもたくさんいると思うんで、そういった人にとって『いい1杯』になればいいなって思います。」(山田裕貴さん)
新たな挑戦ということでいえば、ヱビスビールはこの春に8年ぶりのリニューアルを迎え、YEBISU BREWERY TOKYOもオープンになります。また、山田裕貴さんも先日ご結婚を発表されたばかり。それぞれが迎えた新たな挑戦の季節なのです。MCから祝福の言葉とともに、「新しくはじめたいことは?」という質問が投げられました。
「1秒1秒が未来にも過去にもなる。大きな未来を描いたり、これからはじめたいことを考えるより、次の1秒をどう変えるか。ここで喋っていることがテレビやネットニュースで流れる。そんなことから一つずつ世界を変えていかなければ大きなものにはならないと感じているので、ここで、この場所で、まず今を一生懸命生きること。なんかそれを大事にしていきたいです。何か僕が発信したことで誰かの世界を変えるようなことがあるのであれば、それはもしかしたら、世界を変えてることになるのかもしれない。そう思いながら、俳優としても人間としても、一生懸命生き続けたいなと思ってます。」(山田裕貴さん)
山田さんは「子供のことから感じていること」として、こんなお話を聞かせてくださいました。そして最後に「『ぜひ楽しんでください』といったテンプレートのような言葉でなく、うまいことが言えたらなって思うんですけど」と前置きしつつ、YEBISU BREWERY TOKYOのオープンを楽しみにしていくださっているお客様へ向けて、こんなメッセージもいただきました。
「『新たにグランドオープンした場所があるから』と、ふだんだったら恥ずかしく思うようなお父さんだったり、お母さんだったり、そんな人を連れて、話をするきっかけになる場所にしたり、そういう思い出の場所になってくれたらうれしいとすごく思います。僕もこそっと来ますので、ぜひぜひ見かけたら声をかけてください。そして乾杯しましょう、そのときは。」(山田裕貴さん)
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(文・写真 稲垣宗彦)