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幸せを祈って贈る、おめでたい縁起物。

幸せを祈って贈る、おめでたい縁起物。

左上:新宿花園神社の酉の市の五十番と五十一番が、中村屋の売り場。2022年は11月に3回の酉の日があり、『一の酉 (11月3日~4日)』『二の酉 (11月15日~16日)』『三の酉 (11月27日~28日)』の3回「酉の市」が立つ。

左下:縁起熊手。農閑期、農家が細工を施した熊手を神社で売ったことが始まりとされる。

「しめ縄」や「御神輿」など縁起のいいものがつけられる。

右:中村屋の江戸熊手職人、桐野大亮さん。酉の市で熊手を購入したお客には、三三七拍子を打つ風習がある。

開運招福や商売繁盛を願う祭り「酉の市」は、縁起熊手の賑やかな露店が名物だ。鯛や黄金色の小判、七福神などの飾りが施された豪華な熊手には「幸福をたくさんかきこめるように」と祈りが込められている。

「江戸時代にはシンプルなつくりだった熊手も、年を追うごとにどんどん華やかになっていきました」と、中村屋の代表、片山裕彦さん。都内最大手の縁起熊手屋だ。

熊手はひとつひとつ、個性的な顔がある。

熊手に設計図やマニュアルはない。販売は酉の市のある年末だけだが、作業は1年を通じて行われる。熊手は大小にかかわらず、数人の職人でひとつずつ、つくり上げていく。

伝統を継承しながら、西陣織に水引の「寿」をあしらった帆かけや御神輿の飾りは、中村屋が発祥。これまでにないモチーフをつねに探している。「新しいものをつくれば真似もされちゃうけど、真似される立場の方が楽しいからね」

毎年、熊手の新しいデザインを考案するのは、奥様の敏子さん。

「お客さまから『熊手を買ってから、悪いことが起きないよ』と言われるのは嬉しいです」と明るく話す。

「飾り付けが同じ熊手でも、手づくりだからやっぱり少しずつ違う。そしてどんな熊手を欲しいと思うかも、お客さんによって違う。そういう違いが生まれるのが面白いですし、気に入って買ってもらえた時が一番の喜びです」

自分にふさわしいと思った熊手こそが、一番の縁起物。縁起がよければ笑顔もあふれる。

人々の幸せを願って、進化するデザインと品質。

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