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ゲームが一つの経済圏へと進化する?!Web3が描く未来のゲーム界

テック業界で今一番ホットなキーワードといえば「Web3」と「メタバース」です。ベンチャー企業データベース「Crunchbase」によると、投資家たちもこの2つに注目し、ブロックチェーン関連のプラットフォームへの投資額が爆発的に増加しているということです。最近では「Polygon Technologies」と「Alchemy」が資金調達ラウンドにおいて合計6億5000万ドル(約825億円)を調達し、大きなニュースになりました。この分野で最も注目されているのはゲームです。今年3月始めに、資産家として知られるビル・アックマンや、ゲーム業界をリードする「Animoca Brands」を含む大物投資家たちが、メタバース、ゲーム、ソーシャルアプリに特化した新しいWeb3ベンチャーファンドの設立を発表しました。これと時を同じくして、ゲームに特化したベンチャーキャピタルファンド「Gaming Partners」は、7億5000万ドル(約950億円)の資金調達の成功を発表しています

しかしながら、この一連の投資の目的は、よりスケールが大きく、さらに優れたゲームを制作することだけではありません。Web3は、ゲーム開発の方法を大きく変える一方で、トークンベースの報酬を約束することによって、ユーザーと開発者のモチベーションとエンゲージメントを高めているのです。既存のゲーミングモデルからの転換は、ゲームを根本的に変えるものです。そして今後数年で、ゲームは単なる業界ではなく、一つの経済圏として捉えられるまでになるでしょう。

Retro futuristic flight in space with a polygonal mesh on the generated hills and floor. Concept 80s 90s. Fantastic abstract neon background. Web3 and gaming concept

クラウドソーシングによるゲーム開発

このWeb3に端を発する進化がすでに波及し始めていることは、ゲーム制作会社がゲームの開発プロセスを抜本的に構造転換していることをみてもわかるでしょう。既存の業界モデルでは、ひと握りのゲームスタジオが「Call of Duty」や「Player Unknown: Battlegrounds」など超人気タイトルを、タイミングを見計らってリリースすることによって、収益の大部分を独占してきました。

一般的に、このようなゲームの開発はブラックボックス化されており、当然ながらスタジオは重要な無形資産である知的財産の保護に細心の注意を払ってきました。また、オンライン・キャンペーンを通じたゲームのマーケティングに多額の資金を投入しています。しかし同時に、新しいゲームコンテンツに対する莫大な需要に比べて、ゲーム開発者が相対的に少ないことから、人材確保は困難になってきているのです。

しかし、この状況も変わってきています。例えば「Roblox」などのゲームは、クラウドソーシングを活用して、このゲームに対して熱い想いを持つプレイヤーやサポーターに開発を発注しています。ユーザーが制作したコンテンツ(UGC)を活用する新しい開発モデルの到来です。また、ゲームやインゲームシナリオの編集版を制作し、個人サーバー上で遊べるようにする「モッダー」が集まるコミュニティも活気づいています。

このUGCモデルを採用したゲームスタジオにとってもウィンウィンの状況です。開発者を雇い続けなくても、プレイヤーを満足させる新しいコンテンツが安定して供給できるからです。ゲームコンテンツの制作者には対価が支払われ、新たな収入源になります。また同時に、口コミやバイラルコンテンツを通じた、より有機的なマーケティングを促進する点もUGCモデルの特徴です。

UGCとWeb3の相性は抜群

UGCモデルと特に相性がよいのは、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークに基づくWeb3です。経済の特性がゲームの基盤にあるWeb3は、誰もが参加してゲーム開発を手伝ったり、プレイして報酬を得たりできる分散型の開かれた世界を創造しています。

この仕組みのおかげで、Web3ゲームは、複雑なCGIグラフィックスやプロット展開でユーザーを魅了する必要がありません。その代りに資産の所有、コミュニティの構築、インタラクションを通じたエンゲージメントに重点が置かれているのです。

さらにWeb3は、ゲームと経済の境界をますます曖昧にしています。従来のゲームでは、資産はゲームの世界の中だけに存在し、そこから取り出したり移動させたりすることはできません。これに対しWeb3ゲーム内の資産は、他の環境に移しても価値を失うことはなく、分散型取引所を通じたオープンマーケットで取引できます。さらに、DeFi(分散型金融)アプリを通じて資産を担保に融資を受けることも可能なのです。

ギグエコノミーにおけるゲーム

この変化はまだ始まったばかりですが、最終的にはゲームもまた、現在ほぼすべてのオンライン業界を支配しているギグエコノミーの一部に取り込まれていくと考えられます。フリーランスのゲーム開発は、インフルエンサー経済の発展過程と同じく、サービスが収益化されるに従って新たな経済圏として確立されていくでしょう。開発者たちは、会社から給与をもらう、あるいはフリーランスの案件を受注してお金を稼ぐのではなく、自分たちが作ったコンテンツのゲームプレイやエンゲージメントのレベルに従って報酬を得るようになるのです。

また、この新たな環境は、これまでにないマーケティングやブランディングの機会をもたらすことになります。「Balenciaga」と「Fortnite」のコラボをはじめとして、ラグジュアリーブランドとゲームスタジオがタッグを組む事例は数多くなってきています。このゲームを軸とした新経済圏において、メタバースやWeb3ゲームに最も多くのファンを惹きつけることができるゲームインフルエンサーに、今後もラグジュアリーブランドがラブコールを送るケースは増えていくことでしょう。

eスポーツからP2Eへ

信じがたいと思う読者の方もいらっしゃるかもしれませんが、この10年間に起きた、そして今現在のゲームプレイヤーに起きている変化を知れば、理解していただけると思います。複数のプレイヤーがチームに分かれて対戦するマルチプレイヤー・オンランバトルアリーナ(MOBA)というジャンルが台頭し、eスポーツ業界が生まれました。平たくいえばeスポーツとは、 最上位のプレイヤーがトーナメントやスポンサーシップを通じて自分たちのゲームプレイを収益化する仕組みです。eスポーツの価値総額は2019年までに10億ドル(約1270億円)に成長し、2024年には16億ドル(約2030億円)にまで到達すると予測されています。昨年度、eスポーツのプレイヤーに与えられた賞金総額は2億ドル(約250億円)を超えました

現在大きなトレンドになっているのが、「Axie Infinity」「The Sandbox」「Splinterlands」などの人気ブロックチェーンの登場によって普及した、ゲームで遊んで稼ぐPlay-to-Earn(P2E)です。ゲーマーに新たな収入源を提供するP2Eゲームは、パンデミックに際して、失われた収入を取り戻す手段としてアジア各国で絶大な人気を得ました。2021年には、ゲーム業界への投資が過去最高を記録しましたが、経済誌「Forbes」は、この増加はブロックチェーンゲームへの資金流入によるものとみています。

ゲーム経済圏が確立されていく最大の利点は、これがゲーム産業の既存のビジネスモデルを排斥したり、置き換えたりしようとするものではないことです。これからもゲームスタジオは、華やかなゲームプレイを求める熱狂的ファンのために主力タイトルをリリースし続けるでしょう。これと並行して、人気ゲームのファンはもちろん、その他の多くのゲーマーや開発者たちも、Web3のP2Eや、ゲームを作って稼ぐC2E(Create-to-Earn)に参加して収益を得ることができます。つまり、最終的にこの変化は、ゲームを愛するすべての人びとに恩恵をもたらすことになるです。

ロイ・リュウは、無料P2Eアクション・アドベンチャーRPG「Mobland」のコファウンダーです。

この記事はVentureBeatとMoblandのロイ・リュウが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで。

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