CHEER UP! 毎日の“ワクワク”した暮らしを“応援”するポータルメディア

閉じる
  1. HOME
  2. 遊ぶ
  3. eスポーツのアマチュア選手をつなぐ「Brag House」

CATEGORY : 遊ぶ

eスポーツのアマチュア選手をつなぐ「Brag House」

ゲーマーたちをつなぐオンライン・プラットフォームとして知られる「Brag House」が、アマチュア選手を対象にしたeスポーツの大会でSNSサービスを立ち上げました。

これは、競技ゲームをプレイするのが好きだけれど大規模なeスポーツ大会に出場するほどのスキルは持ち合わせていないプレイヤーのためのサブスクリプション型プラットフォームです。マクドナルド協賛で開催された「Super Smash Bros Loyalty Cup Tournament」(アメリカ・テキサス州)で、この一部が公開されました。Brag Houseの最大の特色は、自分がいかに上手にゲームをプレイできるか自慢する(=ブラグする)投稿をポストできる点にあります。

Brag House のCEO兼共同創始者を務めるラヴェル・フアン氏がGamesBeatに語ったところによると、Brag Houseは大学生をメインのターゲットとし、高い人気を誇る大学スポーツ、熱狂的なアマチュア向け競技ゲーム、そして大学という親密なコミュニティに属するゲームファンを結びつけることから、その事業が始まったといいます。

「ゲーム業界のエコシステムは一部のパワープレイヤーに重きを置きすぎていると常々感じていました」とフアン氏はいいます。「そこで私たちは、リラックスした環境でカジュアル・ゲーマーたちが競い合ったり、横のつながりを作ったりできる場を作ろうと考えたのです」

ブルックリンで始動したBrag Houseは2021年3月、18の大学が参加する「March Madness」トーナメントでサービスの一部を公開しました。これを機に、同社のTwitchアカウントの人気は急上昇し、現在では5000人を超えるプレイヤーが参加、その約30%がBrag Houseのサブスクリプションを購入しています。

今後も、カジュアル・ゲーマーやトーナメント観戦者、または自分がゲーマーだと思ったこともないような人々の間でファン層を拡大していきたいというBrag House。実際、現在では大学生以外のユーザーにもプラットフォームを解放し、より多くのゲーマーが自分たちのコミュニティ内でeスポーツを観戦・プレイしたり、大会の開催ができるようになっています。

Brag Houseのはじまり

Brag HouseのCEOを務めるラヴェル・フアン氏 Brag House

フアン氏はアキレス腱にケガを負うまでは、アスリートとして真剣に競技に取り組んでいたといいます。

「選手生命を絶たれて失意のどん底でした」とフアン氏は当時を振り返ります。「チームメイトとの絆は、体育会系特有のライバル意識がそのベースになっていると思います。ビデオゲームに夢中になったことで、そのゲームを通じて同様の趣味・関心を持つコミュニティと通じ合えることに気がついたのです」

フアン氏と大学時代のチームメイトたちは、互いに競い合うスリルが味わえる「Tony Hawk」などのゲームを通して友人関係を保ってきたといいます。そんなフアン氏が最初に起業した会社のミッションは、NFLの新人選手がもつ潜在的経済力を最大化するためのプログラム作成でした。

共同創設者でCOOのダニエル・ レイボヴィチ氏をはじめとする経営陣は、大学卒業後もスポーツ文化とのつながりを維持する手段としてゲームを活用しました。その過程で、eスポーツ界には有機的なコミュニティの形成を促すプラットフォームが存在しないことに気づき、ないなら自分たちで作ればいい! と立ち上がったといいます。

「どこを見回してもファンを中心に有機的に発生したコミュニティがありませんでした」とレイボヴィチ氏はいいます。「当時のeスポーツのエコシステムは、トップ3~5%のプレイヤーだけに偏重していたのです。マルチプラットフォームやモバイルゲーミングが登場し、リアルで遊ぶよりデジタル上でのつながりを重視する世代のゲーマーが出て来ているのに、その状況はおかしいと思ったのです。実際、オーガニックにコミュニティを育てていく方法はちゃんと存在していました」

フアン氏が最初のオンラインイベントを開催したのは2020年3月。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した時期であり、また「Call of Duty: Warzone」のバトルロワイアルモードが人気を集めてきたタイミングでした。

「カレッジスポーツでの経験を活かして、自分たちの手で有機的なコミュニティとファン同士をつなぐ共有体験を醸成できるかトライしてみたかったのです」とフアン氏。「Call of Duty: Warzone」のトーナメント「March Madness」を開催したことが全ての始まりだったといいます。これを成功させたフアン氏は次第にTwitchから離れ、ブラグ機能を備えた独自のプラットフォーム開発に取り掛かりました。

「本当に素晴らしい経験でした。自分たちが何かすごいものを作っているという実感がありました」とフアン氏は振り返ります。

新世代のゲーマーたち

Brag Houseは40%以上を女性が占める新世代のゲーマーをターゲットにしています Activate Consulting

Brag Houseは、“若い男性中心”という昔ながらのゲーマーのイメージを覆す新たなオーディエンス・セグメントを獲得しているとフアン氏はいいます。実際、最近の統計によれば、新しいゲーマーの66%は女性で、56%は45歳以上という結果が出ています。Brag Houseがターゲットにしているのは、まさにこの新世代のゲーマーたちであり、またゲーム界全体の割合をみても約40%を女性が占めています。

「今成長しているのはこのセグメントなのです」とフアン氏は続けます。「この層が消費を牽引しているのが現状で、また彼らの交流の場となるのがゲームなのです。まだ歩き始めたばかりのBrag Houseですが、今後は大学という限定された範囲を超えて、次世代ゲーマーのための包括的なエコシステムへと成長することを目指しています」

2021年5月にローンチされたBrag Houseのβ版アプリには、現時点で2万件以上の“ブラグ”がアップされており、新規のファンは5160人、メンバー数は1600人近くにまで膨れ上がっています。お気に入りのゲームでトップ入りを目指し、ブラグする資格を得ようという、ゲーマー間の健全な競争意識がベースになって、この成長を遂げているといいます。

また同社は「Black Collegiate Gamers Association」などの団体と提携しています。さらに、数はそれほど多くないかもしれませんが、Brag Houseの高いリテンション率に目をつけたゲーム投資家の関心も引き付けています。直近のイベントには19の大学を代表する77名のゲーマーが参加し、閲覧者数は毎秒85人を記録しました。チャットメッセージは2000件(または1時間あたり440件)で、このイベントをきっかけに新たにメンバーになった人は89人、その内約30%がBrag Houseのメンバーシップを購入しています。

現在は、社員3名という小さな会社ですが、60校以上の大学のブランドアンバサダーと契約し、イベント時には数十校の大学が参加するなど経営は順調です。

Brag Houseは、無料アプリとサブスクリプション型の有料メンバーシップの双方を提供しています。アプリはApple App StoreまたはGoogle Playからダウンロード可能です。有料メンバーシップはコミュニティへの参加が1カ月3ドル(約330円)、トーナメント戦に参加する場合は5ドル(約550円)の費用がかかります。しかし、潤沢な資金に支えられたPlayVsや、ニューヨークに拠点を置くCommunity Gamingなど、競合アプリは少なくないというのも事実です。

テキサスで開催したスマブラ・イベント

Brag House が主催した「Super Smash Bros. Texas Loyalty Cup」の広告 Brag House

去る7月6日、Brag Houseはマクドナルドの協賛を得てテキサスで「Super Smash Bros Texas Loyalty Cup」を開催し、3週間の会期中8日間にわたって繰り広げられる「National Championship」に出場する地元の大学18校が競う様子をライブストリーム配信しました。優勝校にはブラグ権とマクドナルドの商品券1000ドル(約11万円)相当が贈られました。

ゲーム実況者による解説や、挑発して相手選手の心理を揺さぶるトラッシュトーク、そしてブラグを投稿することによるゲーム自慢などが楽しめるなどBrag Houseは、文字通りeスポーツ大会に最適のプラットフォームといえるでしょう。

この大会は、予選突破したゲーマーの中から各大学の最終戦出場者を決定する試合で幕を開け、連日、選ばれた2~3校を代表する学生がトーナメント出場権を巡って総当たり戦を行いました。7月20日には、トーナメント参加校を決めるワイルドカードマッチで4校が競い、7月21日〜22日に行われた試合では、7月27日に行われるチャンピオンシップマッチに出場する上位4校とファイナリストの組み合わせが決定されました。大会中にBrag Houseにログインし、ブラグを投稿して自分の大学を応援したり、勝敗を予測したり、またはマクドナルドのアプリをダウンロードしたファンには各種インセンティブも用意されていました。

本戦のシード順位は予選期間中のエンゲージメント率に従って決定され、高いエンゲージメント率を記録した大学は、コカ・コーラ協賛によるテイルゲートパーティ(イベントの開催前に駐車場で行うパーティ)に参加する権利が副賞として授与されました。

マクドナルドとコカ・コーラの協賛は、Brag Houseの将来性が認められた確かな証だとフアン氏は考えています。彼の夢は、何百万人ものプレイヤーとファンにBrag Houseの存在を広めていくことだということです。

この記事はVentureBeatのディーン・タカハシが執筆し、 Industry Dive パブリッシャーネットワークを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで。

  • LINE