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ビールの歴史丸わかり!起源から現代のビール事情まで徹底解説

「世界でもっとも飲まれているお酒」といわれるビール。「お酒のなかで一番好き」「飲みに行ったら、まずはビールから」という方も多いでしょう。そんな世界中で愛されているビールですが、いつ誕生したのか、どのように普及したのかご存知でしょうか。今回は、ビールの始まりや語源、現代のビール事情など、ビールの歴史を徹底解説します。

知っておきたい!ビールの歴史

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ビールの歴史は非常に古く、古代まで遡ります。まずは、ビールの始まりから現代のビールに進化するまでの歴史からみていきましょう。

【古代】ビールの始まり

ビールの始まりは紀元前まで遡ります。どのように生まれたのかは諸説ありますが、古代メソポタミアや古代エジプトでは、ビールが親しまれていました。

古代メソポタミア文明を築いたとされるシュメール人が残した粘土板には、くさび形文字によりビールの醸造が記録されています。これは紀元前3000年頃のものであり、ビールの歴史は5000年といわれる根拠になっています。

また、エジプトではナイル河畔で栽培されていた大麦を使ったビール造りが広く普及していました。栄養価の高いビールは、ピラミッド建設に携わった労働者の疲労回復飲料として配給されていました。そのため、「ビールがピラミッドをつくった」ともいわれています。

ちなみに古代のビールは、現代のビールと大きく異なります。現代のビールは麦芽・ホップ・水などから作った麦汁に酵母を加え、酵母の力で発酵させて造られています。

一方、メソポタミアやエジプトなどの古代のビールはは、まず麦芽を乾燥させて粉にしたものからパンを作り、そのパンを砕いて水を加えたものを自然発酵させて造られていました。

【中世】ビールの普及

中世になると、ビールはさらに多くの地域に普及していきました。特にヨーロッパでは修道院が積極的にビール造りに携わり、醸造技術を発展させることでビールの品質向上に大きく貢献しています。

その後、ビール造りは民間にも広まっていき、都市の主要産業として発展していきました。ビールの原料にホップを用いると品質や保存性が向上することがわかると、15世紀からはホップ使用の醸造が主流になります。これによって、さらにビールの商業的価値が高まりました。

そして1516年、ビールのその後を決める大きな変化が訪れます。それはドイツで「ビール純粋令」が公布されたことです。ビールの品質を標準化する目的で公布された法律であり、「ビールの原料には大麦・ホップ・水のみを使用すること」という内容でした。この法律はヨーロッパ全土に広まり、現在でもドイツ国内の多くの醸造所では、ビール純粋令を守った製法でビールが造られています。

下記の記事では、南米最古のビールを再現した試みについて紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。

400年前に作られた”南米最古”のビールが現代に復活

【近代】ビールの進化

その後ビールは、さらなる進化を遂げていきます。特に大きな影響をもたらしたのが18世紀にイギリスで起こった産業革命です。産業革命はビール醸造の機械化をすすめ、工場でビールが大量生産できるようになりました。また、冷蔵技術の発展によって、季節にかかわらずビールを製造・流通できるようになります。

19世紀に入ると、陶製ビアマグに代わって、透明なガラスのビアグラスがが出回るようになり、時を同じくして、美しい金色の液体と白い泡のピルスナーが登場したことで、人々はビールの色にも魅せられるようになりました。ピルスナーは現在も主流のビールです。

20世紀になって、国土が広く、輸送距離の長いアメリカでびん詰めビール、やがて缶ビールが登場します。国際的なブランドが生まれる一方でクラフトビール造りも世界各地で広がりを見せ、現在の多様なビール市場へと発展していったのです。

ビールの語源はどこから?

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ビールはさまざまな言語や文化の影響を受けており、ヨーロッパ各地で異なる名前があります。そのうちビールの語源として有力なのは、ゲルマン語の「ベウロ(穀物)」またはラテン語の「ビベール(飲む)」だといわれています。日本語の「ビール」については、オランダ語(ヒイル)由来だとされています。

ホップの起源は?

ビール造りに欠かせない「ホップ」ですが、実はいつごろから使われるようになったのかは定かではありません。紀元前1000年ごろにコーカサスに居住していた民族などは、ビールの原料にホップを使っていたのではないかと考えられています。

下記の記事では、ビールにおけるホップの役割や歴史を紹介しています。あわせてご覧ください。

ビールの「ホップ」が果たす役割って?ホップの歴史も紹介

日本におけるビールの歴史

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非常に古い歴史をもつビールですが、日本に入ってきたのは江戸時代です。ここでは、江戸時代から現代までの日本におけるビールの歴史を解説します。

【江戸】

日本におけるビールの起源は江戸時代です。この頃の日本は鎖国政策をとっており、海外との貿易が可能だったのは長崎の出島のみでした。その出島にあるオランダ商館の商館長だったヘンドリック・ドゥーフが、1818年、日本で初めてビール醸造を試みたとされています。とはいえ、最初のうちは一般の人にはビールが認知されておらず、ビールを飲む文化や醸造技術が知られるようになったのは江戸時代後期からといわれています。

【明治】

幕末から横浜や神戸などの外国人居留地が置かれビールの醸造が本格化し、1869年(明治2年)には日本初のビール醸造所も開設されました。そこから日本のビール産業が拡大し、1876(明治9)年に北海道で開業した開拓使麦酒醸造所(サッポロビールのルーツ)をはじめ、ビール会社が次々に誕生していきます。

1887(明治20)年には、東京や横浜の中小資本家が集まり設立した日本麦酒醸造会社(開拓使麦酒醸造所とは別にもう一つのルーツ)が1890年に恵比寿ビールを発売します。これは現在のヱビスビールの始まりです。

こうしてビールが徐々に一般の消費者にも普及し、明治後期には大衆に親しまれる飲み物へと進化しました。ちなみに、官営の開拓使麦酒醸造所は、民営化され、1887(明治20)年に渋沢栄一らによって設立された「札幌麦酒会社」として発展していきます。

下記の記事では、渋沢栄一とサッポロビールの関係について詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

第2回:「渋沢栄一とサッポロビール」サッポロビール社史相談室 – サッポロビール公式メディア | CHEER UP!

【大正~昭和初期】

明治時代から徐々に日本全国に広まっていったビールは、大正時代には庶民に定着して飲み方も多様化していきました。さらに第一次世界大戦による好景気の影響でビール産業が拡大し、各地で新たな醸造所が設立されます。このとき、日本国内の活況に加え、ヨーロッパからビールを輸入できなくなったインドや東南アジアへの進出により、大戦景気による利益を享受しました。

しかし、夢のような時代は長くは続きません。1920年(大正9年)に大戦景気の反動によって株価が大暴落、そこからさまざまな産業の採算が悪化して企業の倒産が相次ぎました。もちろんビール産業も例外ではなく、日本全体でビールの消費量が落ち込み、安売り競争が激しくなりました。これにより日本のビール産業は低迷期を迎えます。

【昭和中期~現代】

戦後恐慌の影響で低迷していた日本のビール産業ですが、少しずつ回復していきます。そして1939年(昭和14年)には、戦前最高の生産量に至りました。しかし、同じく1939年に第二次世界大戦が勃発し、日本も戦争に突入していきます。他の産業の製品と同じく、ビールも価格や原材料、製造量などの統制を受けただけでなく、商品の顔ともいえるラベルまで廃止され統一商標「麦酒」と書かれたラベルに統一されました。

さらに太平洋戦争に突入したことでビールの原材料や製造に必要な電力なども不足し、再び生産量が落ち込んでいきます。ビール産業が回復してきたのは昭和中期になり、戦後の新体制が確立されてからです。自由にビールを販売できるようになり、ビアホールも復活したことから需要が伸びていきます。

また、高度成長期に家庭用電気冷蔵庫の普及によって家庭でのビールの消費量も増加し、再びビール産業が盛り返していきました。そこから平成、令和と移り変わっていくなかでビールの種類やブランドも増加し、長年愛される銘柄も生まれています。

特に1994(平成6)年のビールの最低製造数量基準の引き下げや2018(平成30)年酒税法改正による原材料の種類の拡大などが影響し、個性豊かなクラフトビールが数多く誕生しました。発泡酒や第3のビールの流行も重なり、近年の日本のビール市場は多様化しています。※「第3のビール」は現在「発泡酒②」という表示に品目及び税率適用区分が変更になっております。

下記の記事では、缶ビールが普及した背景やエビスビールの歴史を紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。

ビールの新しいカタチ、缶ビールの普及へ【サッポロビールのこだわり】

130年以上愛され続けているヱビスビールの歴史とこだわり

まとめ

紀元前に誕生したビールは、古代・中世・現代とさまざまな歴史を辿って進化していきました。日本でも江戸時代に初めてビールが造られて以降、歴史とともに進化を遂げて現代に至っています。

最近は麦芽・ホップ・水を原料とした王道のビール以外にも、発泡酒や第3のビール、個性豊かなクラフトビールなど選択肢が増えました。ここに至るまでの歴史に思いを馳せつつ、ビールを味わってみてはいかがでしょうか。

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