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“人”と関わり、“お酒”を繋ぐ。 サッポロビールで働く人の 「I ・ eye ・ 愛」 vol.4―ロジスティクス担当 山根利紀

あなたは仕事にどんな「アイ」を持っていますか? きっと誰しも強いこだわりや熱い想いを持っているのではないでしょうか。本企画では、サッポロビールで働く人に仕事(I)、視点(eye)、想い(愛)の3つの「アイ」を語ってもらいました。サッポロビールの商品は知っていても、そこで働く人たちの素顔を知られることはあまりないはず。インタビューを通して見えてきたのは、それぞれ個性をもったユニークな人たちでした。

連載第4回は、 サッポロビールのロジスティクス担当である山根利紀に取材。普段、皆さんが何気なく購入しているビールを確実に届けるため、山根は日々どんな奮闘をしているのだろうか。

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I   ー私はこんな仕事で、
“お客様の当たり前”のために。
調整の連続、ロジスティクス担当

――現在所属している部署と役割を教えてください。

山根:サプライチェーンマネジメント部に所属しています。担当している仕事は「ロジスティクス」です。ロジスティクスとは、商品の調達や生産、保管、配送、返品など、商品のサプライチェーン全体を管理することを指します。ロジスティクスというのは「兵站」から由来する用語で、商品の物流や保管などにとどまらず、より「戦略的」に全体を管理するというのが私の仕事です。

ちなみに私は2011年に新卒で入社して以来、「サプライチェーン畑ひと筋」という特殊なキャリアなんです。これまでに出向や転勤も経験していますが、すべて物流およびロジスティクス関係の部署や会社でした。

――そんな山根さんの仕事は、一般のお客様にはどんな形で伝わるのでしょうか?

山根:お客様に伝わるという部分で言うと、「サッポロビールの商品が毎日店頭に並んでいる」という事実が、私たちが取り組んでいる仕事の成果です。店頭に商品が並んでいるというのはお客様にとっては当たり前でしょうが、その“当たり前”を維持するためにはどうすればいいのか? ということを日々考えているわけです。

――サッポロビールの商品がお客様の手に届くまでに、具体的にはどんな過程があるのでしょうか?

山根:「いろいろなことをやっている」というのが答えになってしまいます。購買部や製造部、営業部など打ち合わせをしながら調整していますし、社外の協力企業さんとの打ち合わせも欠かせません。また物流は商慣習と関わる部分もありますので、経理部門とも折衝しますし。「サプライチェーンマネジメント部が関わらない部署はない」という感じでしょうか。

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――トラックなどの手配も、山根さんが担当しているのでしょうか?

山根:そのあたりはサッポログループ物流(株)というグループ会社が担当してくれますので、私の仕事は「環境を整える」ということになります。物流は「現場あってこそ」ですので、メーカーが一方的に何かをリクエストしても、そのとおりになるわけではありません。適正価格で効率的に、なおかつ関わる人や企業のすべてが持続可能な形になるためにはどう進めていけばいいか、ということを考え、コーディネートしていくのが私の仕事になります。

――関わる人が本当に多そうな仕事ですね。サッポロビールのロジスティクスの特徴とは?

山根:最終的な目的は「サッポロビールの製品が確実にお手元に届くように環境を整える」ということですので、そのためにさまざまな施策を打っています。例えば、他社さんとの「共同輸送」にも取り組んでいます。いわゆる、異業種の会社さんとも、1台のトラックを共用して配送する施策ですね。

当社は物流の2024年問題が取り沙汰される以前から、先駆けとして共同輸送に取り組んできたんです。他社さんと「お互いの配送が弱いエリアを補い合う」というニュアンスですね。昨今では食品メーカーさんと拠点間の共同輸送もやっています。重いビールの上に軽い他社製品を積載することで、無駄のない効率的な物流が可能になるんです。

eye  ー 私はこんな視点で、
コミュニケーションの嵐。
目的の深掘りと、実現した未来の提示。

――これまで仕事をしてきたなかで、どんな苦労がありましたか?

山根:やはり、「調整」が難しいですね。みなさんそれぞれが正義や正解を持っているなかで、どうしても利益関係が相反してしまうことはあります。例えば営業としては「これだけの数を売りたい! そしてこういったことをサービスとして行いたい!」と考えるのは当然のことです。しかしそれをすべて受けてしまうと、物流含む関係部署の大きな負担となるうえ、コストの増加につながることもあります。つまりさまざまな部署はトレードオフの関係にあるんです。その間に立って適切な調整をするというのが、我々の最大のミッションです。

――そんな仕事を上手く進めるうえで、大切にしている視点を教えてください。

山根:意識しているのは2つです。ひとつは「何のためにそれが必要なのか?」という目的を深掘りすること。相手がそれを求めている理由を深掘りするとともに、こちら側のこともしっかりお伝えします。つまりお互いの目的をハッキリさせるということですね。

もうひとつは「それを実行した結果、何が実現されるのか?」ということを具体的に説明することです。「それをやったら、確かにこういったことが実現できるでしょう。しかしその半面、デメリットも生じてしまう。全体として見たときに、本当にベターな施策はなんでしょうか?」みたいなことを丁寧にご説明します。そういったコミュニケーションを取るのは大変ですが、同時にやりがいも感じられるものです。とにかくこの仕事が楽しくて仕方ないので、13年間も続けられたという感じですね。

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――サッポロビール入社以来、仕事はずっと楽しかったということですね?

山根:それが、実はそうでもないんです(笑)。もともとは営業志望だったのに、なぜかロジスティクス部門に配属されてしまいましたから……。

自分のコミュニケーション能力を活かしてサッポロビールを売りまくりたいという目標もあったので、本当は営業がしたかったんです。そして面接でもそのことを伝えて、「わかりました。その線であなたを採用します」となったのですが、なぜかサプライチェーンマネジメント部配属で。最初は少しだけ戸惑いました。

――そんなスタートでしたが、いつ頃から変化があったのでしょうか?

山根:自ら希望して現場に出させてもらってからですね。最初はロジスティクスの右も左もわからなかったですし、現場を知らずして「現場の管理」は難しいと思っていました。それで「まずは現場に行かせてほしい」ということを伝えてサッポログループ物流(株)に出向させてもらい、より現場に近いところでの管理業務を担当しました。仕事が楽しいと感じられるようになったのは、そこからですね。

自分が担当する業務が「何のために、誰のためにやるものなのか?」ということがしっかりイメージできるようになったんです。それからは常に“現場”を意識したうえで、「その中で自分には何ができるだろうか?」と考えられるように変わっていったのです。

愛  ー 私はこんな想いを、
心から想う「乾杯をもっと美味しく」。
重ねていく人との関わり、お互いを知ること。

――ひとりの社員としてサッポロビールの何が好きですか?

山根:「いい人」が多い会社ですね。プライベートでも会社の方と飲む機会も多いですし(笑)。居心地がいいんですよ。お互いを尊重し合いながら、でも言うべきことは言える環境といいますか。相手が役員であっても、ペーペーが意見を伝えやすいのがこの会社です。実は今日もこの後、某役員との飲み会の予定が入っていますし(笑)。

――一方で、担当している仕事に関して、“個人的な愛”は何でしょうか?

山根:「多くの人と関われる」という部分に尽きます。物流業界というのは広いのと同時に深くもあって、業務委託先の協力会社さんも含め多くの関係者の方々と協働しています。そういった人々としっかり接点が持てるのは楽しいことですし、接点を持つように心がけてもきました。

東北に赴任していたときのことですが、私が東北の任地を離れる際、多くの協力会社さんがそれぞれ別個に送別会を開いていただいたんです。東北には1年半しかいなかったのに! 本当に嬉しかったですし、「この人たちのために、自分は確実に“何か”を残せたんだな」と実感もできました。

――「人」がお好きなんですね?

山根:社内外を問わず、大好きですね。人ともっとコミュニケーションを取りたいと思っていますし、乾杯が大好きなので、それこそ「乾杯をもっと美味しくしたい!」と、本気で思っています。当社のキャッチコピーですけど、本当に共感しているんです。我々だけが美味しくても仕方ない。関わる人すべて、お客様も含めて、「乾杯がもっと美味しく」なるように、と日頃から願っています。

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会社の仲間も、会社自体も大好きな山根。サッポロビール140周年記念のTシャツを着て、インタビューに答えてくれた。

――人や、人とのコミュニケーションがそこまで好きになったきっかけはありますか?

山根:9歳から14歳まで海外で生活していました。生まれは栃木県なのですが、父の仕事の都合で英国・ウェールズの片田舎に移住したんです。田舎ですので日本人はゼロで、最初は言葉の壁もあったので大変でした。ウェールズには6年間いましたが、なじむのに5~6年かかったと思います。

そんなコミュニティの中で「自分はここでやっていける」と思えた瞬間は、何人かの現地の少年の前で冗談を言い、笑いを取ったときなんです。「お前のことよく知らなかったけど、面白いやつだったんだな!」という感じで、雰囲気が一気に変わったんですよ。

それからは「明るく・楽しく」を自分のキーワードにして、ウェールズのコミュニティの中でも楽しくやっていくことができました。それが、「コミュニケーションって本当に大事だな」と身にしみたきっかけです。

――サッポロビールの行動規範に「カイタクしよう」とありますが、山根さんがこれからカイタクしたいことは?

山根:「挑戦を続けること」ですかね。ロジスティクスに関する既存のスキームを維持するだけでは、今後の物流は成り立たないと思っています。そのため「今までの常識」にはとらわれずに挑戦していきたいですね。どの施策がヒットするかはわかりませんが、もしもそれがダメだったら、もう一度考えて、また挑戦してみればいいだけですから。

そういった試行錯誤を繰り返して、人から想いを受け取り、お客様のもとにお酒を届けたいですね。

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”サッポロビールがお届けするファンコミュニテイ”

SAPPORO STAR COMPANY

山根利紀

2011年サッポロビール株式会社に新卒入社。業務用アルコール飲料の営業職を志望していたが、なぜかサプライチェーンマネジメント部に配属。以来13年間、サッポログループ物流株式会社への出向なども挟みつつ、ロジスティクス畑ひと筋で今日に至る。

クレジット:

Photograph_Keisuke Yasuda

Text_Masayuki Tanitsu

Edit_Tenji Muto(amana)

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