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究極の黒を追求する、”シンクロ対談” KUROZOME REWEAR FROM KYOTO「K」 × サッポロ生ビール黒ラベル

あなたは「黒」と聞いて何を思い浮かべるだろうか? 深みのある色、高級そうな色、真面目な色など、すぐに何か連想できたに違いない。しかし、そんな「黒」を身近な色の一つで終わらせず、プロダクトとして「黒」を追い求める人たちがいる。本企画ではそんな共通項のあるお二人の”シンクロ対談”を実施。京都で100年以上の歴史を持つ着物の紋付・染色の専門会社である(株)京都紋付の荒川 徹さんをゲストに招き、サッポロ生ビール黒ラベルのブランドマネージャー黒柳と語り合っていただいた。

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――荒川さんのご厚意により特別に工場内にて対談・撮影を実施させていただいた。「伝統とは?」「真の大人とは?」「革新を経て愛され続けるモノづくりとは?」 サッポロ生ビール黒ラベルを飲みながら、「黒」について語る“シンクロ対談”が始まった。

染物とビールの共通項
黒“への”こだわりと、黒“が”愛された両社

――「世界一の黒」を求め続けてきた京都紋付と、「黒ラベル」との愛称で長きにわたって愛され、その愛称が正式な商品名になったサッポロ生ビール黒ラベル。両者の黒に対するこだわりは、長い“時間”とプロダクトに対する“愛”が生んだものだった。その“歴史”と“想い”に迫る。

黒柳:黒紋付を100余年染め続けてきたという京都紋付さんですが、そもそも黒紋付とはどんなものなのでしょうか?

荒川さん:黒紋付は江戸時代に武家社会での略礼装として始まり、江戸中期には庶民の最礼装として着用されはじめましたものです。明治時代になると、黒紋付は第一礼装(和装における最上格の着物)として用いられるようになりました。そして京都紋付は、1915年に初代の荒川金之介が「荒川染工場」として現在の地に創業して以来109年間、「世界一の黒」だけを目指して商いを続けてきた会社です。

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京都の地で100余年前から行われている「黒染め」。深みのある黒を出すため、往時は何度も下染めを繰り返し、手作業で色を重ねていった。

黒柳:黒染めという伝統的な手法を続けてきたと伺いましたが?

荒川さん:その昔は、長年の経験による独自の技と勘で「究極の黒」を完成させていました。しかし現在では経験と勘をデータに置き換え、当社独自の反応染料と深黒加工も併せることで「世界水準の黒」を完成させております。そして長年の経験といえば「サッポロ生ビール黒ラベル」も長い歴史をお持ちですが、最初は「黒ラベル」という商品名ではなかったそうですね?

黒柳:実は、そうなんです。サッポロ生ビール黒ラベルのルーツは、1957年に東京・横浜などで限定発売された「サッポロ壜生ビール」でした。それが、翌年北海道で発売され人気を博し、1977年に「サッポロびん生」として全国発売されました。当時は熱処理ビールが主役の時代で、生ビールは飲食店でしか飲めないものでした。しかし「本当に美味しい生ビールをご家庭でも味わっていただきたい」という想いから、時代に先駆けて「サッポロびん生」を発売したのです。

荒川さん:「サッポロびん生」が、いつしか「サッポロ生ビール黒ラベル」というブランド名に変わったのですね。名前が変わった理由は何だったのでしょう?

黒柳:「サッポロびん生」は、当時めずらしかった黒いラベルが印象的だったため、「黒ラベル」の愛称でお客様に親しまれていました。そして1989年に、愛称だった「黒ラベル」が、正式なブランド名へと“成長”したのです。サッポロ生ビール黒ラベルの名付け親って、実はお客様なんですよ。

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1957年に限定発売された「サッポロ壜生ビール」の好評を受け、1977年に全国発売された「サッポロびん生」。印象的な黒色のラベルから「黒ラベル」との愛称で親しまれ、生ビール時代が始まっていった。そして1989年には、愛称であった「黒ラベル」が正式な商品名として採用された。

サッポロ生ビール黒ラベルのより詳しいヒストリーが気になる方は、こちらを見る

黒柳:私たちサッポロビールも“黒“という色に対してはかなりの思い入れがありますが、京都紋付様は“黒”について、どんなこだわりや想いをお持ちですか?

荒川さん:プロのサッカー選手に「サッカーとは?」と尋ねたら、おそらくは「自分の人生そのもの」と答えるのではないかと思います。私にとっての黒もそれと同じで、自分の人生そのものですね。これまで黒以外の色を染めたことがありませんし、これからも、黒染めという仕事を通して“自分”を表現していきたいと考えています。

黒柳:私も黒は大好きです。黒って、さまざまな側面を持った色だと思うんですよね。上品であると同時に強さもありますし、シャープだけど、深くもある。そして「カッコいい黒」もあれば「カワイイ黒」もあるという多面的なところに、可能性と奥行きを感じているんです。

ふたりが考える「大人」とは?
時間経過の肯定と、自己表現。

――時間の経過を否定的なものとしてとらえるのではなく、あくまでも肯定的なものとしてとらえている京都紋付とサッポロ生ビール黒ラベル。そんな両者が考える「大人」とは、自分と他者を同時にリスペクトし、そのうえで「自分を素直に表現できる人」のことだった。

黒柳:京都紋付さんは近年、KUROZOME REWEAR FROM KYOTO「K」という新サービスを始めていると伺いました。どんなサービスなのでしょうか?

荒川さん:汚れたり色あせたりして着られなくなってしまった服に、当社独自の黒染めを施すことで、「新しい服」としてもう一度着られるようにするというものです。せっかく買ったお気に入りの服を無駄にすることなく、いつまでも大切に着続けたいと願う人にはぴったりなサービスであると自負しています。

黒柳:その特徴の一つとして、「深黒加工」という独自の技術があると伺いましたが?

荒川さん:黒という色を、よりいっそう黒くするための技法です。具体的には、お客様からお預かりした服に黒染めを施した後、まずは天日干しで一点ずつ乾かします。そして社外秘の「深黒加工」を行い、さらにもう一度天日干しすることによって、黒さがよりいっそう際立つ仕上がりになるのです。

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KUROZOME REWEAR FROM KYOTO「K」による黒染めと深黒加工が施された同じブラウス。化学繊維などが使われている部分は染色されないため、深黒とホワイトの鮮やかなコントラストが生まれている。

黒柳:シルクや綿などの、一般的な生地にだけ行える加工なのでしょうか?

荒川さん:いえ、麻やストレッチデニム、帆布などにも施工可能です。そして仕上がりの風合いは、もともとの生地の状態や化学繊維の使用割合などによって微妙に変わってきます。そのため「一点もの」としての面白さも感じていただけるはずです。

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黒柳:古くなった服だからこそ、逆に新しい価値が生まれ得る。つまり「時間の経過を肯定する」という部分に、大いに共感します。KUROZOME REWEAR FROM KYOTO「K」を始めたきっかけは?

荒川さん:衣服の再生は、昔から普通に行われてきたことではあるんです。例えば着物でも、先染めである大島紬などであれば、古くなったとしても全部再生させることができます。そういった伝統にならって2013年から古着の再生事業を始めたのですが、当初は「そんなことをされると新しい服が売れなくなる」というアパレルメーカーさんからの反応もありました。しかしその後は時代の空気も変わり、今では多くのブランドさんやセレクトショップさんなどとコラボレーションするまでに至っています。

そんな私どもの「時間の経過を肯定する」という精神は、黒ラベルのキーワードである「大人」と共通するものがあるような気もします。黒ラベルのブランド担当である黒柳さんが考える「大人」って、例えばどんな存在でしょうか?

黒柳:自分がもともと持っている素養や経験を肯定して「自分らしさ」を大切にしつつ、同時に変化も受け止めながら成長していくことが「大人になる」ということだと思っています。自分の中にあるものを大切にしているからこそ、相手の中にあるものも大切にできる。それが「素敵な大人」なのでしょうね。荒川さんはどうお考えですか?

荒川さん:人間は年を重ねると、どうしても“鎧”のようなものを身にまとってしまうものです。大人は自分や家族を守らなければなりませんし、マナーや常識もわきまえなくてはなりません。その意味で鎧は大切なものではあるのですが、それだけだと正直、面白くないですよね。整えるべき部分はしっかり整えたうえで上手に鎧を脱ぎ、自分を素直に表現していける人が「面白い大人」なのではないかと思います。私も、そんな大人になりたいものです。

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☆になるために。

時代に合わせた伝統と革新、その先は?

――「☆星になれ」というのは「尖れ」ということなのだろうか? また「伝統」とは、一度確立されてしまえばアップデートの必要はないものなのか? いずれの問いについても、黒柳と荒川さんは「違う」と答える。ならば「☆星になる」「伝統を守る」とは、どういうことなのだろうか?

荒川さん:「丸くなるな、☆星になれ。」という黒ラベルのブランドメッセージを、メディアでよく拝見しています。黒柳さんは、あのメッセージをどう解釈してらっしゃいますか?

黒柳:「☆星になれ」というと「尖った何かになれ」と言っているように聞こえるかもしれませんが、実はそうではないんです。黒ラベルの缶の側面に印刷されている「丸くなるな、☆星になれ。」という一文をご覧いただくと、文字の大きさも向きも全部バラバラであることがわかると思います。つまり「自分らしさを大切にしながら、それぞれ多様に輝いてほしい」というのが、「丸くなるな、☆星になれ。」というブランドメッセージの真意なんです。

サッポロ生ビール黒ラベルに関する対談がもっと見たい方は、こちらを見る

黒柳:そして実は、伝統技法を守りながら新しいサービスも立ち上げている京都紋付様にも「丸くなるな、☆星になれ。」とどこか共通するものがあるように感じていますが、どうでしょうか?

荒川:そうですね。京都というと「伝統」と結び付けられることが多いですが、実は世の中、伝統の中で丸くなっているだけでは立ち行かなくなるものです。革新をしていかない限り進歩はありませんし、「伝統とは変化の連続である」と言うこともできます。今、京都で「伝統」といわれているようなモノや企業も、それが生まれた時代においては「革新的」だったんですよ。ものすごい“星”だったわけです。そんな“星”を変化させながら進化させ続けたことで、いつしか「伝統」と呼ばれるようになったのだと思います。

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黒柳:なんとなく共通項が多いように思える両社ですので、何らかのコラボレーションが実現できたら素敵ですね。例えば黒ラベルは「THE SHOP」というオリジナルのECサイトを展開しているのですが、そこで京都紋付様とコラボしたアパレル製品などをご紹介できたら最高だと思います。

荒川さん:いいですね! 例えばですが「変わらない黒」をテーマとしたブラックデニムなんてどうですか? デニム生地は、着用しているうちにどんどん色あせていくのが普通ですが、弊社の技術を使えば「履いても履いても色落ちしないブラックデニムのパンツ」を作ることも可能です。

黒柳:「変わらない黒」というのは、黒ラベルの世界観や姿勢にリンクする部分がありますね。ぜひ検討してみたいアイデアです!

荒川さん:私ども京都紋付もそうですが、黒ラベルも、おそらくは時代に合わせて変わっていくものなのだと思います。近年の黒ラベルはどんな変化を遂げ、また今後はどんな進化をしていくご予定でしょうか?

黒柳:直近のリニューアルでは「味や香りを鮮明に保つクリーミーな泡」に磨きをかけ、パッケージデザインとあわせてクオリティアップしましたし、その前の2022年には原材料の配合を見直しました。しかしこれらは黒ラベルの進化のごく一部でしかなく、より美味しくするための細かなブラッシュアップは「常に行っている」という表現が正しいかと思います。

また今後の取り組みとしては、ビールが好きな人たちだけでなく、ビールとはあまり接点がない人々とも積極的に接点を作っていくつもりです。例えば音楽のライブ会場などにおいて、オーディエンスの方々の心が動く瞬間に黒ラベルというブランドと出会っていただくことで、ビールが好きな人、黒ラベルが好きな人をより増やしていきたいですね。一方で京都紋付さんは今後、どんなことにチャレンジされるご予定ですか?

荒川さん:伝統的な紋付の世界に25歳で身を投じ、その後は「新たな技術を使った黒染め」も始めたことで、なんとか次の世代につながる道筋は作れたと思っています。そして普通の会社員であれば定年退職する年齢になった今、私個人が一番やりたいのは、「染め替え」というアップサイクルを日本の常識にし、そして世界の常識にもすることです。世界中の人が、古くなってしまった大切な洋服をただ捨てるのではなく、染め替えることでもう一度楽しむ。もっと長く、いつまでも愛用するのが常識になる。そんな社会を実現させるため、微力ながら頑張っていきたいと思っています。

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対談者プロフィール

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荒川 徹 (株)京都紋付 代表取締役社長

大学卒業後、一般企業への就職を経て1983年、家業である株式会社京都紋付に入社。1996年、同社代表取締役社長に就任。伝統的な京黒紋付を染めているだけでは生活スタイルの変化に対応できないと考え、現在は伝統的な黒染めのほか、自社の強みを生かした黒染めによる衣類のアップサイクル事業を展開している。

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黒柳 真莉子 サッポロ生ビール黒ラベル ブランドマネージャー

2015年、サッポロビール株式会社入社。東海北陸地方でエリアマーケティングを担当したのち2018年、新価値開発部に異動し缶チューハイの新商品開発などを担当。2022年、ビール&RTD事業部に異動後は缶チューハイのブランドマーケティングを担当し、2024年春、サッポロ生ビール黒ラベルのブランドマネージャーに就任。

– Information –

[ KUROZOME REWEAR FROM KYOTO「K」 ]

公式HP:https://www.k-rewear.jp/

サービス紹介:

着られなくなった大切な服。

黒に染めてもう一度着ませんか?

大切な服も、ちょっとの汚れや色落ちで、

すぐに着られなくなってしまう…。

そのまま捨ててしまうのは、とてももったいないことです。

「黒に染めれば、服は生まれ変われる。」

100年以上「黒染だけ」を追求してきた、

京都紋付だからできることがあります。

よりサスティナブルな社会のために。

お気に入りの一着をずっと大切にするために。

「黒染」によるリウェアという選択肢を届けます

クレジット

Photograph_Mikako Yagi

Text_Masayuki Tanitsu

Edit_Tenji Muto(amana)

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