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“ゼロイチ”を考え続けられる幸せ。 サッポロビールで働く人の 「I・eye・愛」vol.2 ―商品開発担当 櫻井桃子
あなたは仕事やプライベートにどんな「アイ」を持っていますか? きっと誰しも強いこだわりや熱い想いを持っているのではないでしょうか。本企画では、サッポロビールで働く人に仕事(I)、視点(eye)、想い(愛)の3つの「アイ」を語ってもらいました。サッポロビールの商品は知っていても、そこで働く人たちの素顔を知られることはあまりないはず。インタビューを通して見えてきたのは、それぞれ個性をもったユニークな人たちでした。
連載第2回は、新商品開発を担当している櫻井桃子に取材。それまで世の中に存在しなかった新たなモノや体験を生み出すため、櫻井は日々をどう生きているのだろうか?
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I ― 私はこんな仕事で
モノだけにとどまらない、“新しい体験”を創りだす商品開発担当
――現在所属している部署と、業務内容を教えてください。
櫻井:マーケティング本部 顧客体験デザイン部のアシスタントマネージャーとして新商品開発のほか、お客様に提供できる「新しい体験を創る」仕事をしています。
――「新しい体験を創る」というのは、具体的にはどんなお仕事ですか?
櫻井:例えばお酒は「モノ」ですが、誰と、どんなシーンで、どんな行動と気持ちを伴ってお酒を飲むのは「体験」だと思うんです。そういった体験までを含めてデザインしています。2024年の3月までは、新商品を作ることがミッションでしたが、この4月から「顧客体験デザイン部」という新たな部署が発足し、体験価値も含めた新しい商品・サービスの開発を担当するようになりました。具体的な活動はこれからですが、お酒にまつわるあらゆる体験をアップデートしていくことを目指しています。ゆくゆくはお酒に関連した、まったく新しい市場を作り出すのが理想ですね。
――直近ではどんなモノまたはサービスを作っているのでしょうか?
櫻井:まだ公表できないものもあるのですが、新しいお酒の飲用体験と、それに伴う商品を一から作っているイメージです。季節限定品のような短期間で動くものではなく、数年かけてじっくりと進めるプロジェクトが多いですね。コンセプトやターゲット設定から考えることが多いので、お客様のインサイトを発見するのがとても大切です。お客様自身がまだ気づいていない深層心理や「購買のスイッチ」のようなものを見つけ出し、モノやサービスに変換するとしたら「それはどんなものか?」と毎日考えるのが、私の仕事です。
――インサイトはどのように発見するのでしょうか?
櫻井:例えばインタビューやフィールドワークです。スーパーマーケットや街に繰り出して、お買い物される方がどういった商品を買い物かごに入れているか、リサーチさせていただくこともあります。もちろん失礼のない範囲でこっそり(笑)。ほかにはお客様のご自宅を訪問し、冷蔵庫の中を見せていただいたり、さまざまな世代の方へのインタビューも頻繁に行ったりと、データからは見えてこないリアルな場から情報を得るようにしています。
eye ― 私はこんな視点で
ビッグデータだけに捉われず、目の前の「N=1」から始まる価値創り
――これまで仕事をしてきたなかで、どんな苦労がありましたか?
櫻井:人の気持ちや価値観など「目に見えないもの」をヒントに、その人が深層心理で求めていることを形にしていくことですかね。特に近年は“個の時代”と呼ばれるように、生活者のデモグラフィックデータ(性別・年齢・職業・居住地・家族構成などの人口統計学的な属性)だけでターゲット設定をするのは難しくなってきました。
――どういうことでしょうか?
櫻井:例えば20代女性に共通するライフスタイルがあったり、一般的な50代男性がもつ価値観があったりと、年代や性別ごとの共通点からマーケティング戦略を考える時代もありました。ですがみなさんもご存じの通り、多様化が進んだことでそうした区分けでユーザーを捉えるのは簡単ではなくなりました。例えば私の義母は70代ですが、見た目も感覚もとても若くて、Instagramを使いこなして化粧品を買ったりしているんです。少し前の時代には想定できなかったですよね?
――しかも、そういった方がめずらしくなくなってきているわけですよね。
櫻井:そうなんです。結局は一人ひとりが、「どこに価値を感じるか」ということだと思うんです。お酒の話で言えば、若い方がスッキリ爽快な味わいのビールばかり飲んでいるわけではないですし、むしろ「ヱビスビール」などのしっかりコクのあるプレミアムビールを定期的に買っていただく方もいます。だからこそ、とにかく「目の前の人を見る」という姿勢を大切にしていますね。
――いわゆる「N=1」を大切にされているのですね。
櫻井:そうですね。商品開発では、ビッグデータも重要ですが、それだけに捉われないようにしています。まずN=1をよく観察して、目の前のお客様がもつ価値観や、お客様自身もまだ気付いていない課題や不満をお客様の言葉の中から推察する。それをビッグデータと照らし合わせて、「実際にいる」ペルソナに向けて商品を作ることが大切だと思います。
――仕事のなかで大きな成果を得られたり、成長を感じられたりした点は?
櫻井:直近でいうと「ココロクラフト」という若年層向けのクラフトビールが、N=1を大切にして成果が得られた好例かもしれません。
当初は若い方が手に取りやすいビールを目指して、「海外のクラフトビール」のようなかっこいいデザインで開発を進めていたんです。でも20代の大学生の皆さんにその話をしても、まったく刺さらない。「家の中ではゆっくりくつろぎたい。海外のデザインはおしゃれだけど癒されない。」といった声が多かったんです。
そのヒアリングをきっかけに、「心に寄り添うクラフトビール」というコンセプトに変更し、国産ホップを使ったやさしい味わいと、くつろぎシーンに合う柔らかな色調のデザインと世界観で行くことにしました。その結果、20代の購買が非常に伸びて、既存の商品とはまったく違う層のお客様にリーチすることができました。
愛 ― 私はこんな想いを
ゼロイチに寛容なサッポロビール。私のアイデアで、世界に影響を与えられたら
――一人の社員としてサッポロビールの何が好きですか?
櫻井:心理的安全性がとても高い会社という点です。自分の考えや気持ちを、誰に対しても安心して発言できる環境があるといいますか。私はとにかく“ゼロイチ”でモノを作るのが大好きで、たまに突飛なアイデアを出すこともあります。でもサッポロビールはそんな私を受け入れ、無茶なアイデアもとりあえずは実行させてくれるんです。
――モノ作りやアイデアを出すことは元々好きだったんですか?
櫻井:そうですね、商品開発という仕事は天職だと思っています。小さい頃からお絵描きや工作が大好きで、お菓子やシャンプーなど身の回りのモノのパッケージデザインを眺めて裏の原材料表示までしっかり観察するのがなぜか好きな子供でした(笑)。私は理系の大学院を修了したのですが、大学へ進学する際は「生物学を専攻するか、それとも美大へ行くか?」と真剣に迷ったほどでした。実はプライベートでも、趣味でゼロイチを考えたりしています。
――プライベートのゼロイチ、とは?
櫻井:例えば、家庭で私主催の「サプライズパーティ」をよく開催しています。帰宅した家族が玄関を開けると、そこには謎解きのミッションが置いてあって、それをクリアしていくと最後にプレゼントがもらえる、みたいな。つい先日も夫の誕生日を記念してミステリーツアー的な日帰り温泉旅行を企画し、道中の様子も動画にしてプレゼントしました。「どうしたら人に喜んでもらえるか?」ということを考えるのが好きで、そうした発想は仕事でも活かすことができます。仕事とプライベートのどちらの刺激にもなって楽しいですね。
――あまり知られていない、サッポロビールのユニークな部分を教えてください。
櫻井:社員同士の結びつきがかなり強い会社なのかなと思います。部活っぽい感じというか。若い頃はみんなで頻繁に海やキャンプに行っていましたし、今でも新商品のアイデア出しの合宿をやることがあるんですよ。
部署の垣根もほとんどなくて、「一度でも一緒に飲んだらみんな友だち!」みたいな風土です。今回の企画を考えた杉浦とも、知り合ったきっかけは仕事ではなく、社員有志による「辛いものを食べる会」でしたし(笑)。
――サッポロビールの行動規範に「カイタクしよう」という文言があります。櫻井さんがこれからカイタクしたいことは?
櫻井:「楽しく働いて、楽しく子育てもして、そのうえで自分のことも大事にしている先輩像」を開拓したいですね。この3つはどれも欠かせません。そうすることで、サッポロビールでの働き方の見本というか、若い社員たちが安心できるような先輩になれると信じています。
仕事の目標では、新商品の開発を通して世界を変えていきたい、という想いがあります。この仕事が大好きなのですが、自分のアイデアで作られた商品によって、世の中の人の行動や価値観に少しでも変化や影響を与えられるように頑張りたいです!
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プロフィール:
櫻井桃子
2011年サッポロビール株式会社に新卒入社。家庭用営業を3年半経験したのち、新価値開発部に異動し、ビール・缶チューハイなど新商品の開発に6年半携わる。2024年4月から顧客体験デザイン部に所属し、新商品開発に加え、新しい体験の開発を担当している。
クレジット:
Photograph_Keisuke Yasuda
Text_Masayuki Tanitsu
Edit_Tenji Muto(amana)