CATEGORY : 知る
第1回「サッポロビールの星はなぜ黄色?」サッポロビール社史相談室
<登場人物>
サッポロビール㈱社史相談室/社史原ノリ子
入社3年目。社史(会社の歴史)に関するよろず窓口。普段は社史室にこもって黙々と仕事をしているが、相談を受けるとノリノリになる。愛称はシャッシー。
サッポロビール㈱東京外食営業部/営業マン太郎
入社3年目。東京中を飛び回る営業マン。社史、特に自社商品の歴史に関する知識を身に付け、営業活動に活かしたいと考えている。シャッシーとは同期入社。愛称はマン太郎。
第1回:サッポロビールの星はなぜ黄色?
お客様のご質問に答えられなかった(涙)
シャッシー!助けてくれ~。
どうしたの?マン太郎くん。
今日、新規のお客様と名刺交換した際、「なんでサッポロビールの星は黄色なの?」って聞かれたんだけど、答えられなかったんだ。
「なぜ星なんですか?」っていう質問は多いけど、「なぜ黄色なんですか?」って色の理由を聞かれるのは珍しいね。
そうなんだよ。だけど自社のマークについて答えられないなんて情けない。
そんなに落ち込まないで。では、黄色になった経緯・理由をご説明しましょう。
うん。よろしくお願いします。
サッポロビールの星の由来
まず、サッポロビールのマークが星である理由は知ってるよね?
もちろん!
当社のルーツは1876年に開業した開拓使麦酒醸造所。その開拓使のシンボルが五稜星と呼ばれる星で、これは北極星をモチーフとしたものなんだ。合ってるよな?
うん。合ってる、合ってる。
開業の翌年の1877年には、初代「札幌ビール」が発売になった。そのラベルに描かれた開拓使のシンボルの星は、コーポレートマークや黒ラベルなどの商品のマークとして現在に受け継がれている。
さすがマン太郎くん!
ま~ね~。これは新入社員研修で学んだからな。
いつから黄色になったか?
で、もともとは星の色は赤だったけど、いつから黄色になったんだ?
コーポレートマークが黄色の星になったのは2003年から。この年、サッポロビール㈱は純粋持株会社制に移行してサッポロホールディングスになり、サッポロビール㈱は酒類事業を担う一事業会社として新たに出発することとなったの。
サッポロホールディングスの下に、酒類、飲料、外食、不動産の4つの事業会社ができて、それぞれが自主独立の経営をすることになったんでしょ。
そうそう。その際に、新生サッポロビール㈱のコーポレートマークとしてできたのが今の黄色い星のマークというわけ。
なるほど、2003年か。
なぜ黄色なのか?
で、本題だけど、なんで星の色は黄色なんだ?
これは「輝くゴールド」をイメージしたもので、「サッポロシャイニングスター」っていう名前もあるの。
サッポロシャイニングスター!?
実際にこのコーポーレートマークに、「サッポロシャイニングゴールド」と呼んでいるグラデーションをかけたゴールドを使用する場合もあるんだけど、それがこれ!
お~、かっこいい!
ただこれは一般的な印刷で統一的な表現が難しいため、実際には、ゴールドではなく広く展開できる黄色「サッポロイエロー」を使用しているの。
本来は、黄色じゃなくてゴールドということだったのか。で、そのゴールドにはどんな意味があるんだ?
シャイニングスターに込められた思いとは?
うん。社内には「コーポレートマーク・ガイドライン」という資料があって、そこに、このマークに込めた思いが書いてあるよ。ちょっと今メールしたから読んでみて
「このコーポレートマークは当社が創業以来の変わらぬフロンティアスピリット(開拓者精神)で、人々がいつの時代も生き生きと輝く時間を提供し続けていく!という約束の証です。」
ふむふむ。お~なるほど!「輝く時間」ね!だからシャイニングゴールドを使ったシャイニングスターなんだな。納得。
そう。これ重要だから、よく覚えておいてね。
よし、わかった!ありがとう!さっそく、ご質問されたお客様に説明してくる!
あ、行ってらっしゃーい!
※このコラムに登場する人物や部署は実在しません。しかし、サッポロビールの社史に関する話は、事実に基づいたものです。
※イラスト:iStock.com/wakashi1515
<この記事を書いた人>
山根 一洋
1987年サッポロビール㈱入社。ヱビスビールのブランドマネージャーなどマーケティング部門を歴任。ラッキーヱビスの生みの親。現在は広報部で、社史に関するコラム執筆や社員教育などを担う。同時に、一般社団法人日本ビール文化研究会でビア検(日本ビール検定)の企画・編集主幹、ビールセミナー講師を務める。趣味のラジオCMコピー制作では、第7回文化放送ラジオCMコンテストでグランプリ&リスナー大賞など受賞歴多数。