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雪印メグミルク社とのコラボであの「SORACHI1984」に「黒」が登場!!

「ホエイ(乳清)」を使った「SORACHI1984 BLACK」の誕生を
4人のキーパーソンが語る

Amazon.co.jp限定で発売中の「SORACHI1984 BLACK」。みなさんもう飲まれましたか?

伝説のホップ「ソラチエース」の持ち味である独特な香りを活かしつつ、チーズづくりの副産物として生まれる「ホエイ」を加えて無濾過で仕上げた「SORACHI1984 BLACK」。ソラチエースのココナッツのような甘い余韻と、雪印メグミルク社製のこだわりのホエイならではのまろやかさによる濃厚な味わいが魅力の新たな「SORACHI1984」がいったいどのようにして生まれたのか。

その誕生の経緯を4人のキーパーソンが明かします。

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※ホエイとは?
チーズづくりの過程で生じる副産物で、乳清とも呼ばれるものです。ホエイプロテインなど、さまざまな製品に活用されています。
※本商品で使用したホエイは、液体ではなくパウダー状のものとなります。
※記事上では、「黒ビール」と表現しているところがありますが、本商品は日本の酒税法上、発泡酒に当たります。

■「SORACHI1984 BLACK」開発に携わった4人のスタッフ

飯田 友美(いいだ ともみ)
サッポロビール株式会社
価値創造フロンティア研究所 酒類技術グループ

<こんなことを担当しました>
ホエイをどのように使用すればビールがおいしくなるのかをビール開発グループの小泉とともに検討し、ごく少量のサンプルビールを試験的に醸造するなど、商品開発の第一歩となる部分を担当しました。

小泉 智洋(こいずみ ともひろ)
サッポロビール株式会社
商品・技術イノベーション部 ビール開発グループ

<こんなことを担当しました>
雪印メグミルク社の久保内さんと、価値創造フロンティア研究所の飯田と本プロジェクトを担当していました。通常業務はビールテイストの新商品開発。研究成果を新商品に落とし込むことを主に担当しています。

久保内 宏晶(くぼうち ひろあき)
雪印メグミルク株式会社
総合企画室 総合企画グループ

<こんなことを担当しました>
チーズ消費が拡大する中、副産物として産出されるホエイの活用用途を広げ、無駄なく使い切るため、「いっしょに出来ることはありませんか?」と、サッポロビール社にお声がけをさせていただきました。

新井 健司(あらい たけし)
サッポロビール株式会社
新価値開発部 兼 ビール&RTD事業部 SORACHI1984 ブリューイングデザイナー

<こんなことを担当しました>
ホエイを活用したビールの提案を小泉から受けた際に、ソラチエースのココナッツを思わせる香りと相性が良く、おいしいビールに仕上げることができると感じ、SORACHI1984ブランド初の黒の実現に向けて開発を進めました。

■ホエイの新たな活用法を探して

――そもそも今回の「SORACHI1984 BLACK」の商品企画はどのように立ち上がったのでしょうか?

久保内:主にチーズを作る過程で、副産物として乳清とも呼ばれる「ホエイ」がうまれます。あまり馴染みはないかもしれませんが、このホエイを粉末状にしたものは、製菓・製パンや多くの加工食品においてミルクの風味を付与する目的で使われたり、育児用の粉ミルクやカラダづくりのためのプロテインといった栄養に寄与する商品の主要原料としても使われており、実は大変価値のある素材です。ただ、今後、チーズの需要が拡大した場合、さらに多くのホエイが生み出されることになります。

――なるほど。それで新しい使い道を探していたわけですね。はじめからビールへの活用を想定されていたんですか?

久保内:はじめはホエイのビールテイスト飲料への利用に関する研究データをご紹介させていただきましたが、明確にこれというプランがあったわけではなく、漠然とミルク系のチューハイ・サワー飲料を考えていました。

――それには何か理由があったのでしょうか?

久保内:実はホエイに含まれる乳糖はそのままだとビール酵母の栄養成分として利用されないため、酵素などで分解するなど一手間かける必要があると考えていました。技術的な面でそういう難しさがあったので、そのままビールに使われるとは思っていなかったんです。

――それがビールになったのはどういうきっかけですか?

小泉:サッポロビールとしてホエイの活用を考えて行くなかで、ビールの開発を担当する私の部署にも話が来ました。つまり、私としてははじめからビールとしての活用を考えることになったわけです。そこから飯田とともに、「ホエイを使ったビール」の開発をはじめました。

――なるほど。「SORACHI1984 BLACK」でもやはりホエイを酵素などで分解して酵母の栄養源として利用しているんですか?

小泉:「SORACHI1984 BLACK」は、「ミルクスタウト」と呼ばれる黒ビールを参考に作られているのですが、これは乳糖を加えて作るんです。乳糖は酵母が栄養に使う事ができないので、風味や厚みを持たせたりする役割を持っています。発酵のために加えられるものではないんですね。

今回の「SORACHI1984 BLACK」でも、ホエイを酵素分解はしておらず、ホエイに含まれている乳糖はそのままビールに残っています。ホエイには乳糖以外にも様々な成分が含まれておりそれがまろやかさなど、味わいに大きく貢献していると考えています。

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■商品開発は前途多難。商品化断念の可能性も!?

――開発はどのように進められていったのですか?

飯田:どのような形でホエイをビールづくりに活かせるのかを探るため、まずはテーブル試験からはじめました。ある程度の目処が立ったところで、ホエイの香味をそのまま残すものと、ホエイに一手間を加えてビール酵母の養分として活かすものと、2通りの方法で試験的にごく少量のビールをつくり、社内で検討してもらいました。

――「SORACHI1984」や「SORACHI1984 BLACK」は上面発酵という方法で作られているとうかがいました。その2通りの試作品も上面発酵酵母が使われたものだったんですか?

飯田:最初はミルクスタウトを参考にするというアイデアも生まれてなくて、黒ラベルやヱビスなどと同じ、下面発酵のピルスナータイプとしてスタートしました。

――その最初の試作品は、どんな評価だったのでしょう?

飯田:ホエイならではのミルク感は味としては悪くなかったのですが、人によって評価が分かれる結果となってしまいました。

小泉:チーズもビールも発酵という工程を経てつくられますよね? でも、チーズやヨーグルトの香気成分であるダイアセチルは、ビールづくりにおいては「オフフレーバー」、つまり良くない香りのひとつとして扱われることが多いんです。ダイアセチルは特に発酵が良くなかったときに出る成分です。

乳製品としては美味しそうな香りと感じられても、通常のピルスナータイプのビールだと印象がまったく違って、マイナスイメージの強い香りと言えます。それで社内では人によって評価が分かれる結果となってしまいました。

――それでピルスナーよりも香りが強い黒ビールという方向が生まれていったわけですね。

小泉:そうですね。ただ、最初のうちは、黒ビールについても下面発酵の酵母を使った黒ビールとして開発を進めていて、この段階のものは新井からも「あんまり美味しくないね」とストレートに言われてしまったんです(苦笑)。

――やっぱり社内での評価だけに、表現がずいぶんとストレートですね(笑)。

小泉:正直なところ、「これは頓座しそうだな」って思っていました。今となって振り返ればホエイの風味と下面発酵酵母の相性があまりよくなかったのかな?とは思います。でもそれも厳しい評価をいただいて試行錯誤を重ねた末にわかってきたことで、当時はまだまだ手探りの状態でした。

飯田:「もしかしたら商品化はないかも……?」と不安になっていた時期ですね。

――やっぱり試作から商品化まで進むものって多くはないのでしょうか?

飯田:おっしゃる通りで、あくまでも私が担当しているのは研究段階なので、商品までたどりつくほうが少ないんです。だから当時はあまり期待を抱けないまま試行錯誤を続けていました。

■悔しさをバネに試行錯誤

――最初のサンプルから新井さんも試飲されていたとのことですが、その時点ですでに「SORACHI1984」として商品化される前提だったんですか?

新井:いや、僕はブリューイングデザイナーとして「SORACHI1984」というブランドを担当していますが、同時に「新価値開発部」という部署の一員でもあります。この部署は新たなブランドを生み出すための部署で、だからその時点ではまだ「SORACHI1984」の新商品になるとはまったく決まっていませんでした。

――まだ商品化までたどり着けるかわからない段階だったわけですしね。でもそれが転機を迎えるわけですね。

小泉:はい。やっぱり悔しくて「なんとかしてやろう」という思いがありました。そこで飯田にいろいろとお願いして2人で試行錯誤と研究を重ねていったんです。そのうちに、どちらかといえば華やかな香りを出しやすい上面発酵という製法なら、ホエイとの相性がいいかもしれないと思いつきました。特に発酵に乳糖を使う「ミルクスタウト」ならいけそうだという方向性も見えてきて。

――下面発酵から上面発酵へって、ずいぶんと大胆な方針転換に思えますが、そこはスムースに進んだんですか?

小泉:こればっかりは運がよかったとしか言い様がない部分もありますね。上面発酵を試してみたら、わりとすぐにそれまでよりいいものができてきました。

久保内:私もサッポロビール様の研究所で一緒に試作品を飲ませていただき、風味や生産面の課題をお伺いし、当社の北海道産のホエイ素材の中から、こだわりのホエイを改めてご提案させていただきました。

小泉:そうやって改良を進め、「これなら」と思えるサンプルができた段階で、本社の社長をはじめとする役員や企画部門の社員があつまる試飲会に、ホエイを使ったものを出品してみたんです。

――下面発酵から上面発酵へ転換してリベンジを図ったわけですね。

小泉:サンプルのできは悪くなかったですし、やっぱり「美味しくない」という評価をなんとか覆したいという想いもありました。そこで、試飲会のときには少し工夫をして、新井には詳細を伏せたまま、ブラインドで飲んでもらったんです。

新井:正直なところ、驚くほど美味しくなっていました。ホエイの特徴が生きたまま、きちんと美味しいビールに仕上がっていたんです。

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――してやったりですね(笑)。

小泉・飯田:はい(笑)。

■そして「SORACHI1984 BLACK」誕生へ

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――小泉さんと飯田さんの2度目のサンプルは、どんな印象でしたか?

新井:SORACHI1984に使われているホップ「ソラチエース」の独特の香りは、「ココナッツに似ている」ともよく言われるんです。

そんなことから、「もしかしたらホエイを使ったスタウトは、ソラチエースにもマッチするかもしれない」と感じました。

――ということは、試飲された段階では、別ブランドの黒ビールとして商品化される可能性がまだ残っていたわけですね。

新井:そうですね。試飲してすぐにこれならSORACHI1984ブランドとして「黒」を出す意味があるかもしれないと思いました。それくらい、ブラインドテストで試飲したものは美味しくなっていたんです。

――ちなみにホエイを使った黒ビールって前例はあるんですか?

小泉:あまり多くはないのですが、古くは19世紀ぐらいにアメリカで特許が取られていたケースがあるなど、存在はしていますね。今でもカンボジアで作られているようですし、もしかしたら国内でも前例があるかもしれません。

――そこから本格的に「SORACHI1984 BLACK」の開発がはじまったわけですね。

飯田:ブラインドテストで「美味しい」という評価とともに、「ここにソラチエースを入れたらいいんじゃない?」って意見が新井から出まして。はじめは「どうやってソラチエースを使うんだろう?」って意味がわからなくて。でもソラチエースを使った黒のサンプルを飲んだらそれがけっこう美味しかったんです。商品化まで行けそうと思ったのはそのときですね。

小泉:当初はホエイの甘い香り、ソラチエースの華やかな香りのバランスを取るのにはかなり苦労しました。しかし、結果的にはそれらの香りのおかげで、「SORACHI1984 BLACK」は通常の黒ビールよりも飲みやすいものになっていると思います。

――ホエイを活用したビールづくりをはじめてから「SORACHI1984 BLACK」の発売まで、どれくらいかかっているんですか?

小泉:メールを見ると2021年1月に雪印メグミルク社から最初のご提案をいただいてますね。そこから飯田さんにお手伝いいただいて、試験を重ねながら最初のごく少量の試作を行うまでにさらに2~3ヶ月。私がそれを受けて、もう少し大きいスケールで試作をはじめたのが、去年の5~6月でしょうか。

――新井さんに試作品を酷評されたのはいつごろだったんですか?

小泉:去年の8月ですね。

――ブラインドテストを行ったのはいつくらいですか?

小泉:10月ですから、2ヶ月くらいでリベンジを果たしたことになります。

――もっと時間が空いているんだと思っていました。

小泉:はじめのうちはホエイの香りに対して、「オフフレーバー」という意見をいただいていました。でも、私はあんまりネガティブに捉えていなかったんです。黒ビールにすれば、牛乳的な香りは黒麦芽に由来するカラメルみたいな香りとあわさって、コーヒー牛乳みたいに感じられるだろうと、発想の転換ができたのがよかったんでしょうね。

■1杯目から楽しめる黒、もう1杯飲みたくなる黒

――そうして紆余曲折の後に、ついに完成した「SORACHI1984 BLACK」ですが、どんなビールに仕上がったんでしょうか?

飯田:ソラチエースやホエイなど、個性がある素材ばかりが使われていますが、黒ビールならではのカラメルみたいな焙煎香と、ソラチエースの香り、そしてホエイの風味と、3つの個性がバランスよくまとまった美味しいビールになっていると思います。

――飯田さんにとって「SORACHI1984 BLACK」がはじめて商品化まで辿りついたプロジェクトですか?

飯田:はい。研究部門の一員として何か商品を出せたらいいなと思っていましたが、まさかこんなに早いタイミングでその願いが叶ったのはうれしいですし、感慨深いですね。

小泉:この「SORACHI1984 BLACK」の開発は「苦労した」というより、ずっと楽しく進めることができていました。ただ、やっぱり難しかったのはそのバランスの部分。でも、結果的にはソラチエースの個性ある香りのおかげで、黒ビールのなかでも飲みやすいものになっていると思います。

新井:味が平板というわけでもないのに、黒ビールとしてはマイルドで飲みやすいんですよね。「もう1杯飲みたくなる黒」になっていると思います。

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飯田:黒ビールってしっかりした味わいのものが多くて、飲むタイミングとしてはお酒の席でも少しあとのほうというイメージがあるかもしれません。でも、ソラチエースの華やかな香りのおかげで、1杯目から楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。

新井:もちろん冷やしても美味しいですが、温度が少し上がってくると、より香りが引き立って違う味わいが楽しめるんです。ボディには黒としての厚みもありながら、そこに香りの演出がきちんと混ざり合い、本当にマイルドで飲みやすく、SORACHI1984ならではの美味しい“黒”に仕上がりました。自信作ですね。

久保内:実はまだ完成した「SORACHI1984 BLACK」は飲んでいないんです。皆さんの言葉を聞いて、一刻も早く飲んでみたくなりました(笑)。

(文=稲垣宗彦)

サッポロ SORACHI1984 BLACK

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