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【インタビュー】デザイナーに冬物語デザインの変遷を聞いて、ただただ「冬物語」が飲みたくなった!

皆さんこんにちは!「冬物語ブランドチームの中の人」です。
前回は冬物語の歴史を中心に語らせていただきました。今回は第2弾として冬物語のデザインの変遷に関して、サッポロビールのデザイナーさんお2人にインタビューしてきました!
前回記事まだの方は是非読んでみてください~
■過去記事はコチラ https://blog.sapporobeer.jp/knowledge/14572

発売から既に30年以上。時代の流れの中で、お客様の嗜好に合わせて味わいやデザインを少しずつ変化させてきた冬物語ですが、「デザイナー視点でデザインの変化を捉えたら面白そうだなぁ」というのが、今回記事を執筆する上で最初の動機でした。

デザインを語るならやっぱり実物があったほうが良いよね!ということで、手元にある過去デザインを用意しつつ、デザイナーの田中さんと鯨岡さんにインタビューしていきます!

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サッポロビールデザイナーの鯨岡さん(左)と田中さん(右)

(筆者)やっぱりこれだけ並ぶと圧巻ですね!全て同じ商品だとは思えないくらいにデザインが多岐に亘っているなと感じます。

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過去デザイン缶の一部。デザインは多岐に渡る。

(田中) 改めてこうして並べてみると本当に圧巻ですね。時代の空気やお客様の好みを一生懸命反映しようとした結果、このようにデザインが多岐に亘ったのでしょうね。まさに昭和、平成の激動の時代を潜り抜けて来た商品という感じですね。

(鯨岡)いやー、やっぱり並べると面白いですね!時系列で並べてみると特によく分かります。最初はビールらしいデザインで始まったのが、情緒感が強くなっていき、ぱっと見「これ、ビールかな?」というデザインも。1991年なんて面白いです。商品名がシェークスピアの戯曲「The Winter’s Tale(冬物語)」から引用されていることにちなんで、アーティスティックにシェークスピアさんご本人(?)が描かれています。

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1991年発売の缶デザイン。アーティスティックにシェークスピア本人が描かれている。
商品名の由来となった戯曲「The Winter’s Tale(冬物語)」の詩の一部も原文のまま配されている。

(田中)1991年デザインは他と比べてもやはり異彩を放っていますね。当時は今ほど市場に商品が無かったので、お店では1つの商品が棚に2列3列と並ぶことも多かったと思いますが、これがズラっと並んでいたら結構インパクトあったんじゃないですかね~。

(筆者)なるほど。発売当時は「冬季限定品の生ビール」ということでビールらしさが重要でしたが、時代の変遷につれ、お客様の嗜好も多様化していった。それに応えるように情緒的なデザインも生まれて行ったのですね。個人的には2007年のデザインが印象に残っています。雪の降る平原に堂々と枝を張って立つ1本の木。葉を落として、どこかもの悲しげで、「物語」が今にも始まりそうな雰囲気がたまりません。

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2007年発売当時のデザイン。「物語」が今にも始まりそうな雰囲気

(田中)例えば絵本の表紙にもなりそうな、情緒を誘うデザインですよね。別の角度からこんな変わり種もありますよ。20世紀終わりの年、1999年のデザインなのだけど。示温インキという、温度で色が変わる特別なインキを採用しています。銀色に見えている部分が冷やすと青色に変わるのだけど・・・。20年以上経っているしどうなるか分からないけどちょっと試してみましょうか。

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(全員)おおー!

(田中)すごい!まだ示温インキ生きていますね!これ、当時日本では缶に使われたことがほとんどなくて新しい試みだったんです。この年のコピーが「1000年に一度の冬物語」だったのですが、世紀の変わり目ということで、何かいつもと違う特別なことやろうという雰囲気が社内にあったように記憶しています。「缶が青くなってから飲んでね」という感じに、飲み頃判断に使ってもらうか?なんていう話もしていたと思います。(実際は飲み頃温度と色が変わる温度が微妙に合わず、このプロモーションはしなかったような・・・)

(筆者)20年以上も昔のインキが生きているとは!ちょっと感動しました(笑)デザインの裏話もありがとうございます。当時を知る方のお話は大変貴重で有難いです!
鯨岡さん、他に「これは!」というデザインはありますでしょうか。

(鯨岡)「全て」。ですが(笑)強いて上げるなら2002年、2003年です。
水無平板印刷という特殊な印刷手法を使っており(これも当時かなり新しかったんです)、柔らかく細かい表現が特徴です。2年続けて同じトーンになっていますが、毎年楽しみにしている方も多いクリスマスのイヤープレートのような雰囲気が個人的に気に入っています。余談ですが、絵の背景はサッポロビール園です。

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2003年発売当時の缶体を持つ鯨岡さん。02年、03年は細部までこだわった美しい描写が魅力。

(筆者)鯨岡さんありがとうございます。本当ですね!確かに、背景ビール園ですね!こういう小ネタ大好物です(笑)
さて、田中さんも含め、数多くのデザイナーさんが歴代の冬物語のデザインを作ってきましたが、本年は鯨岡さんが担当くださっています。最後に本年デザインのポイントを伺ってもよろしいでしょうか。

(鯨岡) 今年の冬物語のテーマが「原点回帰」ということで、企画当初から当時のデザインのDNAを盛り込もうと思っていました。改めて冬物語の「イメージ」をまとめてみようと思い、当時をよく知り今日まで育ててきた先輩社員の皆さんに「冬物語のイメージは?思い入れのあるデザインは?」などヒアリングをしました。それぞれに冬物語への思い出やストーリーがあり、まとめることが困難でしたが、冬季限定ビールのパイオニアである誇りと、90年代の時代性を語る方が多かった(というか全員)です。
そのため今年のデザインは、
・本格的なビール
・歴史を感じさせるデザインの骨格は担保しつつ、しっかりと2021年らしさ、進化も感じる要素を盛り込むことにしました。


具体的にはサッポロビールの代名詞でもある六角形の瓶ラベルの骨格に堂々と★とロゴマークをレイアウト。赤くてレトロな「生」の文字。それでいて冬の美しくファンタジックな情景が感じられる鮮やかなブルーなどのカラーリングを使用しました。
こだわりの部分は「白の発泡インキ」。特殊な白のインキを使用して、少しザラっとする加工を施しました。缶を光に当てるとこのザラり感がパウダースノウのように光るんです。当時にはなかったカラーリングや印刷表現をすることで、当時を懐古するだけのブランドではなく、これからも進化していく意思をエッセンスとして盛り込んでいます。
「歴史を感じさせる1990年代らしさ」と「2021年らしさ」を融合させ、これからも冬物語は進化していく。そんな意思が感じられるデザインにもご注目いただけたらと思います。

デッサン.jpg
㊙今年の冬物語のデザインラフ画。
歴史を感じさせる90年代のらしい骨格の中に2021年らしさが融合したデザインは、このようにして誕生した。

(筆者)田中さん、鯨岡さん、ありがとうございました。冬物語の長い歴史は、デザイン一つをとっても非常に興味深いですね。
今年のデザインに関しても詳しく教えていただき、インタビューをしていて、ものすごく冬物語が飲みたくなってきました(笑)

・・・編集後記・・・
この記事を読んでくださっている皆様にも、それぞれのお気に入りの冬物語があるのではないでしょうか。今年は1988年発売当時の深みのあるコクとキレの良い後味を再現し、どこか懐かしさを感じるデザインを目指しました。
今年の冬物語を飲んで、皆様それぞれの「あの冬」を思い出し、懐かしんでいただければと思います。
冬物語 | サッポロビール (sapporobeer.jp)

カメラマン:K岡/Kやし
筆者:冬物語ブランドチームの中の人

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