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ワインメーカーの相棒「タンク」について ~勝沼ワイナリー~
いろとりどりの花が咲く季節になりました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
グランポレール勝沼ワイナリーのぶどう園では、今年も元気に萌芽が始まりました。
さて、今回は少し視点を変えまして私たちワインメーカーにとって大事な相棒である「タンク」について少しお話したいと思います。
皆さん、ワイナリーにあるタンクはワインづくりにおいてどのような役割を担っていると思われますか?
タンクは醸造したワインを保管するための容器としての役割はもちろんですが、私たちワインメーカーにとってぶどうの個性を最大限に引き出す場としての役割を担う、とても大事な相棒です。
ぶどうの個性を引き出すポイントのひとつとして、適切な温度での発酵が挙げられます。グランポレール勝沼ワイナリーにあるタンクは、外周にお湯や冷媒を流す事で発酵温度をコントロールできる多重構造になっています。私たちワインメーカーは醸造最盛期、発酵の様子やワインの香味を見ながら発酵温度を何度にすればよいのか、相棒であるタンクと日々相談しながら決めているのです。
また、赤ワインを醸すためのタンクは一般的に上部開放型のものを使っています。この構造は、発酵中に浮いてくる果皮や種を再度液に浸漬させるために必要です。この浸漬作業によって果皮や種に含まれるタンニンや色素等のワインに必要な成分を抽出する事が可能となります。こちらも発酵温度同様、液の様子や香味を見ながら各々のぶどうに合わせて浸漬方法や、その頻度を日々細かく決めています。
ワイン醸造に使われるタンクにはこの他にも様々な大きさ、素材(ステンレス、コンクリート、木)、形(円柱、円錐、逆円錐)のものが存在します。これらタンクの違いがワイン品質に与える影響や、ぶどうの個性を見極めながら、私たちワインメーカーは最適なタンクを選んでいます。つまり、ワインづくりはこれらタンク(相棒)選びから既に始まっているのです!
グランポレール勝沼ワイナリー 多田 淳