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人間の目と同レベルの解像度をもった新世代VRヘッドセット

ヘルシンキに拠点を置くVR系スタートアップ「Varjo(ヴァルヨ)」が、人間の目と同レベルの解像度を実現する、次世代XR/VRヘッドセットをリリースしました。医療・設計・エンジニアリングなどに特化したアプリにも対応しており、非常に鮮明な画像を映し出すことから、プロフェッショナルを含めた幅広い層の注目を集めています。

1台のヘッドセットに仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を融合させた「XR-3」と、VRにのみ特化した「VR-3」の2モデルがありますが、どちらも1世代前のモデルと比較して、最大2倍のパフォーマンスを発揮することが可能で、まさに新世代のヘッドセットと呼べる存在となっています。

Varjoは、ゲームをはじめとするコンシューマー向けの用途は一切検討することなく、再現性の精度が求められるマーケットの期待に応える没入感と臨場感を可能にする技術開発を行ってきたこともあり、主に医療を学ぶ医師のトレーニングなどにも活用されているといいます。

「このヘッドセットは単なる“新製品”ということではなく、従来モデルの2倍のパフォーマンスを誇る次世代プロダクトです。しかも価格はほぼ半額にまで抑えてあるので、幅広いビジネス層に使っていただけると思います」とVarjoのCMOを務めるユッシ・マキネン氏はいいます。

「従来の半額」とはいえ依然価格帯が高いこともコンシューマー向けではないといえる理由のひとつでしょう。「XR-3」は年1495ドル(約15.5万円)からの「Varjoサブスクリプション」とセットで合計5495ドル(約57万円)。一方の「VR-3」は本体価格3195ドル(約33万円)で、1年間のサブスクリプションは795ドル(約8万7000円)からとなっています。

「これらのプロダクトは、大規模な市場拡大を目指す企業で使用されることを想定しています」とマキネン氏はいいます。

一般的なユーザーにとっては確かに高額ですが、新型コロナの影響で、各社の設計チームが面と向かって開発作業をすることが難しくなった現在の状況を考えると、時間とコストの双方を削減できるこのヘッドセットには初期投資以上の価値がある、とマキネン氏は力説します。

さらにVarjoでチーフ・イノベーション・オフィサーを務めるウルホ・コンットリ氏は「VentureBeat」とのインタビューで、現時点で利用可能なテクノロジーは全てこのヘッドセットに詰め込んだと述べています。また同氏はVarjoが長年にわたる開発プロセスを通して、コスト、技術的優位性、多様な用途という難しいバランスを実現することに尽力してきたと強調しています。

「2つの画面が常時90Hzで動作するディスプレイは非の打ちどころもないほどの高解像度を誇っています。またRGBカラーの精度は99%と、ユーザーが求める正確な色の再現も実現しました」

Varjoが行ったオンラインデモでは、エンジニアやデザイナーがVRで設計したボルボの自動車のエクステリアやインテリアなど、詳細なシミュレーションを制作する方法が紹介されていました。

Varjoが開発したVRヘッドセットは、医療の現場でも利用されています ( Varjo )

「XR-3」と「VR-3」は写真のようにリアルなVRを必要とする専門的な用途を想定しています。

このようなヘッドセットの開発には多大な労力と資金が必要です。実際、同社は2016年の設立からこれまでに1億ドル(約103億円)を調達し、現在130名の社員を擁しています。マキネン氏によると、最初に契約を結んだ顧客は超富裕層で、娯楽目的で購入したということですが、そのほかにも数百台単位で購入したクライアントもいるとのことです。

「今回の最新モデルは、10人ほどの超富裕層が買ってくれるかもしれません」とマキネン氏は冗談めかしていいます。「このヘッドセットならVRゲームの『Half-Life: Alyx』も本格的に楽しめますよ」

 

新たなる用途

VarjoのXR/VRヘッドセットはプロダクトデザイナーなどのプロをターゲットにしています ( Varjo )

卓越した臨場感を実現するVarjoのヘッドセットは、パイロットやフライトクルーのトレーニングやシミュレーションで求められるシチュエーションも正確に再現できるといいます。

また、デザインを仕事とするクリエイターなら、テクスチャー、光の反射、色彩、曲率、角度にいたるまで、全てのパラメーターが従来のヘッドセットとは比べもにならないほど、鮮明に再現できる3Dビジュアライゼーションを作成することができます。

さらに、救急隊員や外科医であれば、没入型のVRを使ってトレーニングを行うことで、治療に必要なチームワーク、コミュニケーション、準備の方法などを学び、あらゆる緊急事態に対応できるスキルを事前に学べるようになります。

「弊社はこれまでに第1世代と第2世代のVR/MRヘッドセットを数百人の顧客に提供してきました。そしてついに第3世代をデビューさせることができたのです」とマキネン氏は語ります。

技術的スペック

VarjoのXR-3/VR-3ヘッドセットの視野角は115度( Varjo )

Varjoによると、フルフレームの「バイオニックディスプレイ」の解像度は、人間の目に匹敵するといいます。解像度はフォーカスエリアが片目あたり1920×1920ピクセル、周辺エリアは2880×2720ピクセル。画像のリフレッシュレート(1秒の間に画面が更新される頻度)は90Hzで、視野角は115°とのことです。

ここ数年、Varjoのヘッドセットは進化を続けてきました。2019年初頭にリリースされた第1世代の「XR-1」は販売価格1万ドル(約103万円)、片目あたりの解像度は1920×1080ピクセル、視野角87度でした。これに比較すると、フェイスブックが出した「Oculus Quest 2」は400ドル(約4万1000円)と格安ながら、片目あたりの解像度は1832×1920ピクセル、視野角92度と、Varjoに匹敵する優れたスペックを誇っていました。続く第2世代のVarjoヘッドセットは2019年秋に発売されています。

そして今回リリースされた「XR-3」は、VRゴーグル単体で位置トラッキングできるインサイドアウト方式を採用。内蔵カメラが周辺の環境を感知する機能を有しているので外部センサーは必要ありません。毎秒90 回以上の描画切り替えが可能ですが、コンットリ氏によると、これ以上のレート増加はユーザーの快適性を損なうという判断がなされたとのことです。

またVarjoは、システム全般においてこれまでにない超高解像度を実現することで、現実世界の色彩の忠実な再現も可能にしました。さらに、ユーザーの視線を最大200 Hzで正確に追跡することで、中心窩適応レンダリング技術を用いた視覚的忠実性を最適化しています。つまり、ユーザーが注視していない周辺視野の映像をぼかすことによってディスプレイの全体の精度を向上することができるということです。

そしてユーザーの指の動きを正確にトラッキングして、ナチュラルなインタラクションを実現するために、XR-3/VR-3はいずれもイギリスに本社を置く「Ultraleap」が開発したハンドトラッキング技術(3Dモーションセンサー「Leap Motion」のライセンスを取得)を実装しています。

そして眼の疲れとVR酔いの低減にも配慮し、ヘッドセットを快適にフィットさせる3点式のヘッドバンドを採用、さらに40%の軽量化、冷却機能アップ、超広角レンズ搭載と、快適性と実用性が高次元で実現されている点も特徴です。

「弊社のユーザーの場合、1度に連続してヘッドセットを使う時間は2〜3時間程度です」とコンットリ氏はいいます。

対応アプリ、パートナー、ユーザー

韓国の自動車メーカー「KIA」は自動車の設計にVarjoのヘッドセットを活用しています ( Varjo )

SteamVR 2.0位置トラッキングシステムを採用した専用ソフトウェアは、ゲームエンジンのUnityやUnreal Engine、VR/ARの標準規格を目指す統一APIであるOpenXR 1.0で構築されたアプリや、Autodesk VRED、Lockheed Martin Prepar3d、VBS BlueIG、FlightSafety Vitalを含む多数の産業用3Dエンジンやアプリとの互換性を有しています。

またAR機能付きの「XR-3」は、LiDARによる深度測定機能を搭載し、ステレオRGB映像のパススルーに対応しているので、スイッチを入れるだけで現実の風景を正確に再現することができます。オプションのカウンターウェイトを除いたヘッドセット本体の重さは1.3ポンド(約590グラム)です。

現在「XR-3」、「VR-3」のオーダーは、varjo.comや販売代理店で受付ています。また出荷開始は2021年初めを予定しているとのことです。

Varjo のビジネスパートナーには、Lockheed Martin、Laerdal、Kia Motors Europe、Epic Games、Unity、Bohemia Interactive Simulations、Autodesk、Boeing、Lenovo、Ultraleap、Cole Engineering Servicesなどが名を連ねています。

「現在弊社にとっての最大の市場はトレーニング、シミュレーション、設計、エンジニアリング業界ですが、最近になって医療用デジタルイメージングやリサーチ業界も非常に有望な市場であることが分かりました」とマキネン氏は語っています。

この記事はVentureBeatのディーン・タカハシ氏が執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで

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