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稀代の音楽家・モーツァルトが愛した、超レアなビールがリバイバル

100年以上も忘れ去られていたオーストリアのビールをアメリカ・コロラド州デンバーのブルワリーが限定生産で復活させました。

シードストック・ブルワリーの「ホーナービア」

Seedstock Brewery

ゴーゼグルートなど、一度は消滅した中世のビールの復活でさえも、クラフトビール業界では目新しい話ではありません。アメリカ全土で8000軒以上のブルワリーが次から次へと新作を発表している現在、かつて地上に存在したビールのほとんどがどこかの小さなブルワリーによって再現されていると言っても過言ではないからです。しかし、ビールには数世紀にもわたる長い歴史があり、大昔のビールの中には商業的な陽の目を見ることなく、姿を消したままになっているものもあります。

そんな幻のビールの一つが、100年以上ものあいだ誰も醸造しなかったオーストリアの「ホーナービア」です。アメリカ・コロラド州デンバーにあるシードストック・ブルワリーがそのレシピを発見し、再現しました。このスタイルのビールがアメリカで醸造されたことは今までに一度もないと考えられています。史上最も偉大な音楽家の一人、モーツァルトも愛飲したといわれるこのビールは、2020年8月に記念すべきアメリカでの販売開始を記録しました。

しかし、ホーナービアの何がそんなに特別なのでしょう。シードストックによると、大麦が使われている一般的なビールと違い、ホーナービアはオート麦のモルトのみを使用しています。オート麦や小麦は、流行りのニューイングランドIPAやヘイジーIPAでよく使われるようになりましたが、100%オート麦だけというのは非常に珍しいといえます。(私はビールについて執筆することで生計を立てていますが、この種のビールを飲んだことは、これまでに一度しかありません)。さらに、麦汁に加えたベーキングパウダーがかすかな酸味と爽快なフレーバーを演出しています。

シードストック・ブルワリーの「ホーナービア」

Seedstock Brewer

シードストックによると、1750年にオーストリアのウィーンで生まれたこのホーナービアは、モーツァルトのカノン「Bei der Hitz im Sommer eß ich」の歌詞に「夏の飲み物」として登場するそうです。偉大な音楽家のお墨付きといえますが、もしかすると、モーツァルトは現代でいうインフルエンサーのような存在だったのかもしれません。

「ホーナービアはシトラスの香りがする甘めのビールです。フレーバ―はレモンそのものではないけれどそれに近く、オート麦の甘さがモルトっぽい感じを出しています」と、シードストックの主任醸造者、ジェイソン・アボット氏は最近の『ヴァインペア』の記事でエヴァン・レール記者に語っています。伝統的な醸造法にこだわり、長年ホーナービアを探し求めてきたレール氏は次のように話しています。「他のビールとは全く違う、非常にドライなビールです。見た感じは重厚なフルボディのビールのようなのに、後味はかなりドライ。とてもユニーク味なのに飲みやすい。サワー系ではありません。余韻は甘めの酸味だと思います」

シードストックから限定生産で販売された「Small Stash Horner Beer 22oz Bombers」は、22オンス(670cc)ボトル入り、アルコール度数3パーセントで、シャンパンのような口当たりが特徴ということです。第一弾は、樽半分の量(約80リットル、ボトルに換算して90本超ほど)の試みに過ぎませんが、もしこれが成功したら生産を増強し、7樽に相当する量の仕込みにチャレンジするかもしれないということです。

この記事はFood & Wineのマーク・ポムランツが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.com.まで。

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