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【前編】初代「SORACHI 1984 マスターエバンジェリスト」誕生!〜伝説は、彼らが繋いでいく〜
伝説のホップ「ソラチエース」から生まれたビール「SORACHI 1984」。その物語と独自の魅力を伝える伝道者として、「SORACHI 1984 マスターエバンジェリスト」制度が新たにスタートしました。
その名誉ある称号の候補者として選ばれたのは4名。本記事では、彼らが初代マスターエバンジェリストとなるまでの道のりをレポート。前編では2回にわたって行われた研修及び試験の模様を、後編では「ソラチエース誕生祭」での任命式の様子を、余すところなくお届けします。
「SORACHI1984 マスターエバンジェリスト」とは?
「SORACHI 1984 マスターエバンジェリスト」。彼らは、SORACHI 1984ブランドが持つ物語と個性を誰よりも深く理解し、そして愛し、その独自の価値を未来へ繋いでいく、まさに「伝道者」と呼ぶにふさわしいスペシャリストたちです。
世界に誇る、世界で認められた伝説のホップ「ソラチエース」はこれまでたくさんのご縁を紡いできましたが、この輪を更に大きく広げるために、本取り組みをスタートするに至ったのです。
とはいえ、この称号は誰にでも与えられるわけではありません。SORACHI 1984ブランドへの「熱い愛情」、ビールの魅力を最大限に引き出す「卓越した注ぎのスキル」、そしてその感動を「人に伝える力」。この3つが飛び抜けていることが条件です。その厳しいハードルを乗り越えた4名が、栄えある初代として合格し、9月5日の「ソラチエース誕生祭」では任命式が行われました。

SORACHI 1984の伝説の物語や個性あふれるおいしさを
広く世の中に届けていく伝道者。
SORACHI 1984への熱い想いと覚悟を胸に、確かな知識と専門知識を持ち、
様々な人の共感を得て、心を動かすことで、
SORACHI 1984 がいつでもどこでも楽しめるビールになることを先導します。
Sales・Expertise・Passion
初代「SORACHI1984 マスターエバンジェリスト」への道。候補者の研修がスタート
初日の研修は7月4日に行われ、講師2名をお招きし、東京・門前仲町にあるPERFECT BEER SCHOOLにて開催されました。午前は、“No.1女性実演販売士”として知られるジャンプ中澤さん 、そして午後は麦酒大学の山本学長が登壇 。丸一日行われた研修は、とても濃密な時間になりました。

今回の研修では、商品を輝かせるためのプレゼンテーション術や、お客様の心を掴むコミュニケーションの極意を講義していただきました。

同じビールを10種類以上の注ぎ方で味を変える注ぎのプロ。ビールを科学し、日々、新しい注ぎ方を研究しています。
今回は、ビールの品質管理といった基礎知識から注ぎの技術まで、座学と実践を交えて深く解説していただきました。
ジャンプ中澤さん直伝!
商品を10倍輝かせる話し方講座2025
ジャンプ中澤さんは最初に、「商品は同じでも、伝える人の言葉や振る舞い一つで、その価値は何倍にもなったり、逆に下がってしまったりするのです」と、コミュニケーションの大切さを語りました 。講義では、「実演販売士が使うマル秘テクニック」や「思わず手が伸びてしまうトーク術」など、目からウロコの内容が次々と明かされていきました。
その多くはジャンプ中澤さんの“秘伝”なので、ここですべてをお伝えすることはできませんが、例えば、人には「視覚」「聴覚」「身体感覚」の3タイプがあり、相手に合わせたアプローチが効果的であること。また、相手との心の距離をぐっと縮める「ラポールテクニック」といった心理術や、思わず話を聞いてしまう接続詞の使い方など、すぐに実践で使えるテクニックを教えてもらいました。


講座の最後には、候補者たちが日頃から抱えている現場の悩みについて、質疑応答の時間が設けられました。「営業トークにおける効果的な“間”の作り方は?」「全く話を聞いてくれない相手にはどうアプローチすれば?」といったリアルな質問が飛び交い、前半が終了していきました。
麦酒大学・山本学長から学ぶ
「注ぎ」の奥深き世界
午後は麦酒大学・山本学長の講義でスタート。まずは座学として、おいしいビールの土台となる品質管理の基本から。山本学長が20年以上にわたりビールの最前線で培ってきた経験と科学的根拠を交えながら、「ビール回路とグラスの洗浄」「ビール温度に合わせたガス圧管理」「ビール樽の正しい扱い方」の三原則などを細かく解説します。
その後は、ビールの味わいを決定づける「注ぎ方」の説明へ。「液体と泡の理想的な比率」「グラスの角度」「縦回転と横回転で変わる炭酸の感じ方」「泡のメカニズムと理想的な乗せ方」といった、一杯のビールを最高のものにするための秘訣が次々と明かされていきます。

座学の時間の後は、山本学長指導の下、SORACHI 1984が持つ唯一無二の香りと味わいを最大限に引き出せる4種類の注ぎ分けを実践。これらは、実際に麦酒大学で調査を行い、で延べ100名以上の人の意見を聞いたうえで、好反応だったものから厳選したものです。
その4種類を紹介します。これらは実技試験のお題にもなりました。
・ACCORD (アコール)
液体の中から泡を再生させることで、冷たい泡とともに、SORACHI 1984 の香り・味わいをバランスよく楽しめる注ぎ方。
・ARDORE (アルドーレ)
少し大きめのグラスを使い、あえて上部に空間(エンジェルポケット)を作る注ぎ方。空間ができることで「ソラチエース」の華やかな香りをよりダイレクトに感じられる注ぎ方。
・ADOUCIR (アドゥシール)
2回に分けて注ぐことにより、濃密でふわっとした泡の質感と、ゆったりと味わえる甘味を楽しめる注ぎ方。
・AMABILE (アマービレ)
「ソラチラテ」と呼ばれるSORAHI 1984のおいしい泡を楽しむための、最初から最後まで丁寧に泡を注いで完成させる注ぎ方。



「ソラチベース(SORACHI 1984の公式認定店)の審査基準が厳しい理由が分かりました」(松原)という声も。実際に自らの手で注いでみるという体験は、多くの気づきをもたらしたようです。
山本学長の講義の最後には「飲食店が本当に提供すべき価値とは何か」という本質的なテーマも語られ、多岐にわたる内容を惜しみなく伝えていました。
こうして大充実の研修初日が幕を閉じました。
2日目。
知識と技が試される、運命の試験
2日目は8月8日に行われ、「SORACHI1984 マスターエバンジェリスト」の称号をかけた筆記と実技の試験、そして合否発表が行われました。
まずは筆記試験からスタート。候補者たちはこの日のために、SORACHI 1984が紡いできた歴史と物語、醸造における特徴、味わいの特徴、そして料理とのマリアージュに至るまで、あらゆる観点から学びを深めてきました。
テストは選択式と記述式で構成され、その設問数はかなりのボリューム。ソラチファンなら解けるであろう基本的な問題から専門的な知識を問うものまで、ブランドへの深い理解度が試されます。

筆記が終わり一息ついたあとは、実技試験へ。審査はまず、縦回転と横回転の注ぎ分けができているかの確認から始まります。その後、前回学んだ4種類の注ぎ分けをテスト。注ぎ口を当てる位置は合っているか、手順通りに注げているか、丁寧に行えているか、きちんと説明ができているかなど、山本学長と新井の厳しい視点で評価がされていきます。



そうしてすべての試験が終わり、運命の結果発表の瞬間が訪れます。
「全員合格です!」という新井の声。その一言で、一気に安堵の表情と歓喜の拍手が沸き起こりました。合格者たちの筆記試験の平均点は、なんと「84点」。SORACHI1984を象徴する「84」の数字というのも驚きでした。

こうして「SORACHI1984 初代マスターエバンジェリスト」たちの新たな物語が始まりを告げたのでした。
前編の最後に、濃密な2日間を終えたSORACHI 1984初代マスターエバンジェリスト4名の声をご紹介します。

「入社して10年、色々なことを経験してきた自負はありましたが『自分が見ていたビールの世界は、まだほんの一部に過ぎなかったのだ』と痛感しました。一方で、これまで経験で培ってきた知識を言語化してもらえた部分もあり、自分自身の歩みを振り返る良い機会にもなりました。何より、この研修でSORACHI 1984への愛情がさらに深まったと感じています」(吉江)
「サッポロビールで長く働き、自分なりに注ぎ方なども知っているつもりでした。しかし、山本学長の実演は新たな発見でいっぱいで、本当に大きな意味のある2日間でした。この気持ちを忘れず、これからも学び続けていきます」(中原)
「『これを営業の仲間に伝えたい!』と思えるような、語り尽くせないほどの学びを持ち帰ることができました。本当に最高の時間でした。そして何より、この2日間で4人の仲がより深まったことが嬉しかったです」(松原)
「注ぎの技術をここまで深く学べたのは、普段の営業では決してできない非日常的な体験でした。ジャンプ中澤さんから教わった会話のテクニックも、すぐに活かせそうなものばかりです。この2日間で得たものを、今度はメンバーやお客様にしっかり伝えて、SORACHI 1984をたくさんの人に知ってもらえるよう頑張ります」(出町)
後編では、いよいよ任命式の模様をお届けします。SORACHI 1984初代マスターエバンジェリスト4名の熱い想いもインタビューしているので、ぜひご覧ください。
★ソラチエース誕生祭内の任命式の様子はこちら
(文=田原奈奈、写真=志田彩香)