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飲酒と研究。 -お酒を飲むと人はどう感じるかについて- サッポロビールで働く人の 「I・eye・愛」 vol.9 ―研究担当 網谷雄志

――あなたは仕事やプライベートにどんな「アイ」を持っていますか? きっと誰しも強いこだわりや熱い想いを持っているのではないでしょうか。本企画では、サッポロビールで働く人に、「私はこんな職種(I)」で、「こんな視点(eye)」で仕事をしていて、「こんな想い(愛)」を持っている、といった3つの「アイ」を語ってもらいました。サッポロビールの商品は知っていても、そこで働く人たちの素顔を知られることはあまりないはず。インタビューを通して見えてきたのは、それぞれの個性があふれるユニークな人たちでした。

連載第9回は、生産技術本部 価値創造フロンティア研究所に所属する網谷雄志に取材。サッポロビールの商品・サービスを通してより良い価値を提供するために日々研究に取り組む網谷。彼は果たしてどんな奮闘をしているのだろうか

はじめに…網谷雄志はこんな人

I  ー 私はこんな仕事で、
飲酒で生まれる「楽しい」を科学!
お酒と人の未来を創る研究担当

――現在所属している部署と、業務内容を教えてください。

網谷:生産技術本部 価値創造フロンティア研究所に所属しています。新卒で入社後、まずサッポロホールディングスの研究所に2年間、その後ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究所で2年間研究を行いました。そして現在、サッポロビールの研究所に移り3年目になります。

価値創造フロンティア研究所では、大きく分けて3つの分野の研究を行っています。サッポロビールの強みである酵母をはじめとした微生物の研究、品質保証など分析技術をコアとした研究、そして人にフォーカスした研究です。私はその中で、人にフォーカスした研究を担当しています。

――これまでどのような研究をされてきたのでしょうか。また、現在取り組んでいる研究内容についても具体的に教えてください。

網谷:商品の安全性やおいしさを追求し、お酒と人の未来を創る研究を行ってきました。サッポロホールディングス時代には、ホップをはじめスーパーに並ぶような食品・素材などを対象に、健康機能などの機能性の研究に取り組んでいました。ポッカサッポロフード&ビバレッジ時代は、レモンや豆乳の機能性研究に加え、発酵など微生物に関する研究にも携わりました。

そして、現在ではこれまでの経験を活かしながら人を対象とした研究に取り組んでいます。人の感性や心理面などに焦点を当て、「お酒を飲んだときに人がどう感じるか」、「どのような行動をとるか」など、飲酒による体験価値を解明しています。また、細胞レベルで人がどのように感じているのかといったミクロな視点の研究もしていますね。

具体的な実験としては、数人でお酒を飲んでいるときの反応を計測したりお酒の味などをアンケート形式で回答してもらう官能評価を行ったりしてデータを収集・分析しています。

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――人とモノの研究、2つの側面から研究されてきた中で、何か感じられたことはありますか?

網谷:研究のアプローチは異なりますが、サッポロビールの商品を味わう「お客様に最高の体験を届けたい」というゴールは同じであるということです。一般的にメーカーでは、モノの研究をイメージしやすいですよね。しかし、モノを通じて人がどのように美味しさや楽しさを感じるのかを追求することも重要だと、日々研究していて感じることが多いです。

――そんな網谷さんの仕事は、一般のお客様にはどんな形で伝わるのでしょうか?

網谷:商品に反映されるのはもちろん、飲食店での体験イベントや空間演出にも研究の成果が活かされています。商品やサービスを通じて、お客様に新たな価値を提供できることがやりがいですね。

――研究所ならではのユニークな部分があれば教えてください。

網谷:原料の研究に特化した研究所を持っている点は、他にはない強みだと思います。私が所属している価値創造フロンティア研究所の他に原料開発研究所があり、そこでは大麦やホップなど、ビールの大切な原料の研究開発をしているんですよ。

eye  ー 私はこんな視点で、
サイエンスに真摯に向き合い、
未知なる結果すら楽しむ

――価値創造フロンティア研究所で働くなかで、これまでどんな苦労がありましたか?

網谷:研究では、仮説を立てて実験を進めるのですが、思い通りに進まないことが日常茶飯事です。なかなか前に進まないという苦労はありますが、そこに研究の面白さがあるとも言えます。

研究を始める際には、それが最終的にどのようなサービスなどの価値に繋がるかというビジョンを描きます。しかし、研究に決まった正解はありません。そのため、期待通りの結果が出なくても、それは失敗ではなく、そこから得られる学びを次のアプローチに繋げています。まさに、自ら道をカイタクしていくような感覚で日々仕事をしていますね。

――仕事をしていて楽しいと感じる部分も教えてください。

網谷:試行錯誤を重ねる中で思いもよらない結果が出ると、とても面白いですね。その結果を受けて、当初の予想とはまったく違う方向に研究が広がっていくんです。未知のものに立ち向かうことで新しい世界がどんどん開けるので、研究の仕事はやりがいがあります。

――仕事を進めるうえで、大切にしていることを教えてください。

網谷:ビジネス視点とサイエンス視点を切り分けて考えることを大切にしています。研究においてビジネス視点が先行すると、データの取り方などが恣意的になり、科学的な客観性が損なわれる可能性があります。

もちろん、会社員としてビジネス視点を持ち、研究成果を商品やサービスに繋げることも重要です。しかし、サイエンスにはサイエンスとして真摯に向き合うことで、未来に大きな価値をもたらすことができるのではないかと考えています。研究は5年、10年といった長期的なスパンになることも少なくありませんが、大きな視点を持って日々研究に励んでいます。

――研究所以外の社員の方と仕事をすることはあるのでしょうか。

網谷:営業部やマーケティング部と連携することはよくありますよ。例えば、営業部から「このような商品訴求をしたいのですが」という要望があった際、それに合致するデータがあれば提供します。もし該当するデータがない場合は新たに研究を行い、データ提供することもあります。

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――研究所は静岡にありますが、現地の人との交流はあるのでしょうか?

網谷:会社としては、年に数回地域の清掃活動を行ったり、焼津の花火大会に協賛したりしています。個人的には、地元の和食居酒屋やクラフトビールのお店によく行き、そこで地元の人と飲むこともありますね。元々静岡に縁もゆかりもなかったのですが、お店で出会った方々と仲良くなり、さまざまな企業の若手同士での飲み会に参加したこともあります。

また、サッポロビールの社員でよく行くお店もあって厨房の壁に名刺をずらりと並べてくれています。そこで飲むのは、サッポロビールの地域限定ビール、「静岡麦酒」が多いですね。

――網谷さんのビール愛を感じます。

網谷:「静岡麦酒」は自分自身が直接商品の開発に関わっているわけではありませんが、サッポロビールが手がける商品が地域に根付いて、多くの人に愛されていることを実感できる瞬間が日常にあるのが嬉しいんです。

ちなみに、「静岡麦酒」のほかに「サッポロ生ビール黒ラベル」や「サッポロラガービール」も学生の頃から大好きで、ビール単体はもちろん食事との組み合わせをいろいろ試しているんです。さまざまなペアリングを試す中で「やっぱりビールと餃子は最高だ」といったように、王道の組み合わせが王道たる所以であることを、改めて実感しますね(笑)。

愛  ー 私はこんな想いを
正解のないカイタクは続く。
“誰もがお酒で感動する未来”を目指して

――ひとりの社員の視点として、サッポロビールはどのような会社で、どのようなところに魅力があると感じますか?

網谷:サッポロビールの魅力は、何と言っても「人」にあります。私は、大学院では薬学を学んだので製薬会社への就職も考えていました。しかし、自分の好きなものに携わりたい、自分も楽しみながら人に楽しさを届ける仕事がしたいという思いから、サッポロビールに興味を持ちました。就職活動中に出会った社員の方々は皆さん話しやすくて、この人たちとなら楽しく仕事ができそうだという印象を受けました。入社してからもその考えは変わらず、良いメンバーに囲まれて仕事をしています。

また、サッポロビールの研究所は個人の裁量が大きいのも魅力です。研究内容に関しては自由度が高く、自分の提案を受け入れてもらいやすい環境で、上司も背中を押してくれることが多いです。なにより、自分の研究によって大好きなサッポロビールの商品やサービスにプラスの影響を与えることができることに喜びを感じています。

――サッポロビールの行動規範に「カイタクしよう」とありますが、網谷さんがカイタクしていることはありますか?

網谷:日々の研究そのものがカイタクですね。会社としても「お酒の未来、未来のお酒をカイタクしよう」と考えて研究しています。酒類事業を軸に、そこから新たな価値を見出し、拡大していけるような研究を行うことが私達の使命だと考えています。

ちなみに、プライベートでも居酒屋やレストランのカイタクは欠かせません。気になるお店があればチェックをして、いろんな場所に行くようにしています。

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――サッポロビールのビジョンに「誰かの、いちばん星であれ」を掲げていますが、ご自身がスターになれる瞬間はありますか?

網谷:実験に向き合っている時間は、自分自身が輝けているのではないかと思います。私は元々飽きっぽい性格なんですが、飽きずに研究に打ち込めるのはいろいろな研究テーマに挑戦させてもらえて、日々新たな発見があるからだと感じます。

また、お酒を飲んでいるときも輝いているかもしれません。日中は仕事に真剣に向き合い、夜はおいしいお酒を楽しく味わう。オンもオフも両方充実していますよ。

――仕事をしていく中で、今後の目標はありますか?

網谷:研究成果を学会発表や論文、特許などの形でリリースして、お客さまに「面白い研究をしている」と思っていただけるような結果を出すことです。そして、その結果をビジネスに応用し、皆さんの生活にプラスになるようなサービスを提供したいです。

研究の中には、かなりの長期的なスパンが必要なものもあります。「もしかしたら、自分の在籍中に完了できないものもあるかもしれません。そのような研究でも、少しでも前進させた状態で次の世代にバトンを渡したいと考えています。誰もがお酒で感動し、楽しめる未来の実現に向けて、引き続き研究に励んでいきたいです。

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プロフィール

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網谷雄志
2018年、新卒でサッポロビール株式会社に入社。サッポロホールディングスの研究所、ポッカサッポロフード&ビバレッジの研究所を経て、現在はサッポロビール 生産技術本部 価値創造フロンティア研究所の上級研究員として勤務。価値創造フロンティア研究所配属は4年目。

クレジット
Photograph_Keisuke Yasuda
Text_ Nana Tabara
Edit_Nana Tabara,Tenji Muto(amana)

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