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“日日是好ビール” サッポロビールで働く人の 「I・eye・愛」 vol.3―ビール醸造担当 石橋宣史
ーーあなたは仕事にどんな「アイ」を持っていますか? きっと誰しも自分の仕事へのこだわりや個人的なルーティンを持っているのではないだろうか。本企画では、サッポロビールで働く人に、「私はこんな職種(I)」で、「こんな視点(eye)」で仕事をしていて、「こんな想い(愛)」を持っている、といった3つの「アイ」を伺った。みなさんが普段から飲むお酒をつくる人たちの思いとは。そこには意外な仕事とユニークな人たちがいました。
連載第3回は、製造部に所属する石橋宣史に取材。皆さんがいつも飲んでいるサッポロ生ビール黒ラベルやヱビスビールなどの“あの味”を造り出すために、石橋はどんな奮闘をしているのだろうか。
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I ー 私はこんな仕事で、
“いつでも変わらない”
香りと味を届ける、ビール醸造担当
――現在所属している部署と、業務内容を教えてください。
石橋:生産技術本部 製造部に所属しています。ビール醸造に関わる幅広い業務を担当していて、主要な業務の一つはビールの香味と品質を維持・向上する仕事になります。
――香味と品質を維持・向上? ビールはレシピ通りに醸造して、いつもの味を造るものではないのですか?
石橋:実は違います。ビールは大麦やホップなど、農作物を使って造るものなので、栽培地や気候などによって原料の個性は毎年変化します。また微生物であるビール酵母の”元気具合”によっても、出来上がりの味は変わってきます。そのため、原料の配合や発酵の管理方法などを調整することで初めて、サッポロ生ビール黒ラベルやヱビスビールの「いつもの味」は維持され、よりおいしいものが造られていくのです。
――味に違いがないことが当たり前だと思っていたんですが、裏にはそんな努力が隠されていたんですね。そもそもビール造りにはどんな工程があるのでしょうか?
石橋:私は元々工場の現場でビール製造に携わってきました。工場では原料を用いてビールの元となる麦汁を造る仕込工程や、酵母を添加して麦汁を発酵させアルコールやビールの香味を造り上げる発酵・貯酒(熟成)工程、そして続くろ過工程でクリアなビールとなり、パッケージング工程を経て製品ができあがります。今年の4月からは本社製造部に異動し、工場と各部門間の“ハブとなる”業務に携わり、より美味しいビール造りがより安定して実現できるように取り組んでいます。例えばどの工場でどれくらいの量のビールを製造するかは営業部門・流通統括部門や需給を調整するサプライチェーン部門が関係し、原料の調達では購買部門、新商品展開時には研究開発部門が関係します。
――既存ブランドだけでなく、新商品に関連する業務も担当されているとか?
石橋:既存ブランド以外に期間限定商品もありますが、開発部門で造り上げた新商品の香味コンセプトをどのように実現するかは、各工場でしっかりと工程・品質管理を行っています。私は各工場の製造量の状況も踏まえ、関係部署と相談しながら製造量の配分を調整しています。全国規模でお客様に一定のおいしさと品質を保ったビールを届けるために、日々さまざまな調整と管理を行うのが私の仕事です。
eye ー 私はこんな視点で、
丁寧に、誠実に、淡々と。
一日一日、ビールの味と向き合う。
――ビール醸造の仕事をされてきたなかで、どんな苦労がありましたか?
石橋:「いかにビールの香味と品質を維持していくか」、「そしていかにブラッシュアップしていくか」が、いつまでも重要で、やりがいのある課題です。製品によって香味のコンセプトや色・苦味などのスペックは決まっていますが、変動する原料や酵母の状態を見極めて、各ビールの香味コンセプトやスペックを実現していくことに苦労とやりがいがありますね。工場の醸造部門に携わっていた頃は毎日の試飲を通じて、ビールの香味評価と課題抽出に取り組んできました。
――毎日試飲していると、最終的に味がよくわからなくなったりしませんか?
石橋:それはありません。入社以来ずっとトレーニングを重ねていますし、味と香りを判別する社内試験もクリアしていますから。社内試験では「塩味」「酸味」などの味を識別する試験や、ビールにおけるいくつかの特徴的な香りを識別する試験が行われます。
――いわば「業務中にお酒を飲む仕事」とも言えますね。
石橋:そうですね。基本的には空腹時にもっとも感度が上がるため、工場での試飲は昼食前に行います。お腹が減っていますから、正直少し酔ってしまうのですが(笑)。
――仕事を上手く進めるうえで、大切にしている視点を教えてください。
石橋:やはり「丁寧であること」「誠実であること」が大切だと思います。香味という繊細なものを扱う上で、この2点が重要です。ルーティン的な仕事は特性上、雑になってしまう可能性があるからこそ、技術者としてこだわりを持って丁寧な仕事をしなければなりません。また本社部門としては関係部署との連携も多いので、お互い気持ちよく仕事ができるように誠実であることを自分に課しています。
――課しているということは、石橋さんの性格ではないのですか?
石橋:意外とそうでもないんです。真面目そうと言われることが多いのですが、もともとは細かい性格ではなく、ビール醸造の仕事で身に着けたスキルと言えますね。入社直後は醸造スタッフの基本的なルーティン業務でも確認が抜けてしまったり、いろいろな失敗と反省を経験したからこそ、自分の意識を変えることができたと思います。
愛 ー 私はこんな想いを、
サッポロビールのお酒は、我が子のよう。
変わらずお客様に選んでいただけるように。
――一人の社員としてサッポロビールの何が好きですか?
石橋:やはり自分が造ったビールたちに愛着があります。いわば私の子どものようなものですから、スーパーなどでお客様が当社のビールを手にとっていただく姿を見ると、本当に嬉しくなります。あとスーパーでは、サッポロビールの商品棚を思わず整理整頓しちゃいますね。これはビール会社社員の“あるある”かもしれませんが(笑)。
――我が子とも感じているビールたちのなかで、一番好きなのは?
石橋:特に思い入れが強いのはサッポロ生ビール黒ラベルです。どのビールも大好きですが、就職活動の時に飲んで、本格的にビールを好きになったんです。味で言えばヱビスの上品な重厚さも外せませんが、黒ラベルのドリンカビリティが高い味、つまり「1杯飲んだ後、もう1杯飲みたくなる」という味が大好きです。仕事で黒ラベルを試飲して、帰宅してからまた飲む日もあるぐらいです(笑)。
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――仕事でもプライベートでも飲むのは、大好きな証拠ですね。ご自宅ではどんな食べ物と一緒に飲んだりするのでしょうか?
石橋:個人的には、手羽先を家で焼いた時には黒ラベルが欠かせません。家ではいろいろな味つけの手羽先を調理しますが、一番好きなのはシンプルな塩味ですね。ごく普通の塩を揉み込んで焼いただけのシンプルな手羽先が、ドリンカビリティの高い黒ラベルととっても合うんです。
――あまり知られていない、サッポロビールのユニークな部分を教えてください。
石橋:「原料を大切にしている会社である」という点でしょうか。大学院では植物の遺伝子の研究をしていて、その関係でサッポロビールという会社に興味を持ちました。というのも、大麦とホップ両方の育種(品種改良)を行っているビール会社は当社だけだったんです。食品を扱うメーカーとして「原料を大切にする」という企業姿勢に好感を抱きましたし、自身の研究も生かせるだろうと思ったのが入社を決めた理由でもあります。
――サッポロビールの行動規範に「カイタクしよう」とありますが、石橋さんがこれからカイタクしたいことは?
石橋:社内の関係部署の皆さんとのコミュニケーションを開拓したいですね。工場の現場から本社へ異動したのがつい最近なので、仕事で接点を持った人や、対面で接した人の数がまだ少ないんです。オンラインミーティングが主流な時代かもしれませんが、できる限り多くの人とリアルなコミュニケーションをして、熱くて濃い仕事をしていきたいと思っています。
――淡々としているように見えて、実は熱い人なのですね?
石橋:そうなのかもしれません。正確には「丁寧で誠実な仕事を、淡々と正確に繰り返す中で課題を発見し、周りのメンバーと一緒に改善していくことに燃えている」という感じでしょうか。普通に当たり前の結果を出し続けることって、実はけっこう難しいと思うんです。熱い心を持って業務を遂行し続けることで、一人でも多くのお客様に「サッポロビールを選んで良かった」と思っていただけるよう、これからも静かな努力を続けていくつもりです!
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プロフィール
2013年サッポロビール株式会社に新卒入社。静岡工場と九州日田工場でビール醸造を担当したのち、社内留学制度により1年間、ドイツのミュンヘン工科大学でビール醸造を学ぶ。2019年に帰国した後は千葉工場でビール醸造を担当し、2024年4月から本社製造部に所属し、需給調整などの幅広い業務を担当している。
クレジット
Photograph_Keisuke Yasuda
Text_Masayuki Tanitsu
Edit_Tenji Muto(amana)