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400年前に作られた”南米最古”のビールが現代に復活

現代に復活を遂げた南米最古のビール。近い将来の商品化を目指しています。

古代に造られていたビールを再現しようとする試みは、今に始まったトレンドではありません。今日の技術を駆使すれば、発掘された遺物に残っている酵母を分離・分析して、新たに復活させることもできるのです。最近では、オハイオ州シンシナティで150年前のラガーを再現したり、エジプトの陶器から発見された5000年前の酵母を復活させたりといった事例もあります。

そして今度は、エクアドル人のバイオ系エンジニアが、南米最古のビールを再現するという快挙を成し遂げました。

AFP通信によると、教皇庁立エクアドル・カトリック大学の研究室に所属するハビエル・カルバハルさんは、ヨーロッパから小麦と大麦を持ち込み、1566年に南米で初めてビールを醸造したフランシスコ修道会のホドコ・リケ修道士が使った酵母を、約400年前に作られたオーク樽の断片から発見しました。

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「我々は生物学的に貴重な菌を発見しただけでなく、南米で採取され、チチャ(南米で作られる雑穀を原料とする伝統的なお酒)に使われてきたと思われる酵母がこれまで歩んできた400年におよぶ歴史を解明することができたのです」とカルバハルさんはいいます。

リケ修道士の醸造所がエクアドルの首都、キトに存在したことを知ったカルバハルさんは、酵母を求めて、当時醸造に使われていた樽を探し始めました。現在は博物館となっている元修道院兼醸造所で2008年にオーク樽を発見してからは、採取した酵母を蘇らせるためにあらゆる手を尽くしてきました。「酵母は乾燥した種のような休眠状態でしたが、長い年月を経て弱っていました」とカルバハルさん。「そのため、酵母の再構築を試みたり、液状化あるいは水和させることで、その命を取り戻せるか確かめる必要がありました」

古代ビール復活の第一歩は、酵母を発酵させるのに使われた材料を突き止めることでした。「レシピには謎の部分もたくさんあったので、これらの謎を穴埋めしていく作業が大変でした。文字通りビール考古学ともいうべき作業でしたね」

こうした努力の末に、シナモン、いちじく、クローブ、さとうきびの香り高い古代ビールが完成しました。カルバハルさんはこれを2018年から自家醸造していますが、パンデミックもあって商品化にはいたっておらず、正式な発売日もまだ決まっていません。しかし、456年もの間眠り続けてきたビールにとっては、世に出るのが数年遅れたとしても何の問題もないでしょう。

この記事はFood & Wineのマイク・ポメランツが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで。

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