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ル・テタンジェ国際料理賞コンクール【中編】8名の若手フランス料理人の真剣勝負
前編でその起源や歴史・概要についてお伝えした、若手フランス料理人に開かれた真剣勝負の戦いである、「ル・テタンジェ国際料理賞コンクール」。
中編・後編では、今年のコンクール・ジャポンについてレポートします。
今年のコンクールは、東京・新宿にある、東京調理製菓専門学校で行われました。
ル・テタンジェ国際料理賞コンクールの大きな特徴は、大変厳格な審査内容です。
参加者は、会場に入室後、終了まで携帯電話などを含む会場外との交流を絶たねばなりません。
また調理場には、参加者8名とスタッフ・調理場担当審査員以外は入室できません。
ル・テタンジェのこだわりの一つは、調理場と審査室を別々に配置するということです。
これは、審査の際に、誰がその料理を作ったかということが審査員にわからないようにすることで、審査の公平性を保つためです。
今年の会場でも、実際に調理場と審査室は違うフロアに配置され、部屋同士も接しておらず、音が聞こえることも、審査員と参加者が顔を合わせることもないように、配慮されていました。
参加者も審査員も、8人全員の料理が出されるまでは、会場外に出ることも許されません。
こちらが調理場の様子です。
調理場には、料理の仕上がりとは別に、調理状況を審査するための審査員が2人配置されます。
そのため、参加者の個人が特定されないように、参加者は氏名や所属先が記載されていない作業着を着て、当日朝ランダムに決められた番号で呼ばれます。
ル・テタンジェ国際料理賞コンクールは、書類選考から、実技選考の作業段階、仕上がった料理を含め、すべての審査プロセスにおいて、作品に個人名が結びつくことを避け、審査内容に各審査員の心証が影響しないよう厳格な配慮がされているのです。
一方、こちらは審査室です。
9名の審査員の方々は、国内外でその実力が認められた、プロとして活躍中の現役のフランス料理シェフです。
この中には、過去のル・テタンジェ国際料理賞コンクールで、優勝・入賞された方々もいます。
早速、最初の参加者の料理が運ばれてきました。
料理の周りにはすぐに審査員が集まります。
提出されたルセット(レシピ)どおりに作られているのかを審査するために、審査員は料理が盛り付けられた状態で、まずは料理を見て確認します。
料理は、すぐにその場でカットされ、取り分けられます。
スタッフも、料理が冷めて風味が失われる前にと、とてもスピーディに作業を進めます。
切ってすぐの状態や断面などを確認するために、カットする状況にも審査員の目が向けられます。
席に戻った審査員は、料理を観察し、すぐに食べ始めて審査内容を記録します。
審査室では、このようなプロセスが各参加者の料理ごとに繰り返されるのですが、その雰囲気はとても張り詰めています。
室内はとても静かで、運ばれるお皿やナイフ・フォークの音がわずかに響くのみ。
その静寂さが、さらにその場の緊張感を高めていました。
また、スタッフや審査員の機敏な動きと真剣な眼差しから、参加者の料理をできるだけ新鮮なうちに厳正に審査しようという誠実さが伝わってきて、見ているだけで身の震えるような思いがしました。
調理場では、参加者たちが刻々と迫る時間を意識しつつ、真剣な面持ちで調理を進めています。
今年のコンクールでもっとも難しかったと言われているポイントは、課題料理「卵のヴィルロワ風」です。
課題料理は、メイン料理とは違い、実技選考開始20分前に内容が伝えられ、与えられた材料で制限時間内に作らねばなりません。
「卵のヴィルロワ風」は、まず熱湯を使って卵をポーチドエッグにして、水気を切ります。それを別に準備したソースで包んで冷まし、さらにその周りに衣をつけて油で揚げる、といういくつものプロセスが必要な料理です。
このプロセスを重ねていく作業も難しい上、最後の「揚げる」作業は、フランス料理の伝統的な技の一つですが、近年はほとんどフランス料理の現場では使われることがないということで、参加者を悩ます大きなポイントとなりました。
参加者の中には、制限時間いっぱいまでこの卵の調理に苦戦し、予定どおりに料理が仕上がらず、審査員が待機状態になるときもありました。
「卵のヴィルロワ風」は、10個与えられる卵のうち、6個を完成させてお皿に乗せなければなりませんが、いくつもの卵で失敗してしまい、4個しか完成できなかった参加者や、タイムオーバーとなってしまう参加者もいました。
緊張感は最後まで途切れることなく、8名の参加者全員の料理の審査が間も無く終了です。
並べられた料理を改めて最後にチェックする審査員も。
最後は、審査員全員が、それぞれの点数をボードに記載して発表を行い、点数を集計して入賞者を決定します。
さあ、審査結果は如何に・・・?
表彰式・パーティの様子は、後編でレポートします!