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作家たちの呑み話 File No.1 浅草の風情ある「盃屋かづち」で美味しい肴と赤星に作家二人の会話が弾む!

小説家二人がリレー形式で、作品・執筆について赤星を交えて語っていく新企画。綺羅星のような物語はどのように生まれたのか?心を揺さぶる言葉はどう紡がれていったのか?二人の間にはいつも美味しい料理と赤星があります。

第一回のご出演は多崎礼さんと凪良ゆうさんです。

2月、エンターテインメント小説界で最も影響力がある「本屋大賞」の候補10作が発表された。中でも注目を集めているのが、『流浪の月』『汝、星のごとく』と二度にわたって同賞を受賞した、凪良ゆうさんの『星を編む』、そして現代ハイファンタジーの旗手・多崎礼さんの『レーエンデ国物語』だ。赤星を片手に作品、作家人生に語り合った。

片やファンタジー、片やスピンオフ。どちらもノミネートは想像すらしていなかった

浅草の風情ある「盃屋かづち」で美味しい肴と赤星に作家二人の会話が弾む!

凪良さんに赤星を注ぐ多崎さん

凪良・多崎) かんぱーい!!

凪良 『レーエンデ国物語』で本屋大賞ノミネート、おめでとうございます。ハイファンタジーが本屋大賞でノミネートされることって、珍しいじゃないですか。作品の力だなと思いましたし、ぜひ多崎さんに獲ってほしいです。

多崎 ありがとうございます。ファンタジーでシリーズものですから、「いや、ノミネートなんてまずないでしょう」と思っていたので、びっくりしました。私はラッキーナンバーが4なので、なんとか4位ぐらいを目指して……って、同じ回で凪良さんもノミネートされてらっしゃるじゃないですか!(笑)

凪良 そうですね。『汝、星のごとく』に続いて、書店員の皆さんには感謝しかありません。でも担当さんがひどいんですよ。ノミネートされたという連絡をもらった時、まず最初に「今回はオマケだと思って、7、8、9、10位になるのは覚悟してください」と言われて(笑)。その前に、まずはお祝いしてよ〜と。

 
浅草の風情ある「盃屋かづち」で美味しい肴と赤星に作家二人の会話が弾む!

お酒好きなキャラが好きと多崎さん

多崎 今回ノミネートされた『星を編む』は、前回の本屋大賞を受賞された『汝、星のごとく』のスピンオフですよね。スピンオフがノミネートされる、というのも珍しいんじゃないでしょうか。

凪良 私もそう思っていたので、想像すらしていませんでした。前回の時は正直、多少の期待はあったんですが(笑)、今回はノミネートされただけで本当に嬉しいです。

浅草の風情ある「盃屋かづち」で美味しい肴と赤星に作家二人の会話が弾む!

「赤星カラーを選びました」と凪良さん

多崎 私はもともと、本屋で働いていたんです。アルバイトだったんですが、本屋さんが大変だということは身に染みて感じていました。だから、少しでも売れる本が出せたらいいなと思っていたんです。本が売れると、本屋さんが潤いますから。『レーエンデ国物語』でようやく、ほんの少し貢献できたかなと思うと、続けてきてよかったなと思います。

凪良 『レーエンデ国物語』、本屋さんにめっちゃ並んでますよね。

多崎 あれ、カバーがいいんですよ。手に取りたくなるんです。

凪良 確かに。カバーも素敵。

多崎 あのきれいな表紙を、本屋さんがちゃんと面陳で並べて、目につくところに置いてくれたっていうのがものすごく大きいと思うんですよ。まずは手に取る、というきっかけを本屋さんが作ってくださったので、本当に感謝しています。棚差しで、背表紙だけしか見えていなかったらここまで広がることはなかったと思います。

凪良 最大の要因は作品力ですけどね。多崎さん、獲って、獲って!(笑)

浅草の風情ある「盃屋かづち」で美味しい肴と赤星に作家二人の会話が弾む!

その日に仕入れた鮮魚をお任せで

凪良 突き出しのこんにゃく、すごく美味しい。こんな真っ黒のこんにゃく、あるんですね。

多崎 たぶん出汁ですね。東京の出汁は黒いので。

凪良 そういえば、東京のおそば、うわさに違わず真っ黒でびっくりしました。関西は黒くないですから。

多崎 関西の人に対してこういうことを言うのは大変失礼なんですけれども、あんなに色が薄くて味がついてるのかよと思っていたんです(笑)。この前、試しに関西の白出汁を使っておうどんを作ったら、バカうまでした。すみません、私が間違っていましたと思いました。

凪良 多崎さんのご出身は東京?

多崎 生まれは横浜なんですけれども、その後に家族で東京に引っ越しました。大学が厚木にあったので、一人でそちらのほうに行ったりとか、就職で千葉のほうへ行ったりとか、いろいろと。ただ、東京が長いですね。

凪良 こちらのお店は、江戸料理のお店なんですよね。

多崎 入り口のところに、7年前まで呉服屋さんだった、と書いてありました。

凪良 さっき店員さんから説明があったんですが、しめ鯖と漬けマグロは辛子で食べるのが江戸流、と聞いて驚きました。そんな食べ方、初めてです。

多崎 私も初めてです。わっ、今まで認識してきた漬けマグロと違って、しっとりしてる。味がギュッとなってます。しめ鯖も味が濃い! しめ鯖って割と固くなっちゃうイメージがあったんですが、すごく柔らかいです。

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