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ねえ、いっしょに飲も!おうちに “アルモンデ餃子” をつくるホームパーティーアイデア
暖かな風がふいた、ちょっと気持ちのいい冬の午後。
冷蔵庫でつめたくしておいたビールぶら下げて、仕事仲間のうちへ。
いつも会議室でしか会わないメンバーで、餃子パーティーをすることになった。
家にあるものを持ち寄って、餃子の餡にいろんなトッピングをすると楽しいよ、というのがホームパーティー好きな方のアイデア。たしかに餃子って、作り方はシンプルなのに、おいしくできる方法はいくらでもありそう。
食べるのは、もちろん得意。
でも、餃子を包むのなんて何年ぶりだろう………?
なかに入ると、もう賑やか。
「すみません、なんか遅刻しちゃって」
「いいのいいの、仕事じゃないんだから。ねえ、みんな揃ったから持ち寄ったもの出そうよ」
「わたしほんとテキトーなものしか持ってきてなくて……」
もじもじしているうちに、あっという間にテーブルの上がいっぱいになった。
「それ、なんですか?」
「紅ショウガと、いぶりがっこ。いぶりがっこクリームチーズ餃子つくろうと思って」
「ええ!? 斬新ですね」
「これは?」
「干しエビ。中華街でよく買うんですよ。ナンプラーで味つけして、餃子の餡に混ぜようかなって」
レバーパテやお豆腐、チーズにザワークラウトにバナナに海苔、あんこ……。
なんだかワクワクしてくる。いったいどんな餃子になるんだろう?
「ええと、ここからどうしましょう」
「6人いるから、好きなトッピングを一人ひとつ決めて、10個ずつ作りましょうよ。一人ひとつずつは食べられて、あとはバッファってことで」
「なんか仕事っぽいですよ、それ」
「いや、6人で2種類を6個ずつ作った方が効率いいかなあ……」
「その前に、とりあえず乾杯だけしちゃいません?」
その声とともに、ビールの栓を抜くいい音が聴こえた。
やったあ。休日のビールってなんておいしいんだろう。
「このビール、なんか柑橘のいい香りしますね」
「そうでしょ? オレンジピールが入っててね、ワイングラスで飲むと香りが立っておすすめなの」
「いやあ、餃子とビールって合いますねえ」
「まだ餃子作ってないけどね」
「よし。やりますか」
キャンプ好きな方が作っていたのは、鯖とイワシの缶詰に、長ネギを入れたお魚の餃子餡。
こっちは餅チーズ明太餃子だって。絶対おいしそう。
「餃子包むの、実は初めてなんですよ」
「10個もやれば上手になりますよ」
「皮に水をつけないで、餡を伸ばしてって包むのが我が家流なんです」
「へえ、初めて聞きました」
「意外と難しいもんですね。皮から餡が飛び出しちゃう」
「包み方っていろいろあるらしいですよ。ほら、こんなふうに」
「封筒みたいですね」
個性豊かな餃子たち。そっか、包み方もいろいろあるとおもしろい。
「これだと、どれに何が入ってるかわかりやすいですね」
「なるほど」
さあて、いよいよホットプレートに胡麻油をひいて、ぎゅぎゅっと餃子を並べていく。
「あらためまして、乾杯」
こんがりと焦げ目がついたら、餃子のまわりにお湯をたっぷり入れ、蓋をして7分ほど蒸す。底だけカリッと、他の部分はもちもちふっくらに仕上がるんだって。
「焼けたかな?」
「うん。できたみたい」
そっと蓋を開けると、蒸気が天井まであがってく。焼きあがった餃子はつやつやしていて、思わず「うわあ」って嬉しくなった。
「おいしそう!」
「どれから食べようかな」
「ホットプレートって食べながら料理できて便利なんですねえ」
あつあつの餃子を頬ばるだけなのに、なんだか笑いがとまらない。
「それ、中身なんでした?」
「なんだろう……。意外とすぐわかんないものですね。オリーブ?」
「あー、それ多分わたしの。オリーブシーチキントマトチーズです」
「おお、イタリアンな餃子ですね」
作るのが楽しくなった人たちは、またキッチンへ。
作りながら食べて、作りながら飲んで。適当にしながらのホームパーティーは居心地がよくて、思わずお酒も進む。
なんだか不思議だ。料理なんてしたことあるのかなって思ってた人が調味料に詳しかったり、毎月のようにホームパーティーしてる人がいたり。何度も会っているのに、そういえば仕事のつきあいばっかりで、全然プライベートなこと知らなかったなあ。
「餃子のおいしいお店ってあるんですか?」
「いっぱいあるわよ。いちばんって決められないけど、六本木の珉珉とか」
「僕も好き。亀戸の餃子めぐりもいいよね。亀戸餃子ってなんかキャベツがシャキシャキしてるんだよね。どうやって作ってるんだろう?」
「蒲田の羽根つき餃子もおいしいですよね。あとホラ、新宿でさ、ほうれん草餃子とか翡翠餃子とかいろんなのがあるところ」
「老辺餃子舘?」
「そうそう。大勢で行くといろいろ食べられて楽しいんだよね。それから上野の……」
「中華街の山東は? おいしいですよね、水餃子」
餃子話は尽きない。その間にまた餃子が焼けて、ビールを飲んで。
「わあ、このビールの瓶、きれい」
「ホント。キャンプとか、アウトドアで飲むのもカッコいいかも」
「いいねえ、炭火でお肉焼いてビール飲んで」
餃子も続々と焼きあがる。
これはウイスキーの樽をチップにして燻した燻製餃子。いい香りと、パリッとした皮が新しい感じ。
これは誰かが作った揚げ餃子。一口食べてみてびっくり。
「えっ? なんですかコレ?」
「あんこ、かな……?」
「おまんじゅうです。おまんじゅうを包んだの」
「えー! 意外とおいしい」
じゃあ、スイーツ餃子対決だな、ってもうひとつの餃子が揚がる。
「これは?」
「バナナラムチョコレート」
「うわ、それ絶対おいしいやつだ」
最後のシメは、スープ餃子。ニラを入れたアジアンな香りのスープに、ワンタンみたいに小さく包んだ餃子を入れてコトコト。
「なんか、めちゃくちゃ楽しかったですね」
「またやりましょうよ」
「次は何つくりましょうかね」
家にあるものを持ち寄って、どんなふうに組み合わせていこうか考えていくだけで、こんなにおいしく楽しくなるんだなあ。
なんだか、ちょっと料理が好きになったかも。
《以下、クレジット的に》
「サッポロさんのうちにパナソニックさんがお邪魔しました」
作った餃子の組み合わせ
餅チーズ明太餃子/鯖缶とイワシ缶とネギ餃子/オリーブシーチキンプチトマトチーズ餃子/パプリカスパイス餡餃子/チーズ餅オリーブ餃子/海老ナンプラー餃子/いぶりがっこクリームチーズ餃子/水切り豆腐としらす海苔餃子/焼き鳥缶とチキンラーメンネギ餃子/紅ショウガ餃子/山椒しめじ豆腐餃子/ベーコンザワークラウト餃子/おまんじゅう餃子/バナナラムチョコレート餃子/ピザ餃子/ゆで卵のせ餃子/紫蘇チーズ餃子/スープ餃子……
取材・文=吉川愛歩 撮影=浦野航気 スタイリング=小川雅代