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食べて納得! 「常磐もの」のなかでもさらに際立つ「請戸もの」のおいしさ!福島県浪江町「請戸もの」特別会食イベント

    福島県浪江町が誇る海産物「請戸もの」。これを使った特別会食が東京・日本橋室町にあるフランス料理店「LA BONNE TABLE(ラ・ボンヌターブル)」で開催されました。会食の模様とともに、「請戸もの」の魅力についてご紹介します。

    ■「請戸もの」とは?

    東北沖は親潮と黒潮がぶつかる好漁場。漁港を抱える各地がそこで水揚げされる海産物の質のよさを誇り、市場もまた、その質の高さを称え、それぞれの土地ごとに「~もの」という呼称を与えてきました。今ではその「~もの」という呼び名を自治体が自らブランドとして活用する動きが活発になってきています。

    福島県浪江町も、そうした「~もの」というブランドを持つ土地のひとつ。もともと福島県沖で獲られ、水揚げされる海産物は「常磐もの」と呼ばれ、高い評価を得ています。なかでも福島県浪江町請戸(うけど)で水揚げされるものは、鮮度や質の高さから「請戸もの」として中央卸売市場で高い評価を得てきました。

    請戸ものがほかと違うのは、水揚げされる魚が主に小型船による刺し網漁で獲られたものであるという点。傷がつかないよう、高い技術で1匹ずつていねいに網から外されるため、質だけでなく、見た目もまた傷が少なく美しいものが揃っているのです。

    さらに保存技術の高さも特筆すべき点。鮮度を保つためには氷の入れ方ひとつにも気を配る必要があり、請戸では漁師や仲買人が昔からその技術を切磋琢磨して高めて来た歴史があります。請戸ものは、そこに関わる職人が品質を高め、育ててきたブランドとも言えるでしょう。

    そんな請戸ものの魅力を知ってもらおうと、サッポロビールとWebマガジン「料理王国」を運営するFLAホールディングスの協力のもと、福島県浪江町の主催で今年9月にインフルエンサーやメディアを対象とした特別会食が開催されました。

    会場となったのは、東京・日本橋室町のコレド室町2にあるフランス料理店「ラ・ボンヌターブル(LA BONNE TABLE)」。東京の西麻布にあるミシュラン三つ星レストラン「レフェルヴェソンス(L’Effervescence)」の姉妹店で、シェフの中村和成さんは素材の味を最大限に引き出すことに定評があります。

    さて、超一級の料理が腕利きのシェフによってどんな逸品へと昇華していくのか。これからしっかりと紹介していきますね。

    会食イベントの会場となったコレド室町2にあるラ・ボンヌターブル。
    会食イベントにはいくつかのメディアやインフルエンサーが招待されたほか、浪江町の職員や生産者のかたも参加していました。

    ■「請戸もの」を中心に浪江町が誇る食材が奏でるアンサンブル

    司会進行を務める料理王国の近藤大修さんから、まずは浪江町の現状説明と、今回の会食イベントの主旨や目的についての説明がありました。

    浪江町は東日本大震災とその後の原発事故の影響により、一度は町全体が避難区域となり、震災当時は約22,000人いた人口がゼロとなりました。国と県、町が一丸となって復興事業を進め、2019年には町の面積の2割ほどの区域において避難指示が解除。現在は戻ってきた町民や新たに移り住んできた方々もあわせ、約2,200人が浪江町に居住しているのだそうです。

    浪江町にある請戸漁港は2017年3月に操業を再開、2020年4月には競りも再開されました。現在の福島県では農産物、海産物に対しては世界的に見てもトップクラスに厳しい新たな安全基準が設定されていて、検査体制も整備。安心と安全が保証された食材のみが流通しているのですが、風評などにより依然として町の一次産業は厳しい状況が続いていると言います。

    そんな状況を打破するべく、浪江町の食材の魅力を広く伝えようと企画されたのが、今回の会食イベントというわけです。

    さて、本日の目玉である請戸ものを用いたお料理ですが、まずはコース外の前哨戦とでも言うべき一皿、平目(ヒラメ)とホッキ貝のお刺身が提供されました。請戸ものの素材としての魅力をダイレクトに知ってもらうための一皿です。

    どちらもうま味がしっかり強いのはもちろん、平目は少しもっちりとした肉質、ホッキ貝は貝ならではの歯ごたえがとてもおいしく、その後に提供されるお料理への期待が大いに高まりました。

    奥が平目、手前がホッキ貝。お刺身でいただくと素材のおいしさがまっすぐ伝わってきます。請戸もの、侮りがたし!
    まずは請戸ものの素の味を知るべく、平目とホッキ貝をお刺身で。
    ラ・ボンヌターブルの中村和成シェフ。それぞれの料理について解説もしてくださいました。

    ●1皿目
    ホッキ貝と桃のガスパチョ、胡瓜のサルサヴェルデ、オリーブオイル

    今回提供された料理では、メインとなる請戸ものに加え、浪江町で作られているオリーブオイルや、「THE SAMURAI GARLIC(サムライガーリック)」というブランド名で流通しているにんにくも使われていて、まさに浪江町の素材を大活用されていました。

    吟味された桃と上に乗せられた胡瓜のサルサヴェルデのおかげで、さっぱりとした甘さ。ホッキ貝のおいしさが引き立っていました。
    浪江町でオリーブを生産している「ノアのオリーブ園」の加藤修さん。当日使われたオリーブオイルはすべて加藤さんのところのものでした。

    ●2皿目
    シラス干し、青とうがらしのスクランブルエッグ、玉葱のタコス、焼き茄子と黒ニンニクのモーレ

    「浪江町産のシラス干しをたっぷり載せ、同じく浪江産の茄子とサムライガーリックの黒ニンニクを混ぜたペーストを添えています。サムライガーリックの黒ニンニクは世界中のどんな料理でも使えるようなイメージで、日本からけっこう遠い土地の料理とも相性がよいと感じたのでタコスにしました。タコスはメキシコから粉を仕入れたものをうちでプレスして作っています。」(中村シェフ)

    見た目はシンプルですが、食べるといろんな素材が使われているが故の複雑な味わいがふんわりと漂ってきます。シラス干しとのハーモニーが素晴らしい一皿でした。

    スクランブルエッグやさまざまな素材の味がシラスのうま味を包み込む、優しい味わいのタコス。シェフ自ら「手づかみでどうぞ」とおっしゃってくださったので、思いっきりかぶりついて食べました。

    ●3皿目
    平目のパイ包み、帆立貝と青海苔のムース、ズッキーニ、サムライガーリックとジャガイモのソース

    「先ほどお刺身で召し上がっていただいた平目を使ったパイの包み焼きです。平目だけでなく、浪江町で採れたズッキーニもいっしょに包んで焼きました。ソースはサムライガーリックを主体にジャガイモをつなぎに使い、玉葱も加えています。仕上げにおいしいオリーブオイルをたっぷりとかけました。」(中村シェフ)

    お刺身としてとてもおいしく味わった平目が、まったく違う味わいで再登場。火が通ったことで姿を変えた平目のうま味が爆発! それをパイの香ばしさ、コクのあるムース、まろやかな味わいのソースが引き立てます。ズッキーニの食感もまたおいしさに一役買っていて、メインに相応しい一皿でした。

    終わった後で意見をうかがった参加者の皆さんが口を揃えて「いちばんおいしかった」とおっしゃっていたのが、この平目のパイ包み焼き。とても手がかかっていることが舌に伝わる贅沢な味わいでした。
    サムライガーリックの生産者、吉田さやかさん。福島県の相馬地方で3日間にわたって行われるお祭り、相馬野馬追。サムライガーリックはこれに参加する馬たちの馬糞を堆肥として活用して栽培されています。

    ●4皿目
    無花果と薔薇、エゴマのパブロバ

    「無花果を使ったデザートです。薔薇のアイスクリームに、フランボワーズと薔薇のソースをかけています。上に乗っているのは、ローストしたエゴマを練り込んだメレンゲです。無花果のプチプチした感じ、エゴマのプチプチした感じ、ラズベリーのプチプチした感じ、3つのいい感じのプチプチを楽しんでください(笑)。」(中村シェフ)

    デザートはメインの平目のパイ包みにも負けないくらい手がかかっていると感じさせてくれました。控えめな無花果の甘味と酸味、そして3つの素材が生み出すプチプチとした食感。上品な見た目と食感の楽しさ。見事なデザートです。

    お料理は盛り付けの美しさも味のうち。食べる人の目を楽しませてくれる華やかさがいいですね。口に運んだときにほんわりと薔薇の香りが感じられる点も素晴らしかったです。
    デザートの準備をする中村シェフとスタッフたち。真剣さが伝わってきます。

    ■浪江の漁業への強い想いが「請戸もの」の強み

    終わったあとで、参加者の皆さんにお話をうかがいました。まずは台湾人インフルエンサーで、「強運少女RU」の名前で活動されている台湾人のRUさんです。

    「中村シェフが浪江町の食材でつくる料理のおいしさに感動しました。今日の料理でいちばんおいしかったのは、平目のパイ包みです。まさかガーリックとジャガイモのソースが平目にあんなにあうとは思わなくて。いっしょに出されていた飲み物のペアリングも素晴らしかったです。」(RUさん)強運少女RU

    また、今回の会食イベントには浪江町の成井祥副町長も参加されていました。

    「今日は皆さんのお力を借りながら、浪江町の食のおいしさ、すばらしさを感じていただけたのは、我々としても有意義な1日だったと思っております。浪江の食材にはもちろん自信を持っていますが、それをさらに引き立ててくださった中村シェフにも感謝しています。

    震災を乗り越え、漁業を支えていくという強い想いを持った関係者の皆さんが請戸ものを支えています。長年培ってきた保冷技術などにも表れていますが、皆さんの努力やプライドが請戸ものの質の高さを保つことに繋がっていますし、それが請戸ものの大きな強みです。

    今日もお料理に使われていましたが、請戸ものの平目は本当においしいんです。お刺身もよかったですが、パイ料理を得意とする中村シェフならではのパイ包みには本当に感動しました。こうした請戸もののおいしさ、すばらしさをひとりでも多くの人に知っていただきたいですね。」(成井副町長)

    浪江町の成井 祥副町長。請戸ものをアピールする法被を着用しての参加です。

    浪江町まで足を運び、請戸ものを中心とした食材が持つ質の高さを実感した中村シェフだけに、どのお料理もしっかりと素材の味わいを活かした素晴らしい仕上がりでした。請戸ものはもちろん、浪江町にはおいしいニンニクやオリーブオイルもあるんですね。

    それにしても、お刺身としてはもちろん、さまざまな手を加えてもおいしくいただける請戸ものの質の高さは目を見張るものがありました。皆さんも鮮魚売り場や飲食店で「請戸もの」の文字を見かけることがあったら、ぜひ食べてみてください。「食えばわかるさ、請戸もの」、そのおいしさ、間違いナシですよ。

    ●会場となったお店

    LA BONNE TABLE(ラ・ボンヌターブル)
    住所:東京都中央区日本橋室町2-3-1 コレド室町2 1F
    ※祝日以外の月曜日は定休日
    ホームページ  http://www.labonnetable.jp/

    公式アカウント

    https://www.facebook.com/nihonbashilabonnetable/

    https://www.instagram.com/labonnetable_nihonbashi

    ●浪江町ホームページ(「請戸もの」について)

    (文・写真=稲垣宗彦、料理写真提供=料理王国)

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