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漫画家 パピヨン本田の1コマ漫画で見る。「お酒好きのふとした日常」 その二
「飲まないと決めた日に限って誘われる」「やたら語りたくなる推しの酒場」――お酒好きには、お酒好きならば、ついつい共感してしまう“生態”や“あるある”があるもの。本企画でご紹介するのは、そんな共感してしまう“お酒好きのふとした日常”を切り取った一コマ漫画。漫画家/イラストレーターであるパピヨン本田さんに1コマ漫画を描き下ろしていただいた。飾らないのに心に残る、そんな飲み時間を、クスッと笑えて少し沁みるユーモアで描いてもらいました。今夜の晩酌のアテに、どうぞ。

食材は把握してないけど、
冷蔵庫の“ビールの数”は絶対記憶
冷蔵庫の中に何があるかと聞かれても、正直あやふや。
でも、ビールの在庫だけは正確に言える。残り3本、銘柄は2種類、賞味期限もバッチリ。
お酒好きの頭には、献立よりもビール在庫が優先されているのかもしれません。
もはやこれは、体に染み付いた愛すべき習性。備えあれば、うまいあり。
夕方ふと「今日は飲みたい日だな」と思ったとき、
買い足さなくていいと気づくと、それだけでちょっと嬉しくなる。
野菜の鮮度より、ビールの冷え具合が気になる日もあるし、
冷凍庫の隅で眠るギョーザを“奇跡のつまみ”と呼ぶことだってある。
冷蔵庫に並ぶビールは、“安心のしるし”。
それを切らした日は、ちょっとした敗北感すらある。

「とりあえず生」は当たり前。
もはや「締めもやっぱり生」がいい
乾杯といえばビール。「とりあえず生」。
最初の一杯は、考える間もなく自然と決まっている、という人も多いのではないでしょうか。
喉を潤すあの心地よさは、まさにスイッチのような存在です。
でも実は、その“始まりの一杯”だけでなく、飲み会の締めや、自宅での晩酌の終わりにも、もう一度ビールが飲みたくなることがある。命名するならば、「締めもやっぱり生」だ。
いろんなお酒を楽しんだあと、最後にまたビールをひと口。すっきりとした苦みと爽快さで、もう一度リセットされるような感覚。まるで、気持ちまで軽く整えてくれるような一杯です。
「最初もビール、最後もビール」。「とりあえず生。締めもやっぱり生。」
気づけばそんな習慣になっているのも、ビールというお酒の、飽きのこない魅力なのかもしれません。

“距離を縮める”魔法の空間?
いつもは怖いアノ人も、飲みでは優しい
普段は近寄りがたいオーラを放つ、憧れのアノ人。
デスクでは一度も笑顔を見たことがない、無口な先輩。
そんな人たちがジョッキを片手に、見たこともない顔で笑っている。仕事の緊張で強張っていた表情が、ゆるゆるしていく瞬間を見ると「ああ、お酒の席って魔法の空間?」と思うときがあるのです。
照れくさそうに語る家族の話や、意外な趣味の話。それらは、乾杯をしなければ知ることのできなかった、大切な素顔のかけら。
お酒はきっと、人と人との間にある見えない壁を優しく溶かしてくれる魔法の飲み物。明日から、あの人のことをとても好きになれそうな予感がするのです。
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クレジット:
illustration_Papillon Honda
Text_Nana Tabara
Edit_Tenji Muto(amana)
プロフィール
パピヨン本田
1995年生まれの作家。2021年5月からX(当時のTwitter) に美術にまつわる漫画をアップしはじめ、またたく間に人気を得る。美術史やアーティスト、展覧会、ギャラリーなど、美術業界の様々な題材で漫画制作をするほか、近年では企業タイアップや各媒体での執筆など活躍は多岐にわたる。また、美術作家として別名義で創作活動をしている。主な著書に『常識やぶりの天才たちが作った美術道』(KADOKAWA)、『美術のトラちゃん』(イースト・プレス)がある。また、ウェブメディア『CINRA』で「美術のトラちゃん」連載中のほか、集英社のウェブメディア『UOMO』にて「コンセプチャル・ガール」を連載している。