近年、テキーラがアメリカのセレブ、とくにハリウッドスターの間で人気を集めています。なかには、”ザ・ロック”として知られる俳優ドウェイン・ジョンソンのように、自分でテキーラを造るスターも出てきています。

テキーラはメキシコ生まれのスピリッツですが、その存在が知られるようになったのは実は最近のことです。

今回は、なぜテキーラがアメリカのハリウッドスターを虜にしているのか、その理由とおすすめのおいしい飲み方を紹介します。

”ザ・ロック”こと俳優ドウェイン・ジョンソンのテキーラブランド「Teremana」

ハリウッドを代表するアクション俳優で、テキーラブランドのオーナーでもある”ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソン氏は、テキーラにクッキーのペアリングがお気に入りだとか。そんなジョンソン氏がプロデュースする「Tremana」の秘密と、最高に美味しいマルガリータのレシピを教えてもらいました。

「ザ・ロック」の愛称で親しまれているドウェイン・ジョンソン氏のテキーラブランド「Teremana」は、2020年3月に大規模なマーケティングキャンペーンを引っ提げてデビューする予定でした。しかし新型コロナウイルスの感染大流行を受けて、ジョンソン氏は販売戦略の大きな変更を決意。インスタライブで「Teremana Tuesdays」という番組の配信を開始し、パンデミック初期に誰もが感じた孤独の問題に真摯に取り組みました。ジョンソン氏はマルガリータを作り、視聴者からの質問に答え、混乱の最中にも良いことは必ずあるというメッセージを伝えていったのです。

「あの番組を毎週やったおかげで、番組を視聴してくれる皆さんと心を通じ合わせることができました」とジョンソン氏は振り返ります。このユニークな手法が功を奏し、2020年の終わりにTeremanaは、テキーラの発売初年度としては異例の売上を達成しました。

ザ・ロックことドウェイン・ジョンソン氏　　Photo by Hiram Garcia

ハリウッドではテキーラが人気？その理由は

ハリウッドでは、セレブ御用達のお酒としてテキーラが人気です。近年、アメリカでテキーラの需要が高まった理由は、2つのターニングポイントが関係しています。

メキシコオリンピックでテキーラが注目される

テキーラは、もともとメキシコ国内でのみ醸造が許されていて、当時、人気の地酒の一種に過ぎませんでした。

テキーラの存在が国外に広く知れ渡るきっかけとなったのが、1968年に開催されたメキシコオリンピックです。世界中の人々が開催地となったメキシコのあらゆる文化に興味をもち、地酒の魅力にも気付いたことで、やがて「4大スピリッツ」のひとつにテキーラが加えられました。

アメリカでは同時期にテキーラという曲が流行していたことも、多少の影響はあったでしょう。しかし大きなきっかけといえば、メキシコオリンピックにともなう外国文化への興味があげられます。

国外での流行により、1974年にはメキシコでテキーラの原産地呼称制度も成立しました。ハリスコ、ナヤリ、ミチョアカン、グアナファト、タマウリパスの5州をテキーラの原産地呼称として保護する制度で、信頼性の高い商品を提供する仕組み作りが目的です。

ハリウッドの間でプレミアムテキーラが流行

テキーラを造った有名なスターたち

テキーラを自ら造る愛飲家も少なくありません。中でも有名なのが、テキーラのオリジナルブランドを立ち上げた数々のハリウッドスターたちです。

ここでは、テキーラのブランドを作った3人のハリウッドスターを紹介します。

ジョージ・クルーニーの「カーサミーゴス」

カーサミーゴスは、ジョージ・クルーニーと実業家のランディ・カーバーが共同で立ち上げたブランドです。ちなみにカーバーはシンディ・クロフォードの夫としても知られています。

2人で毎晩のように大好きなテキーラの研究・実験を重ねた結果、個人が醸造できる量を超えてしまったことが開業のきっかけです。テキーラを合法的に造り続けるためには、商業ライセンスを取得しなくてはなりませんでした。

結果、ジョージ・クルーニーとランディ・カーバー、ふたりの愛飲家によって造られた、こだわりのプレミアムテキーラを販売するブランドが誕生しました。

日本でも常に品薄状態が続くほどの人気を誇るカーサミーゴスのプレミアムテキーラは、穏やかで優しい味わいが特徴です。現在はディアジオ社が買収していますが、変わらず高品質で上品な味わいが愛され続けています。

ジャスティン・ティンバーレイクの「サウザ901」

世界的なシンガーソングライターと俳優、ふたつの顔をもつジャスティン・ティンバーレイクも、テキーラに魅了され、自らプロデュースしたセレブのひとりです。

バーでテキーラを注文したことのある方は、ライムと塩が添えられていた記憶があるのではないでしょうか。その理由はライムと塩とあわせて飲むことで、テキーラそのものがもつ雑味を和らげるためです。

ジャスティン・ティンバーレイクは、ライムを必要としないテキーラを造ろうと、オリジナルブランド「901」を立ち上げました。901は、彼の故郷であるテネシー州メンフィスの市外局番や、夜が始まる時刻9：01を表しています。

901の味わいは、テキーラ本来の柑橘系の香りと、軽やかな甘みが特徴です。開発当初の目的のとおり、ライムや塩を必要とせず、香りをじっくりと楽しみながら飲めるテキーラに仕上がっています。

やがてビームサントリー社に買収され、現在は「901」から「サウザ901」に名称が変更されました。

サミー・ヘイガーの「カボワボ」

多くのヒット曲を出したハードロックバンド、ヴァンヘイレンの元ボーカルであるサミー・ヘイガーも、テキーラブランド「カボワボ」を立ち上げています。

前述の2人に負けないほど大のテキーラ好きで知られる彼は、「MAS Tequila」という楽曲を出しているほどの愛飲家です。サミー・ヘイガーのカボワボは、自身が経営するバーで最高のテキーラを提供するために誕生しました。

生産されたテキーラの質は高く、サンフランシスコワールド スピリッツ コンペティション2006をはじめ、多くの賞を授与されています。

スムースで甘みが強い味わいの中に、かすかな苦味があるのが特徴です。通常は5～6年で収穫した原料を使用しますが、カボワボは8～12年かけて育てたブルーアガベ100％で生産されています。カボワボ最大の魅力である強い甘味も、収穫まで多くの年月をかけたことによる賜物です。

気分はまるでハリウッド気分！テキーラのおいしい楽しみ方

アルコール度数が強く、ショットグラスでキメる飲み方のイメージが強いテキーラですが、飲み方を工夫すれば、香りを楽しみながらじっくりと味わえます。

最後に、ハリウッドスターになった気分でテキーラを楽しめるよう、おすすめのおいしい飲み方を紹介します。

まずは伝統的なテキーラの飲み方に挑戦！

まずは、テキーラの伝統的な飲み方をおさらいしましょう。

1.カットされたライムをかじるように舐める

2.テキーラを口へ流し込む

3.最後に塩を適量舐める

ライムの爽やかな香りが、テキーラの強いにおいや雑味を和らげてくれます。仕上げに塩を舐めるのは、テキーラの甘味を引き立たせるためです。スイカに塩をかけると、甘味を強く感じられるのと同じですね。

ちなみにライムがない場合は、レモンでも代用できます。

オン・ザ・ロックでカジュアルに楽しんでみよう

ハリウッドスターのように楽しみたいなら、アメリカで親しまれているオン・ザ・ロックのスタイルがおすすめです。ストレートで飲むよりも口当たりがよく、テキーラ本来の香りや味わいを楽しめます。

プレミアムテキーラを楽しむときも、オン・ザ・ロックならブランコ・レポサド・アネホのどの熟成期間の味わいでもおいしく飲めるでしょう。

テキーラ専用のグラスで味と香りを堪能しよう

ジョージ・クルーニーの「カーサミーゴス」をはじめ、ここで紹介したハリウッドスター由来のテキーラは、どれも日本では容易には手に入れられない品々です。このようにスーパープレミアムなテキーラを手に入れたときは、グラスにもこだわって味わいたいですよね。

そんな方におすすめのアイテムが、テキーラ専用のグラスです。とくにオーストリアの老舗グラスメーカー・リーデル社が手掛けたグラスは、テキーラ規制委員会からも公認されているため、一押しです。

アルコール度数の高いお酒特有の刺激的なにおいを和らげつつ、テキーラの香りをしっかり引き立ててくれます。テキーラ生産者と共同開発したグラスで、ぜひおいしく味わってみてください。

まとめ

メキシコオリンピックをきっかけに、世界中の人々から注目を集めたメキシコの地酒がテキーラです。アメリカでもハリウッドスターを中心に多くの人がテキーラを愛し、セレブ御用達のお酒としての地位を確立させています。

今回紹介したおいしい飲み方を参考に、ぜひご家庭でもテキーラを気軽に楽しんでみてください。

この記事はFood & Wineのニーナ・フレンドが執筆し、 Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで。