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難易度の高さがウケて100万本以上のセールスを記録した「Outward」

メインストリームのRPGとはひと味違う世界観が楽しめる「Outward」。あまりにも過酷なサバイバルを強いられるゲームなので、ベーシックな防具、武器、そして生還するのに必要なギアを持ち歩くだけでもひと苦労です。地図を開いたところで、どこを目指して行けば良いのか分かるわけでもなく、また最弱の敵にも負けかねません。

しかし、開発元の「Deep Silver」と「Nine Dots」によると、このゲームを購入した人の数は100万人をに上回っているとのことです。2019年3月26日にローンチされ、Epic Gamesストアでも販売されています。また2020年12月15日には、第2弾のDLC「The Three Brothers」が配信されました。

私はこのゲームの売れ行きに高い関心を抱いていました。北米よりヨーロッパで売れているのでしょうか? ユーザーのプレイスタイルは? 長期間に渡ってプレイする熱心なゲーマーが多いのでしょうか、それともゲームをする時間もまちまちで気まぐれなタイプが多いのでしょうか? Outwardの成功の秘訣を紐解けば、PC用ハードコアRPG開発の参考になると思ったのです。

アメリカ人は、RPGに関しては“マゾ”っぽい傾向があることが分かりました。確かに、そうだとすれば、ここ4年間のアメリカにおけるゲーム市場の動向も理解できます。この事実には、Nine Dotsの開発者たちもとても驚いたといいます。

「弊社にとって最大のマーケットは何といってもアメリカ、そしてドイツとカナダがその後に続いています」とNine DotsのCEOを務めるギョーム・ブシェ=ヴィダル氏はいいます。「このゲームの設計を始めた頃は、ドイツが最大の市場になると予測していました。Deep Silverの本拠地であり、過去にドイツで売れたRPGを見ても、このゲームはドイツ人の感性に訴えるに違いないと思ったからです。ですからドイツで人気を博したことには驚きませんでした」

しかしOutwardがアジアで受けるかどうかは未知数です。2019年には日本をはじめとするアジアの一部の市場ではリリースされなかったからです。

「アジア版のリリースはメインリリースのずっと後に行いました。特に日本で売れるかどうかに注目しています」とブシェ=ヴィダル氏。「かなり前に日本語化は終了していましたが、2020年末にローンチしたばかりです。アジア版が成功するかどうかは半年後の結果を見るまで分かりません」

そしてブシェ=ヴィダル氏が、最も気にかけているのがNine Dotsの本拠地であるカナダだといいます。

「カナダのゲーマーをファンにするのに、何が一番効果的な要素だったのか知りたいですね。例えば『GamesBeat』など、アメリカ市場に特化したメディアをユーザーがチェックしているからなのか、それとも弊社がケベックに拠点を置く地元スタジオだからなのか。このどちらかの理由だとは思いますが」

ユーザーエンゲージメント

Outwardはシングルプレイ専用のRPGですが、とにかく攻略が難しいという点以外にも、「Ark: Survival Evolved」のようなサバイバルゲームの要素を取り入れるなど、「Baldur’s Gate」や「Mass Effect」とも異なる特徴をもっています。そのためユーザーのエンゲージの仕方も異なります。個人的には、ユーザーがOutwardをどれくらいプレイしているのか気になっていました。

「正反対の結果を示す2つのデータを見て驚きました。平均プレイタイムはプレイヤー1人あたり30時間ですが、4つあるストーリーのうち1つをクリアしたプレイヤーは全体の10%以下でした」とブシェ=ヴィダル氏。「どうやらプレイヤーの多くはこのゲームの世界に没入し、ストーリーを度外視して旅をしたり、ダンジョンを攻略したりしているようです。そういった意味では、一般的なRPGとしてではなく、オープンワールドゲームの先駆けとなった『Elder Scrolls』シリーズと同じ感覚でプレイしている人が多いのだと思います」

ヘビーユーザーの統計からも、このゲームをオープンワールドRPGとしてプレイしていることは一目瞭然です。

「ヘビーユーザーは想像していた以上に長時間プレイしています。プレイ時間は最大160時間程度と想定していましたが、300〜600時間のプレイヤーが多かったのです」とブシェ=ヴィダル氏。

またゲームの難易度を高く設定したことも、この驚くべき結果の一因になっていたといいます

「ユーザーによるコミュニティー同士の協力関係が強化され、プレイヤーが団結しています。様々な戦略について活発な議論がなされ、クオリティの高いウィキが作られています。ゲームの難易度を高くしたことによって、期待していた効果が得られました」

コンシューマー版の販売は?

読み込み時間を大幅に短縮した超高速SSDを搭載したPlayStation 5やXbox Series X/Sは、最高のRPGプラットフォームになり得るでしょう。ソファに腰かけながら難易度の高いRPGをプレイすることへの魅力も理解できます。実際、「Demon’s Souls」は楽しめました。

コンシューマー版についてはNine Dotsも検討しているようです。

「今はあらゆるオプションを検討している段階です。現在の勢いを維持していくのであれば、想定外のコストが発生するようなことがない限り、新しいコンソールをサポートすることは理にかなっています。しかし、今着手するのは時期尚早だと思っています。私たちのチームは小規模なので、一度にできるタスクの範囲が限られているからです。Google Stadiaでのリリースと、第2弾DLCのリリースが続いたときは本当に大変でした。コンシューマー版については、Xbox OneとPlayStation 4でThe Three Brothersをローンチしてから考えたいと思います」

この記事はVentureBeatのジェイソン・ウィルソン氏が執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされています。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまで

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