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変わらぬ4人でプロリーグに挑み続ける「レバンガ☆SAPPORO」Shadowverse部門チームインタビュー
B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」は、2018年3月にeスポーツチーム「レバンガ☆SAPPORO」を始動。『Shadowverse』のプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League」に参入し、2018年の初代年間チャンピオンに輝きました。
立ち上げ当初の公募にエントリーした200人以上の中から選ばれたのが、Tatsuno選手、きょうま選手、さわさき選手、真春選手の4人。「レバンガ☆SAPPORO」は、プロリーグ最初期から出場しているチームでありながら、一度もメンバー変更をすることなく、変わらない4人でプロリーグに挑み続けています。
今回、「レバンガ☆SAPPORO」の4人の選手に、オンラインインタビューを実施。『Shadowverse』との出会いやプロになった経緯、そしてこれから目指すことなど、さまざまな話題について語っていただきました。
4人の『Shadowverse』との出会い、プロになった経緯とは
–まず最初に、皆さんの『Shadowverse』との出会いや、これまでのゲーム歴について教えてください。
Tatsuno:
僕はもともとイラストレーターをしていて、絵描きの友達に勧められて『Shadowverse』を始めました。昔からゲーム好きではあったんですけど、中高生の頃は運動部に入っていたこともあって、これまでゲームに没頭していた時期は特になかったです。
きょうま:
自分は大学生の時に入っていた囲碁部で、後輩たちに勧められたのがきっかけです。それまでスマホゲームにはまったく触れたことがなかったんですけど、やってみたら面白くて。今まで『遊戯王OCG』や『デュエル・マスターズ』、『ポケモンカードゲーム』など、いろいろなカードゲームをやってきていたので、すぐ馴染めたという部分もありました。
さわさき:
僕は友達がやっていたので、それをきっかけに始めました。もともと『遊戯王OCG』を7年間くらい真面目にやっていたんですが、『Shadowverse』は賞金付きの大会が開催されるということもあって興味を持ちました。
真春:
自分も、さわさきとほとんど同じです。『Shadowverse』を始めたのは友達から誘われたのがきっかけで、ゲーム歴としてはずっと『遊戯王OCG』をやっていました。
–『Shadowverse』の競技シーンに興味を持った経緯や、プロチームに応募したきっかけについて教えてください。
Tatsuno:
僕の場合は、「RAGE Shadowverse Chronogenesis」という大会で初めて大型大会に出てファイナリストになった後に、ちょうどプロリーグの発足の発表があって。もともと競技シーンを意識していたというよりは、プロリーグができるということで興味を持ちました。
プロチームの募集には、皆もちろん自信がある人たちが応募していたと思うんですけど、当時は自分のことを上手いプレイヤーだと思っていたので(笑)。でも、チームに入って現実を知り、プロになってからものすごく苦労したし努力しました。
きょうま:
小学生の頃から囲碁をやっていて、プロ棋士になりたいと思っていたんですが、実力が足りなくてなれなかったんです。でも、そういう勝負事で生きていきたいという気持ちはずっと持っていました。
『Shadowverse』の競技シーンのことを知っていったのは、2018年1月にあった「Shadowverse Premier Cup 2018 Tokyo」という大会で優勝したことがきっかけです。ちょうどその頃にプロリーグの発足が発表されて、囲碁ではなれなかったプロになるチャンスだと思って応募しました。
さわさき:
チームに応募した当時は、まだ『Shadowverse』を始めて1年くらいだったんですけど、大会での実績はそれなりにあったので、「入れたらいいな」くらいの気持ちで応募しました。僕は北海道に住んでいるので、「レバンガ☆SAPPORO」が地元のプレイヤーをとるならという期待もありました。
真春:
僕はもともとカードゲームがすごく好きなんですけど、他にやりたいことが特になくて。好きなことで食べていけたらいいなと思って、カードゲームのプロに挑戦してみようと、ダメ元のつもりで応募しました。
プロになって2年、多くの人から応援される立場へ
–皆さんのプロフィールに載っている背番号と、その由来を教えていただけますか?
Tatsuno:
僕は「7」で、中学で野球部だった時の背番号です。7月生まれだし、縁起のいい数字でもあるので、今までの人生に縁がある数字ということで「7」にしました。
きょうま:
自分は「15」なんですが、これは自分の好きな囲碁を語呂合わせしたものです。囲碁をやっている人たちが、よくハンドルネームの後ろに「15」と付けたりするんですが、それをそのまま付けました。
さわさき:
僕は「9」で、中学の時の出席番号です。特に好きな数字もなかったので。
Tatsuno:
レバンガで「9」は折茂さん(※)の背番号でエースナンバーだから、すごく重い番号だって言われてて、「レバンガで9を背負うってそういうことだよ」みたいな話なかった?
※折茂武彦…「レバンガ北海道」の代表取締役社長。現役選手として27年間活動し、昨シーズン49歳で引退。日本バスケットボール界のレジェンドと呼ばれた。
さわさき:
エースナンバーでもいいなって思ったことは覚えてるけど、正直あんまりよく覚えてない……(笑)。
一同:(笑)
真春:
僕は「2」なんですけど、特に理由はないです。あまり縁のある数字もなかったので、なんとなく好きな数字を選びました。
–『Shadowverse』のプロ選手になってから2年以上が経ち、気持ちや意識の面で変わったことはありますか?
Tatsuno:
僕がプロになった当時は、『Shadowverse』のイラストやマンガを描いている人として知ってくださっている方が多かったので、単にプレイの上手い下手だけでない魅力を伝えたいという考えを強く持っていました。
今でもその考えは変わらない部分もあるんですけど、プロになって勝率を1%でも上げていく世界にどんどん惹かれていって。2年前の自分は、そういう魅力をまだ知らなかったので、前より幅広く『Shadowverse』を楽しめているなと思います。
きょうま:
昔は、いわゆるTier1ではないマイナーデッキが好きだったりしたんですけど、最近は全くそういうところはなくなりました。これはプロなら皆そうだと思うんですが、勝つためにどうすべきかを第一に考えるようになりましたね。
あと、プロになってこんなに注目されるんだということにも驚きました。今まで人生でこういう立場になったことがなかったので。Twitterでもフォロワーが増えたりして、ファンの方に応援していただける立場になったことが、一番の大きな変化です。
さわさき:
僕もやっぱり応援してくださる方が増えたことが、すごく新鮮な感覚ですね。グッズを買ってくれたりする人もいて、そうやって自分の価値があるんだなって感じられると、昔から考えれば信じられないことだなと思います。
真春:
自分もこんなに応援してもらえる立場になるとは、想像していませんでした。もとは誰かのためというより、自分の力試しとしての意識が強かったんですけど、応援してくださる方が増えてきて、そういう方々に喜んでもらえることをやっていかなければと思うようになりました。
試合に全力で勝ちにいくのはもちろんなんですが、その他のところでも応援してくれる人たちを喜ばせるようなことができたらいいなと。今は配信を頑張っているんですけど、他にもいい方法があればトライしていきたいと思っています。
お互いが思う”メンバーのここがすごい”ところ
–今お話いただいている順に、自分の次のメンバーの「ここがすごい」と思うところを紹介していただけますか?
Tatsuno:(Tatsuno→きょうま)
実は、きょうまさんは僕の高校の一個上の先輩なんですよ。チーム4人のメンバーが集まって最初の開幕戦の後くらいに、たまたま僕が母校の話をしていたんです。僕の高校は校内でチャボを放し飼いにしている変わった学校で、その話をした時に同じ高校だったことが発覚して(笑)。
高校の時はお互いのことを知らなかったんですけど、話を聞くと本気で囲碁をやってきていて、自分の好きなことに没頭する熱意が当時からすごかったんだろうなって。普段チームで一番『Shadowverse』をやっているし、何か1つやると決めた時の集中力は抜群だなと。逆に言うと、他のことは何もやらないので、そこは直して欲しいなと思います(笑)。
きょうま:(きょうま→さわさき)
初めてさわさきの名前を知ったのは、「Shadowverse Premier Cup 2018 Tokyo」の予選大会で、あと1勝すれば決勝トーナメント進出というラインにいて、アベレージが高くて強そうなプレイヤーだなというイメージでした。
一緒のチームになってからは、自分的には『Shadowverse』に対するやり込みの量は、さわさきが一番なんじゃないかと思っています。たぶん自分とさわさきが一番部屋が汚いんですよね(笑)。何かに熱中していると、他のことはズボラなところは似ているのかもしれないです。
さわさき:(さわさき→真春)
最初期の頃、チーム内に2Pickの担当がいなかったんですよね。なかなか2Pickをやる人が決まらない中で真春が担当することに決まって、皆の悩みが1つ解決したというか。チームとしてもそこから勝てるようになっていったので、その決断はかなり大きかったです。最近は配信をすごく頑張っていて、着実にファンを増やしているのがすごいなと思います。
真春:(真春→Tatsuno)
Tatsunoさんはもともとイラストのイメージが強くて、競技志向で『Shadowverse』をやっているイメージはなかったんですが、チームに入ってすぐにプロとしてやっていく環境に順応していった印象があります。
前は少し変わったデッキを使っていたと思うんですけど、今はプロリーグの舞台で戦うにあたって、チームの中でも特に一番強いデッキを一番強く使おうとしているかなと。プロリーグという環境に対しても、エンタメなど他の領域にも、しっかり適応できる人というイメージです。
4人がライバルとして意識するチームや選手は?
–皆さんがライバルとして意識するチームや選手について教えてください。
Tatsuno:
脅威だと思うチームとライバルだと思うチームはそれぞれあって、脅威だと感じているチームは「AXIZ」ですね。野球で言ったら1番から9番までホームランバッターみたいな、超トッププレイヤーが集まったチームだと思っています。
僕も彼らの配信を見たりするんですけど、とにかく『Shadowverse』に対して熱心かつ真摯に向き合っていて、それゆえに導かれた思考を話してくれるので、めちゃくちゃ面白くて。そういう人たちと敵として戦うのは脅威だと思う一方で、いい刺激をもらっている存在でもあります。
ライバルだと思うチームは、「NTT-WEST リバレント」です。最初期から出ているチームなので、因縁の対決が多いのかなと。 選手との交流も深いので、仲が良い人にほど負けたくないというライバル心も強いです。
僕は身近な人にほど負けたくないと思う性格なので、そういう意味では最も負けたくないライバルはチームメイトなんですよね。チームメンバーからは一番いい刺激をもらっていると思います。
きょうま:
最初期から出場している4チームは、昔からの因縁もあってやはり意識しますね。その中でも特に意識するチームは、2018年の年間王者決定戦で戦った相手でもある「au デトネーション」です。
「au デトネーション」との試合では、自分はミル選手かSpicies選手と対戦することが多いんですが、彼らのレベルの高さゆえに、自分のプレイもすごく引き上げられる感覚があって。自分の中でのベストバトルを挙げるなら、「au デトネーション」との試合が思い浮かぶくらい、自身も良いプレイができているように思います。
さわさき:
一番ライバル視しているのは、「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」のたばた選手ですね。僕はまだ個人で大きなタイトルを獲ったことがなくて。プロになってから「RAGE Shadowverse 2019 Spring」でプレーオフ決勝戦まで進んだんですが、プロになる前のたばた選手と戦って負けたんです。しかもその時、結構ひどい負け方をしたので……(苦笑)。
結果的に、その大会でたばた選手が優勝して、プロになったので戦いたいなと。その後、まだ公式戦では対戦していないので、リベンジしたいと思っています。
真春:
ライバルチームを選ぶのは難しいんですけど、ライバル選手を挙げるなら「横浜F・マリノス」のあぐのむ選手ですね。あぐのむは、自分がプロになる前からずっと一緒に練習してきたプレイヤーなんです。
彼と試合で直接当たることはないんですが、成績面で負けたくないという気持ちは強いです。プロになる前も、あぐのむより多く勝ちたいと思っていたんですけど、彼の方が圧倒的に勝っていたので。 プロリーグでは勝ちたいと思っています。
チームや個人として、これから叶えたい目標や夢
–それでは最後に、チームや個人として今後叶えたいと思っている目標や夢を教えてください。
Tatsuno:
『Shadowverse』でもイラストでも、自分が専門的にやっていることを常にレベルアップし続ける姿勢を崩さずにいたいと思っています。
昔は「自分が一番上手い」と盲信するような気持ちもあったんですけど、今は自分より上手いプレイヤーがいるからこそ、そこに追いついたり追い抜いたりするために頑張りたいという気持ちがエネルギーになっています。個人としては、常に1つでも上のレベルを目指したいというのが目標です。
そして、自分がレベルアップし続けていくことで、それをチームの成績にも反映させていければなと。まずは自分や応援してくれるファンの皆さんのために頑張って、それがチームの勝利に結びついていけばいいなと思ってます。
きょうま:
チームとしても個人としても、一番の大きな目標はリーグで勝ち続けること。なので、そのために日々実力を上げていくのが目の前の目標です。
Tatsunoさんも言っていたように、勝負事をやっている人って「自分が世界一上手い」って思ったりするものだと思っていて、自分もそう思っていたんですよね。でも、そういう自信って自分を支えてくれるものでもあると思っているので、変わらず自信を持ち続けていきたいです。
あと、プロになる以前の話ですが、自分が通っていた横浜国立大学で「Shadowverse Battle City」というオフラインイベントを開催したことがあるんです。昔からオフラインイベントが好きなので、コロナの影響が落ち着いたら、また何かそういったイベントも開催できたらいいなと思ってます。
さわさき:
先ほどの話題でも触れたんですけど、僕はまだ個人として大きな大会で優勝したことがないので、そういう実績を作りたいというのが目標の1つとしてあります。チームとしては当然、プロリーグの年間優勝を目指したいです。
真春:
チームの目標はもちろんプロリーグ年間優勝で、 個人でも結果を出したいと思っています。それから、北海道を拠点とする「レバンガ☆SAPPORO」では、地方創生もチームの目標の1つに掲げられています。
僕は石川県に住んでいたので、学生の時は大会のために東京に来る負担がすごく大きかったんです。なので、北海道でも石川県でも、もっと地方でeスポーツを楽しめる環境ができれば嬉しいなと思っていて。自分自身がもっと影響力を持てる存在になって、そういったところに繋がる活動も積極的にしていけたらと思っています。
–「レバンガ☆SAPPORO」の皆さん、本日はありがとうございました!
( 綾本ゆかり=取材・文 )
関連リンク
『Shadowverse』公式サイト https://shadowverse.jp/
「レバンガ☆SAPPORO」公式サイト https://www.levanga.com/esports/
きょうま選手公式Twitter https://twitter.com/gogojade
Tatsuno選手Twitter https://twitter.com/Tatsuno_Saya
真春選手Twitter https://twitter.com/maharu_sv
さわさき選手Twitter https://twitter.com/kokonobakatare